魔王軍編第10話 ドワーフ王からの返書
ドワーフ王国の王に手紙を送ってから3日、あの日から何も変わりなく、現状維持の状態だった
コンコン!「魔王様、返書が届きました!」
「よし!入れ!」
ガチャッ! 「ドワーフ王からの返書です」
そうして渡されたのはこの世界ではかなり柔らかい部類の紙で包まれた手紙だった
(もうこの時点でドワーフの技術力の高さを証明しているな…)
破るのも惜しい紙を少しばかり破いて中身を出す
〜ドワーフ王より魔王へ〜
此度の要請は概ね受け入れよう、しかし条件・対価としてこちらは
工場はドワーフ王国内とすること
その工場の設備などは魔王国側が負担すること
工場で生産された物の2割はこちらが貰うこと
なお、ドワーフ達への給料はこちらが払う
以上のことを受け入れられない場合、この件は白紙とする
ドワーフ王より
「なんじゃこりぁぁぁぁ!!」
魔王の叫ぶ声が城全体に響く
「1つ目と2つ目はいいとして、3つ目と4つ目はなんだ!」
(奴らはこちらが兵器生産の軍需工場だとわかってこの返書を書いたのか!?元々ドワーフ王国のドワーフの生産量・生産力を期待して手紙を書いたのにこれでは思った通りの生産量が期待できないし、我が国の秘密兵器がドワーフに渡ってしまう!)
「それに給料をドワーフ王国が払うと言っているのはそれすなわちドワーフ側がその気になれば給料支払いを止めてこちらが払わなければならないようにされてしまうではないか!」
怒り心頭になった魔王はそのまま部屋を出る
「お、お待ちください!どこへ行かれるのですか!?」
「ドワーフ王の元に行く!準備をしろ」
「ま、待ってください!いくら受け入れないとはいえドワーフ王国に乗り込むのは危険です!」
「私の行く手を阻むな!それよりもさっさと馬車の準備をしろ!」
「・・・・承知しました、では先にお待ちしています」
そうして魔王よりも先に行った従者の見ながら魔王は歩く
(ドワーフめ、、我が国に守られていることを忘れているのか!)
いくら技術力が高いドワーフとはいえ数では負ける、そのため常に周辺国から守ってもらえる状況にいなければならなかったのだ
「魔王様!ドワーフ王国に行かれるというのは本当ですか!」
そう言って秘書が近づいてくる
「あぁ、私は行くぞ、止めてくれるな…」
「それは構いませんが、くれぐれも注意してください、魔王様が国外に出られるのは初めてですから」
「私を誰だと思っている、生半可な兵を用意したところで私の相手にもならん!」
「はぁ、、まったく貴方様は言い出したら止まらないんですから…」
「いつもの事だ、気にするな」
そうして馬車乗り場まで来た魔王は早速馬車に乗ってドワーフ王国まで出発する
ガラガラガラ!
(馬車に乗るのは久しぶりだな、、しばらく魔王城勤務で外には直接歩くだけだったからな…)
そうして魔王が馬車に揺られていると伝令が走ってくる
「魔王様!大変です!」
「なんだ?」
「例の勇者の方面に配置していたケンタウロス族の者たちが無断で勇者に攻撃を開始しました!」
「なにっ!?予定地点まで撤退を続けろと伝えていただろう!?」
「それが、、「ケンタウロス族が撤退し続けるのは負けたのと同義、我が一族の名に泥を塗るような真似は出来ん!」と…」
(くっそ、、ケンタウロス族の足の速さを見込んで配置したというのに…!)
反抗作戦案にはケンタウロス族の足を活かして素早く連合軍を包囲して攻撃する算段だっただけにこの攻撃は魔王にとって最悪なものだった
(だがもう起きてしまったことは仕方ない、ここは王国へ急ぐとしよう…)
そうして魔王はドワーフ王国に向かっていったのだった




