魔王軍編第7話 脅威
魔王が新兵器の試験を終えてから3日後、未だに人類は魔王領へ侵攻を続けていた、そして魔王は今、軍参謀との作戦会議に勤しんでいた
「・・・それで、敵の侵攻は食い止められているか?」
「中央の勇者はなんとか抑えられ、魔物の果敢な攻撃で勇者を負傷させることができたようです、ただ、こちらも戦力が半壊しました…」
「一番厚く戦力を配置した中央が半壊してその程度か…」
「はい、、実力差であればこちらが勝っていますが、やはりスキルなどの恩恵は実力では防ぎきれません…」
「うーむ、、他の方面はどうなっている?」
「はい、撤退戦術により大した損害も被ることなく戦力を蓄えることができております、これならあと数日間続ければ反抗するのに十分な戦力が集められるでしょう」
「現在の位置は?」
「今は、、、オルランド川の下ぐらいまでの撤退が完了しています」
「そういえばオルドランド補給基地にはアレがあったよな?」
「はい、そこで敵を消耗させるべく精鋭の狙撃兵500人を林の中に配置し、そこで敵を消耗、あわよくば壊滅するぐらいまで攻撃する予定です」
「だが相手の1師団あたり1万人にこちらは500人、大丈夫なのか?」
「大丈夫です、奴らはまだアレの仕掛けを理解できないはず、ならば効果は十分にあると思います」
「なるほど、、そこまで言うのであれは貴様の言葉を信じよう、だが戦果に浮かれて余計に攻撃はするな」
「重々承知しております」
「それで、そこ以外はどうなっている?」
「はい、敵の飛行船なるものに苦戦はしていますが、十分に抑えることができると言っていいでしょう」
「ふーむ、貴様から見て飛行船はどう思う?」
「ただ脅威の一言ですね、、我々の攻撃が届かない所から一方的に攻撃され、兵士の中には飛行船を見ただけで逃げようとした者までいるそうです」
「あれはこちらでは造れんのか?」
「難しいですね、、私も個人的に兵器局に問い合わせましたが「進む動力が分かっても肝心の浮かせる技術がわからなければ造ることは不可能」だと…」
「要するに無理ということか」
「おそらくは、、敵は飛行船開発に躍起になっていた時代があるようですから、今我らが飛行船を開発できたとしても奴らの飛行船には叶わないでしょうな…」
「だがこちらも基礎技術は負けておらん、本気を出せばなんとか小さいのは造れるだろう」
「そうだといいですけどね…」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「黙っていても仕方あるまい、もっと効果的な反抗作戦案を考案せねばな…」
「そうですなぁ…」
そうして魔王と軍参謀との作戦立案は夜まで続いた
(ふぅ、、さすがに今日は考えすぎて頭が痛いな…)
「勇者、、やはり手強い、、私でも勝てるかどうか怪しいレベルだ…」
そうして部屋に戻った魔王はベッドで寝ていると…
コンコン!「魔王様!緊急連絡です」
「んんぅ?よい、入れ」
ガチャッ 「お休み中のところ失礼します…」
「構わん、それよりも緊急連絡の内容を教えろ」
「はい、先程偵察兵より勇者率いる軍が中央に向って進撃してきたとのことです…」
「なにっ!?勇者は負傷しているはずだ、それも昼に連絡を受けたばかりではないか」
「はぁ、、ですが偵察兵によると確実に勇者は回復しておりますが、昼よりも兵士の数は少なくなっているとのことです…」
「なるほど、、他の兵士の治療よりも勇者の回復を急いだか…」
「どうされますか?現在も中央軍に向って進撃してきているとのことですが…」
「・・・敵の総数は?」
「およそ7000です」
(7000・・・それなら後方の防衛陣地で守りきれるか…)
「わかった、前線の中央軍には後方の防衛陣地まで後退、そこで勇者を食い止めろと伝えろ」
「承知しました」 ガチャッ
(・・・普通の兵士なら全力で治療してもこれは早すぎる、勇者は回復力も化け物か…)
そう思う魔王であった…




