魔王軍編第6話 秘匿兵器
コツッ、コツッ、コツッ 一人の魔王が廊下を歩く、彼の国は今、人類の反抗作戦で攻め込まれているのだが、何故かその足取りは軽そうに聞こえた
(ふふふ、あの兵器が完成したのなら、人類なぞ一網打尽だ、、ふふふ)
そうして魔王城の正門まで着くと魔王は城を出て街の方に出ていく
「あっ、魔王様!わーい!」「あっ、コラッ待ちなさい!」
(おおっ!?なんだ!?)
実際は足元に子供が抱きついたのだが小さすぎて見えなかったのだった
「おお、私に何か用でもあるのか?」
「お父さんに抱きついてもあまり良い匂いがしないから〜」
「それで私に抱きついたのか?」
「うん〜」
「あっ!も、申し訳ありません陛下!コラッ!さっさと離れなさい!」
「いや、構わん、、それよりも元気な娘じゃないか、大切にしなさい」
「ありがとうございます、ありがとうございます、、」
魔王は時々街に出るのだが、魔力量が多いせいで変装しても直ぐにバレてしまうので、もう吹っ切れてそのままの格好で街に出ることがあるのだった
(まぁさすがに遠くから護衛が来るがな…)
そうした抱きついた娘と分かれて街を歩くと道行く人に道を譲られ、子供には菓子をねだられる魔王なのであった
「魔王様って今までの魔王とは変わってるよねぇ」
「うんうん、領人には優しくするし、敵の兵士にも優しくするもんねぇ〜」
「それに魔王らしくとても強いしまさに完璧な魔王よね〜」
親同士なのかそんな世間話も聞こえてくる
(まぁ、そう言われて悪い気はせんな…)
そうして目的地である兵器局の実験棟まで着く
「ま、魔王様!少々お待ちください!直ぐに局長を読んできます!」
そう言って門番の兵士の一人が中に向ってとんでもない速度で走っていく、そうしてしばらくして
「おぉ魔王様、お待ちしていました、こちらへ…」
そうして案内されるのは兵器の最終試験に使われる実際の戦場を再現したフィールドまで連れて行かれる
「あれが此度完成した兵器です」
「おぉ、あれが…」
そこにあったのは中世にある大砲そのものであった
「魔王様!発射準備完了です!いつでもどうぞ!」
「うむ、、、、発射!」
ドーーン!! ドカーーン!
(これは凄まじいな…)
そこには人間程の高さまで土が舞い上がり、着弾後には黒色の地面が広がっていた
「いかがですか?これが我等の偉大なる頭脳が発明した、、そうですな、、゛大砲゛ともいうべきものですな」
「大砲…」
(良い響きじゃないか、これなら人類相手に十分な位戦えるだろう)
「射程はおよそ340m、弾頭は国内で多く採掘される鉄を球状にし、その中に爆発する火薬を仕込んだものです、これなら一度の爆発で4〜8人は殺せるはずです」
「まさに究極兵器だな…」
「新種の魔物から得た発想から兵器局の技術人が見事に再現した兵器です…」
「それではこの兵器を軍に採用する、量産体制の確立を急いでくれ」
「承知しました、、必ずやこの兵器が我らを勝利に導いてくれるでしょう…」
こうして魔王は現代にも続く兵器の原型ともなった兵器を手に入れたのだった…




