第38話 秘密兵器
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
今俺は補給を終え、次の目標地点に向かう飛行船に乗っていた
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
(いつもは賑やかな艦内も異様に静かだな…)
昨日の雷の中に現れた巨人は敵の幻術魔法であり、又、地上軍の被害は敵の撹乱攻撃だということだったのだが、乗っている飛行船のクルー、地上軍の全員と俺を含めて信じる者はいなかった
(・・・・やっぱり幻術・幻覚にしてはおかしい、まず俺の墳進弾は命中したし、砲弾も確実に命中していた、それで錯覚・幻覚なら地面に命中跡やらがあるはずなのにその報告はないし、あるのは足跡だけだった…)
「報告、、次の目標地点ナーギリア市まであと35km」
「わかった、総員配置に着け、、」
ドタドタドタドタ、、
いつも報告は大声で、移動の音も大きかったのに今回は音が小さかった
(皆も信じられていないなようだな、、初めはあまり気が合わないような気がしたが、今回のことだけは皆と意見が一致するような気がするな…)
一方地上軍はナーギリア市郊外手前約21km地点まで来ており、無論こちらもいつもは大声で笑顔の声がどこからか聞こえてくるのにその声がまったく聞こえてこなかった
(なんだか寂しいな…)
そう思いつつもあることに気がつく
(なんだか皆、目にいつもよりも覚悟を決めているような目をしているな…)
「彼らは元々ナーギリア市が故郷なのですよ」
そのナーギリア市とは元々アルカディア国の副首都であり、各国との貿易路の中心にあり、その貿易路を活かした街づくりで人々からは首都よりも住心地が良いとの評判の街であった
「へぇ、それじゃあ彼らからしてみれば故郷を取り返すようなものか」
「そうですねぇ、私としては是非とも彼らの故郷を取り返してやりたいものです」
「・・・・?、何か不安なことでもあるのか?「取り返してやりたいもの」なんて、まるで今日は奪還出来ないと知っているような感じだが?」
「実はこれは極秘事項なのですが、ナーギリア市には極秘の兵器開発局があり、そこでは各国には言えないような兵器を研究・開発していたのですが、ナーギリア市が陥落する前、その秘密兵器は60%は破壊・持ち出せたと聞きましたが、残りはまだナーギリア市に残っているというのです」
「・・・それでその残った秘密兵器を敵が使ってるということか?」
「おそらくは、、、実はこれは私も噂程度で聞いたことなのですが、その秘密兵器の中には魔物のサイズを自由に操る兵器があったと言う事を耳にしていたのです」
「・・・・・は?、じゃあそれが昨日の巨人の正体だというのか?」
「私も最初はわからなかったのですが、巨人が消えたという報告を聞いて確信したのです、その兵器は存在し、なおかつその兵器は魔王側の手に渡り、使用されているとね」
「・・・・もしその兵器が使われているのなら他の兵器も?」
「おそらくは、、、なので今回は激しい抵抗が予想されます」
(人類に創られた兵器が人類に刃を向けるとはな、、)
「報告します、目標地点まであと10分です、艦長は艦橋までお越しください」
「おっと、時間ですな、それでは期待しております」
「あぁ、わかったよ」
〜10分後〜
「目標地点まで到達!総員戦闘用意!」
その頃地上軍はすでにナーギリア市に向けて突撃していた
「地上軍に遅れるな!こちらも最大戦速!」
ギィィーー!船が軋む音がする
(・・・この音にも慣れたな、、、昔の鳥公を思い出すな…)
ドカーーン!!地上から大きな爆発音がする
(ッ!突然爆発したという事は、、地雷か!)
ドカーーン!!「「うわぁぁぁぁ!!」」
爆発で4〜5人が巻き込まれる
(「探索者」発動!上空にいるから地面を探知する能力は低いが…)
ピピピピピピ!能力で地雷の位置が見えてくる
「いやいや、、、約200個ってどんだけ埋めてるんだよ!」
「砲術員へ!直ちに味方の前方へ砲撃を開始せよ!艦長命令だ!」
「ええっ!?」「それじゃ味方に当たるぞ!?」
「艦長!それはできません!それでは味方に被害が及びます!」
「・・・・頼む!味方の被害を抑えるならこれが一番なんだ!」
「・・・・・了解!全砲門、目標味方前方!、、、、、発射!」
ドドドドドドド!味方の前に砲弾が投射される
ドカドカドカドカーーン!
(地雷と砲弾の爆発で凄いことになってるな)
俺は一つずつ「探索者」で見つけた地雷をライフルで撃ち抜いていく
パァン! ドカーーン!
「ふぅ、味方に被害が出ないようにするので手一杯だな、、せめて止まってくれよ、、、」
そうして行くうちにようやく地雷原を突破する
「報告!ナーギリア市から魔物が出現!数、、、、12000!」
(12000!?こちらはさっきのでだいたい8000だぞ!)
こうして俺のナーギリア市攻防戦はこちらの不利で始まったのであった




