第34話 第2次反抗作戦
「全軍進行開始!」
俺は今、迎えの飛行船の上で魔王占領地まで進む中央方面軍、5個師団の上空にいた
(まさか迎えの飛行船でそのまま進行するとは思わなかったな…)
兵士達から別れたあと、飛行船は最短距離を進み一日とちょっとで到着した飛行船はそのまま俺を乗せたまま魔王占領地内まで進んていくのだった
「勇者様、そろそろ敵の反撃が予想されます、船体下部まで行き、地上軍を支援して頂きたい」
「あぁ、わかったよ」(なんか少し感じ悪いな…気のせいか…?)
そうして船体下部に行くと、そこには所狭しと地上に向けられた大砲が姿が見えた
(うーん、これはあれだな、側舷にあるはずの大砲がそのまま下に向けて設置されたような見た目だな)
「艦長!敵部隊接近!数およそ2万、地上軍まで真っ直ぐ進んでいます!」
「わかった、合図があるまで砲撃するな、合図があり次第斉射しろ」
「了解!」
(これは俺がやる事はあるのか?)
だがしっかりと言われた事は準備する、いつぞやの墳進弾を移動の最中で400発用意することが出来た
「勇者様、こちらから支援をお願いします」
「そこか、ちなみに俺が発射するタイミングはいつだ?」
「艦長からは勇者様は自由に発射して構わないと言っていました」
「なるほど、わかった、ありがとう」
「全砲術員へ!もうすぐに斉射する!準備を急げ!」
そうしてしばらく静かになる
「・・・・・・・・・・・・撃て!」
ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ドーン!
魔物に向けられた8門の大砲が一斉に発射される、それと同時に横に並んでいた同型船3隻も一斉に発射する
「再装填急げ!」
ドドドーーン!「gyaaaaaaaaaaaasssss!」
弾を食らった魔物の叫びがここまで聞こえてくる
(・・・そういえば装填ってどうやるんだ?)
そう思い、あたりを見るとそこには弾と装薬を大砲の後ろからではなく、側面に開けらている開閉式の扉から入れているクルーの姿が見えた
(構造上仕方ないとはいえ、かなり装填の仕方が独特だな…)
「gyaaaaaaaaaaaasssss!」「gyaaaaaaaaaaaaa!」
(おっと、下はどうなってるんだ?)
そうしてみると多数の大型の魔物に蹴散らされていく中央方面軍の兵士達が見えた
「・・・・まずこいつ、、っと」プスッ!シューー!
ドカーン!「gyaaaaaaaaaaaasssss!」ドカーーンッッ!
(おお…すごい音だな…まぁピッタリ頭に直撃したし死んでもしょうがないか)
それ以降は多少は頭に近いものの外れて肩付近に命中し、肩を吹き飛ばしたりはするものの絶命までには至らなかった
(ふぅ、あと残り330発か、結構まだあるな…)
地上も大型の魔物が少なくなったおかげかだいぶ善戦しているようだった
(・・・・ちょっとおかしいな…)
ここまで撃破してきたのは大型の魔物のみで残りは中型や小型の魔物だったが、あるものがいなかった
(魔族が一人もいないな…)
そう、今まで魔族に出会ったのは初期の反抗作戦の頃であり、そこからはまったく見なくなってしまったのである
(俺の所は地方でそこまで激戦区ではないから少数しかいなかったと納得することができるけど中央、それも一番の激戦区に魔族が一人もいないのはさすがにおかしいな…そこまで数がいないのか?)
疑問を抱きつつも、とりあえずは目の前の戦闘に集中していく
「全軍突撃せよ!必ず王様に勝利を献上するんだー!」
「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」
「お前らも行くぞ!」「ちょ、ちょっと待ってよー!」
(あっ、あいつら地上にいたのか、少し懐かしいな)
地上にはヴィンカース砦で別れた仲間の勇者も見えた
(相変わらず一人だけで先行してるな…)
そうして1時間程度で勝敗は決し、こちらの勝利で終わった
(負傷者は後方に運んで軽傷や大丈夫なやつで進んでいくのか、地上も大変だな)
そうして進んでいくとすぐに林が見えてくる
(道が4方向に別れてるな…)
道の通りに地上軍は4方向に別れて飛行船は一方向につき一隻がついていくことになっていて、俺が乗っている飛行船は左から3番目のルートに行く兵士の支援に当てられていた、尚あと一個師団は負傷者の護衛と負傷者の補充用に兵士を分けて後方に退避していく
「勇者様、もうしばらくは反撃はないはずですので甲板まで行ってください、艦長が待っています」
「ん?あぁ、わかった」(艦長が待ってる?何のことだろう)
そう言われて甲板まで行くと、クルーの言っていた通り艦長がいた
「何の用ですか?」
「勇者様にこの景色を見てもらいたかったのです、船底には窓はありませんからね…」
「このぐらいの景色なら俺のいた世界ではいくらでも見れるぞ」
「私にはこの景色が一番なのです、何故か心が洗われる…」
「・・・それはなんでだ?」
「私はこの船の艦長を10年やっています、日々魔物に大砲を向け一方的に殺し続けるが、魔物にはそれに対抗する手段はない、それが私には魔物の大量虐殺に思えて仕方ないのです」
「だがそれは魔物側だって人間側をいとも簡単に殺し続けてるぞ?それでお互い様じゃないのか?それにあんたがどう思うが主人の王様達には関係ないことだろう」
「・・・確かにそうかもしれませんな、、、」
「じゃあ俺は寝に行くよ、墳進弾の製造でロクに寝てないんだ」
「・・・・・・・・・・・・・」
(俺はこういうロマンチストみたいなのは苦手だなぁ)
こうして俺は変な艦長と飛行船と共に進んで行くのだった




