第33話 久々
「急げ!いつ魔物共が来るかわからんぞ!」
いま俺は提案した防衛線を造っている現場を見ていた
(なかなかいい感じに出来てるな…)
提案しただけでここまでできるのは、確かな訓練の成果だろうと思いつつ、自分も多少は手伝えるだろうと堀も掘削を手伝っていた
「敵の接近を感知!総員中へ退避しろ!」
バタバタバタ!声を聞いて一斉に壁の中に入っていく、俺も事前に造っておいた狙撃スポットに行く
「弓兵隊構え!合図と同時に撃て!」
ドドドトドド!魔物の走る音が鳴り響く
(さぁ、、来たな、、)
バシャッ!バシャッ!バシャッ!(よし!かかったな!)
「放て!!」
ピュピュン! 「gaaaaaaaaaaaaa!」
即席の沼地で足を取られた瞬間に弓兵の一斉射撃した矢が襲いかかる
「よっし!やったぞ!」「面白いように当たるぞ!」
(やっぱり真ん中からも来るよねぇ)
全ての魔物が引っかかる訳ではなく、林の方から抜けてくる魔物もいれば中央の道から進んでくる魔物もいた
(だがそっちの方も対処済みだ)
「魔法隊!各自準備でき次第殺れ!」
ザシュッ!ザシュッ! 「gaaaaaaaaaaaaa!」
これは先のケンタウロスから逃げるときにも使ったものだ、俺の場合は一人しかいなかったので少数の針しか生やせなかったが、十人もいればあたり一面が針地獄と化す
「報告!新たな敵反応なし!防衛成功!」
「よっしゃあぁ!」「壁に辿り着かせなかったのは初めてじゃないか!?」
(これを相手が「疲弊」するまで続けるんだよな、、一体いつまでやれば「疲弊」するんだろうか…)
この前の反抗作戦は拠点となるヴィンカース砦が近かったため一旦防衛線が崩壊しても立て直しが可能だったが、ここは拠点となる場所からも遠く、防衛線が崩壊しても立て直しが効かない場所であった
(つまりここで防衛が失敗することは大幅な撤退をしなければならないことを意味する、たぶんそれは師団長が一番わかってるだろうな…)
「はぁ、俺抜きでもだいぶ防衛力があるだろうし、ちょっと昼寝でもするか…」
久しぶりの昼寝に体もそれに応じて眠気を出してくる
「ふわぁーぁ、あくびなんて久々だな…」(まぁ最近は忙しいことばっかりだったし、たまには良いだろう…)
そう呟いて俺はしばしの眠りにつく
〜2時間後〜
「zzzzz〜」(そろそろ起きるか、、、、、、嫌だなぁ、、、)
「うん?」(何が起きてるんだ?)
下を見ると、兵士達がなにやら騒がしくあっちに行ったりこっちに行ったりしていた
「おーい、何かあったのか?」
「あっ、勇者様!急いで師団長のところまでお行きください!」
「うん?わかった」(本当に何があったんだ?)
そうして俺は言われた通りに師団長のところにまで行く
「あぁ勇者様、急いで後方に行く準備をしてください」
「それは何故だ?」
「王様の会議で召喚された勇者全員を中央で集中運用して敵主力を突破する一大作戦が開始されるということなので、現在飛行船着陸の為の場所を急ピッチで開拓中なのです」
「表で兵士達があっち行ったりこっちに行ったりしていたのはそれか」
「はい、つきましては勇者様も後方に出発する準備をしてください」
「あぁわかった、だがここの防衛は大丈夫なのか?」
「新設される歩兵師団が増援に来るので大丈夫です、ご心配なさらず」
「それなら良い、今後は任せますよ」
「承知しました、、、おっと、もう着く時間です、ご準備を急いでください」
そう言われて今度は隠してある銃などを透明化して持っていく
「勇者様、ついにお別れです、ご無事を祈っております」
「あぁ、期待しておけ」
そうして着いた飛行船はこの前に乗った飛行船と違って、かなり大きい船体がある飛行船だった
「それでは、こちらに」
飛行船のクルーに連れられて飛行船に乗る
「勇者様バンザーイ!」「「「バンザーーイ!!」」」
兵士達の声が林に響く
(俺は確かに銃とかを扱うから他と比べて強いとは思うが、バンザーイと言われるような英雄的なことはしていないと思うんだがなぁ…)
「それでは出発いたします、各員持ち場につけ!上昇!」
ギューーー!
(まぁこの際飛行船の軋む音はもうデフォルトだとしようか…)
そうして浮かび上がった飛行船に揺られて目的地である中央方面軍がいる地点に向かっていく、この勇者を一度に集めるのが吉と出るのか凶と出るのかはまだ誰にもわからなかったのであった
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