第29話 飛行船
俺は飛行船から結界を攻撃するための飛行船の発着場に向かうべく、森の中を最短距離で進んでいた
ガタン!(うおっ!また跳ねたな、これで何度目だ?)
「勇者様!この先さらに不整地なのでもっと跳ねます!お気を付けください!」
「あ、あぁわかった」(気を付けるって言ったってどう防げばいいんだ?)
しょうがないので荷物を即席のテープで固定する
ガタン!ガタガタ!(このままだと俺自身より車輪の方が心配だな、、)
テープで固定したおかげで荷物は落ちて来なくなったものの、台車の振動で俺自身が跳ねて転げ回るという事態になっていた
〜2時間後〜
「勇者様!見えてきました!発着場があるラードフィア市です、、ってあれ?どうなさいましたその傷は?」
「あぁ、気にするな、それより着いたんだな」(めちゃくちゃ痛え、、)
「はい、連絡によるともうすぐで飛行船が到着いたします、それで私は送り次第野営陣地まで戻ります」
「あぁ、わかった、ありがとう」
そうしてなんとか到着した俺は飛行船が来るまで用意された部屋で休んでいた
(あぁ、やっとあの地獄のような時間から開放されたか…酔わない体だったから良かったものの酔いやすい人はあそこでアウトだったぞ…)
そんなことを思いつつちょっとだけ周りを見てみる
(どこも建築様式は一緒なのかほとんどの家が一緒の見た目だな、少しだけ違っていてもいいと思うんだがな…)
聞けばこの建築の指示は王様からで、全ての国民が同じ位という証として、住む家の見た目は全て同じという指示を出している、、ということだった
コンコン!「勇者様、飛行船が到着いたします、発着場までお越しください」
「あぁ、わかった」(急いでいたから予想はついていたがやっぱりすぐに飛行船が来るよな、、)
それで発着場まで行くと多少の距離があるが、飛行船が見えていた
(思ってたのより小さいな、まぁ大きかったら見つかりやすいし、この程度がちょうど良いだろう)
そうして着いた飛行船は、王城で見たものとは違っていて、スクーターのような見た目に、楕円形のごく一般的に想像される気球の付いた飛行船だった
「さぁ!早くお乗りください!」
そう言われて乗ると、とても安定した浮遊を感じることが出来た
「それでは発進します!出撃!」
そう言われて後部にいた複数の魔法使いの人が帆船でいう帆のような見た目の部分に風魔法で風を吹かせる
ギギィーッ(おいおい、大丈夫かコレ?)
そうして上昇していきある程度の高度になったところで今度は前に進んでいく
(さて、こっちは爆弾ぽい何かを創っていくか、、本当は馬車の中で創れたら良かったんだが、あの運転だったからなぁ…)
そうして創っていくのは墳進弾、ミサイルの1種を創っていった
(あの結界に近づいたときにわかったが、俺がいつも持っていた銃はなんの損傷もなかったからおそらくあの結界は生物にしか効力を発揮しないだろう、だとすれば生物ではない墳進弾は何も影響がないはず、、)
そうして出来上がったのは魔力で風を吹かせて進み、爆薬量も2kgある墳進弾を20発創った
(多分これで魔力放出量が高いところを絨毯爆撃すれば大丈夫だろう、しっかしコレ重いな…)
それから1時間後、目的の基地が見えてきていた
「勇者様!そろそろ目標地点です!準備をお願いします!」
(さすがに馬車より早いな、さて、、、とりあえず、魔力放出量が高いのはどこだ?)
そうしておよそ一年前に教官から教わった魔力量を見る力を使って探していく、、、
「ッ!あったな、かなり小さいが、放出量が周辺に比べ高くなっている、教官から教わっておいて良かったな、、」
その昔、一年前のキメラ戦の後に教官に魔力量を見るようにする訓練を受けさせてもらっていたのだった
〜一年前〜
「なに?魔力量を見えるようになりたい?」
「はい、教えて頂けませんか?」
「そりゃ私は構わないけどね、かなりの訓練がいるよ?」
「それで良いです、教えてください」
「じゃあ今日の訓練の後に私の部屋に来な、その間に練習相手を攫ってくるから」
「はい」(おい!今この人攫ってくるって言ったぞ!)
そうして5時間の訓練の後に教官の部屋に行った
コンコン!「失礼します」「入りな」
ガチャッ
「ようやく来たね、待ちくたびれたよ」
「はい、、、ところでその目隠しされた人は誰ですか?」
「あぁ、そこらへんを歩いてたメイドを攫ってきたんだよ」
「いやいやいや!それ王様に仕えてる人でしょう!?」
「なに、あの王様(変態ジジイ)に仕えてるんだ、攫って来ても良いだろう?」
「まぁもう驚きませんけどその人で何をするんですか?」
「まずはこいつを見な」
「その人が何か?」
「目を見開いてよく見ろ、それで何か感じ取ったらそれをもとにこいつの魔力量を言ってみな」
「・・・・・・・100・・・」
「惜しいね、答えは20だよ」
「全然惜しくないじゃないですか!」
「まぁ待ちな、基本的には初めの頃は例えば答えが100としてそこから誤差が1000くらいなんだ、そういう点ではお前は惜しかったんだよ」
「・・はぁ、それでこれを当たるまで繰り返せと?」
「もちろんだよ、それ以外に何かあるのかい?」
「・・・いいえ」
「じゃあとっとと続けな」
こうして俺の特訓の日々は始まっていったのだった




