第22話 勝利の宴
俺は今、イリア大佐の部屋に来ていた
コンコン!「失礼するぞ」 「お入りください」
ガチャッ!
「それで?ここへ呼び出した用件は?」
「まずはそこに座ってください」
そう言われ用意されていた椅子に座る
「・・・まず、時間稼ぎとはいえあれだけの奮戦、お疲れ様です」
「なに、仲間が突っ込んで行ったからしょうがなくだ、そう言えば今彼はどうなっているんだ?」
「今は意識も取り戻してベットで休んでいます、ですが右手を負傷し、全治1ヶ月というところですね」
「それは良かった、それで本命の用件は?」
「・・・まず、私が増援として2個歩兵師団を送ったことはわかっていますよね?」
「あぁ」(ばっちり聞こえてたからな)
「それでその2個師団の内、1個師団の斥候が貴方様の戦いを見ていたそうです」
「ふーん、それで?」
「その斥候が見たのは空中に浮かんでいる見たこともないような槍を操って戦う貴方様だったそうです」
「へえ、それがどうしたんだ?」
「問題はその槍です、空中に浮かんでいたのもそうですが、まずその槍を回収したところその使用されている素材がわからなかったそうです」
「仮にそうだとしても、俺はそれの槍の事を言わなければならないことなのか?」
「もちろんです、今王国で一般的に使われている剣の金属よりも多少のブレはありますが、およそ4倍程度の強度があるならなおさらです」
「それで?その槍の素材で剣を量産しろと?」
「それ以外にお呼びした理由がありますか?」
「わかったよ、だが少しだけ考えさせてくれ、俺も簡単にただの人間兵器工場になるつもりはない」
「もちろんです、我々も勇者様がそうなるのは望んでいませんから」
「どうだがね、これで失礼させてもらうぞ」ガチャッ バタン
「・・・私も成果を挙げないといけないのですよ・・・」
その夜、勝利の宴が開かれていた
「いぇーい!飲め飲め!」「うわっ!?何をするだよ!」「あっはっはっ!お前言葉がおかしくなってるぞ!」
ガヤガヤガヤガヤ
「まったく、宴や祭りとなると何処でも途端に騒がしくなるな・・・」
(レクテナもそうだったが、この世界の人は祭りとなると騒がしくなる傾向でもあるのか?俺にはさっぱり分からんが・・・)
「おーい!肉の解体ショー始めるぞー!」
「いぇーい!」「おおーー!」「さっさと始めろー!」
「よーし!じゃあさっそく行くぞ!」バサッ!
そうしてそこにあったのは昼に頭を刺したあのイノシシだった
(おぉちゃんと血抜きをして臭みを無くしているな、、ていうか頭がもう切り取られてるな)
「オラァ!」バサッ!
「「おおーー!」」
ところどころに芸も挟みつつ着実に肉を切り取っていく
(やり方は地球でイノシシを剥ぐのとなんら変わりないな)
「ほらっ!次に回せ!」「あいよ!」
ストトトトトトト!
「「おおーー!すげー!」」「めちゃくちゃはええなー!」
ものすごいスピードでイノシシの肉が丁度良いサイズに切られていく
「はい!次!」「よし、こい!」
ジューーーー!ジューーーー!
「おほーー!」「匂いがたまんねぇー!」「早く食いてぇー!」
(確かに良い匂いがしてくるな、、、)
「はい!いっちょあがり!次ィ!盛り付け!」「あいよぉ!」
(すごい手付きで盛り付けられていくな、、、)
「はい!お待ちどう!食ってよし!」
「「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
(うわっ!我先にと群がっていやがる、そんなに美味いのか?)
「ああっ!お前らちょっと待て!ああ!もおお!」
(なんかやってるな、止めようとしてるみたいだかまったく聞いてないな)
「ハァ!ハァ!勇者様!1切れしか確保できませんでしたが、どうぞお食べください!」
「ん?あぁ、ありがとう」(ううっ、近くだと匂いも強烈だな、無性に食欲を掻き立てる匂いだ)
そして俺は届けてくれた肉を食べる
「・・・・・・・・・・・・・・・」「ど、どうですかね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」(なんだこれは、、、)
「う、、、」「う?」
「美味い!」
(なんだこれ!?噛めば噛むほど肉汁が溢れてヤバ過ぎる!これ本当に猪肉か!?)
「はっはっは!そうでしょう!猪肉は私の得意とする部類の肉ですからね!」
「あぁ、ありがとう、凄く旨かったよ」
「これぐらい何でもないですよ!もっとあるので食べてください!」
「それはそうとこれはすごく飲み物が飲みたくなってくるんじゃないか?、、、」
「はっはっは!違いないですね!」
「「「あっはっはっはっは!」」」
そんなこんなで勝利の宴は朝まで続いたのだった、、無論イノシシは骨を残して何も残らなかったのは言うまでもない




