第19話 ようやく前線
「うーん、この部分はこうするか、、、いや、まずああするか、、」
今俺は盗まれた馬の代わりになる機械を創るために設計を行っていた
「勇者様、進捗はいかがですか?」
「ん?あぁもうすぐ終わるよ、、、、よし!」
(おそらくこれならうまく行くだろう)
さっそく機械に必要なパーツを創っていく、最初の頃と比べレベルアップしたことにより創れる幅が広がっていたのだ
「おーい!組み立てるから台車を持ってきてくれ!」
「承知しました!おい!さっさと台車を持ってこい!」
〜1時間後〜
「おぉ、これで完成ですか?」
「あぁ、これで完成だよ、ちょっと乗って見てくれ」
そうして出来上がったのは台車の先頭に大きいタイヤを一本くっつけた台車と自転車を融合させたようなものだった
「おぉぉぉ!これはとても快適ですぞ!」
(ちゃんとエンジンも使えているようだな)
この馬車の動力は魔力で動くホイールを使った疑似エンジンで、例えるならば自転車のチェーンホイールの役割がこのホイールである、つまり魔力を通せば自転車のようにペダルを漕ぐこともなく、動かす事ができるというわけだった
「隊長!俺も乗らせてください!」「俺もです!」「俺も!」
「はしゃぐな!そのうち変わってやる!荷台にでも乗っとけ!」
(まるで新しいオモチャを与えられた子供のようだな)
〜1時間後〜
「ハッ、お前ら!もうそろそろ出発の時間だ!準備をしろ!」
「「「了解!」」」
そう言って全員馬車から離れて自分の馬車まで戻っていく、しかしまだ乗りたそうな兵士も少し見られた
(前線に着いたら全部の馬車に付けてやるか)
そう思いつつ俺も初めの馬車に戻る
「全員乗ったな!それでは出発!」
ガラガラガラ!
(うん、どうやら安定して進めているみたいだ、これなら馬車が行ける場所なら何処へでも行けるだろう)
自分の馬車の出来に満足しつつ少し眠りにつく
〜29日後〜
あれから特に何もなく元のルート日戻って一番前線に近い街まで着いていた、ここからさらに前線に近い人がいる場所となると野戦司令部となる
「ふぅ〜やっと着いたぞ!」
「おっ、マジか!?やっと着いたか〜いい加減飽きてきたところだったぜ」
(まぁ約一ヶ月同じ飯に長時間馬車での移動だったからな)
「ここはアルブェント砦です、中に小規模な街もありますが殆どは砦としての施設ばかりとなっています、ですが殆どの住民は避難していてここに配属されている東部方面軍兵士しかいません」
「へ〜それで飯はどうなってんだ?」
「もちろん質の良い食事が用意できるはずです」
「よっしゃゃあ!」
(そんなに旅で食っていたものが嫌だったのか、、、別に俺は食えれば何でも良いと思うんだがな、、)
「開門!」
ギギギギー!そんな派手な音が鳴り響いて門が開く
「お〜レクテナより壁がでかいな〜」
「ここは魔王が各国に宣戦布告した後に対魔族用に壁の改修工事が行われていましたので今や王都の壁よりも高く、頑丈なはずです」
(ふーん、それは頼もしいな、、)
「それで劣化してはいないのか?」(レクテナみたいなボロボロだと話にならないからなあ)
「もちろんそちらの方も十分な耐久を持っているも伺っております!」
「報告します!少数ながらも敵が接近しています!そして勇者様方は司令所まで来るようにと仰せつかっております」
そういうのはここの兵士であろう人で、どうやら呼び出されているらしい、というか
(俺は街に着くと襲撃される用になっているのか?)
そう思いつつ兵士に尋ねる
「それで司令所は何処だ?」
「私が案内いたします、こちらへ!」
〜4分後〜
「ふぅ、ここなかなか広いな、、まるで迷路だぜ、、」
「こちらです、お入りください」
「はるばるご苦労さまです、どうぞおかけください」
そう言ったのはまさかの女の人、しかもかなりの美人な人だった
「こちらは東部方面軍副司令のイリアネット・グローセ大佐です・・・」
「なに言ってるのよ、私はイリアネット・グローセ・レクテナよ、それは昔の名前じゃない、勇者様、気軽にイリアとお呼びください」
(ん?レクテナ?)
「おぉじゃあイリアさん?俺は、、、」
「葛城正人さんね、私の指揮下に入る人の名は覚えているわ、それはそうと貴方様はレクテナを通りましたよね?」
「あぁ確かに通ったが、、それがどうしたんだ?」
「実は私はレクテナの市長と結婚しているのよ」
「「「「・・・・・・・ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」」」」
(あの市長がこんなにキレイな人と結婚しているだと!一体どうなってんるんだ!?)
「今まで何度か結婚していると言っているのですが、ここまで大きな反応は始めてですね」
「・・・・・・・・・・・・」
(衝撃過ぎて放心状態で口が開きっぱなしになっているな、、、)
「あの〜?ここまで驚かれると私も困るのですが〜」
「あぁ!すいません!」
「ところで二人の関係はどんな感じなんですか?」
「ふふっ、秘密です、聞きたければ魔王を倒してからにしてください」
そんな事を話していると
ドカーーン!ガラガラガラ!
「一体どうしたのだ!?」
「報告します!新種の魔物の攻撃で壁の一部が崩落しました!このままでは戦線を突破されます!」
「なんですって!?ここから前線まで4Kmは離れているのですよ!それに新種とは一体どういうことですか!?そんな事は聞いていませんよ!」
「他の背の高い魔物に隠れて視認が遅れたようです!」
「くっ、、、なんとしてでも食い止めなさい!周辺に手空きの2個歩兵師団があるはずです!それをここへ急行させなさい!」
「ハッ!」
(ここから前線まで4Kmということは長遠距離タイプの魔物が出てきたと言うことだな、魔王軍も本気で来ているようだ)
「申し訳ありません勇者様、直ちに前線まで向かって歩兵師団が来るまでの時間を稼いでほしいのです」
「よっしゃ!任せておけ!みんな行くぞ!」
(お前マジで言ってるのか!?)
そう言って部屋から出ていく
(・・・しょうがないな、俺も行くしかないか)
「・・・ご武運を・・・」
さぁ相手は新種の魔物、どうやって倒すかね




