第16話 出発
「・・・いつもの鳥公がいないせいか少し寂しいな・・・」
そんな事を呟いて体を起こす
「ふぅ、昨日はさんざんだったな、謎に市長は強いわ、女の人でもない人に街を連れ回されるわ、表彰されるわ、、、って全部市長のせいじゃねぇか!」
(そう言えば市長市長言ってるが名前を聞いたことがなかったな、今度聞いてみるか?)
コンコン、「勇者様、今後の予定をお話をしに参りました」
「あぁ入ってくれ」
「失礼します」ガチャッ
(あっあの大事な時にポンコツだった人じゃん)
「今何か失礼な事を思いませんでしたか?」「いやまったく」
「それで今後の予定って城を出るときに言わなかったか?」
「それが昨日の襲撃の際に魔物が橋を通過して破壊してしまったので回り道をすることになったのです」
「ほぉ、それで?」
「まずはその橋で迂回して次の橋までおよそ5日かかるのですが、そこに行くまで2回中継地点となる街を通り、橋を通って元のルートに合流します」
「わかった、それだけか?」
「はい、これで以上となりますので失礼します」ガチャッ
(まったく魔物にも困ったものだな、まぁあれだけの数だったし橋が壊れてもしょうがないよな)
〜2時間後〜
「うっうっ、これで勇者様ともお別れですな」
「泣かないでくれよ大人で男がみっともない、また来てやるよ」
「おぉそれは何よりのお言葉ですな、勇者様の勝利を我ら一同祈っております、必ずや勝利を収めてください」
「あぁ任せておけ」(正直今の段階でどうなるかはわからんがな)
「それとあんたの名前はなんて言うんだ?」
「おぉそう言えば申し上げておりませんでしたな、私はアルスディヒ、アルスディヒフォールレクテナと申します、親しい者はアルスと言います」
「あぁ、わかったよ、俺の名前は・・・」
「白石悠也殿ですな、勇者様の名前はよく知っております」
「何処でそれを?」
「ここに来られる勇者様のお名前は特に覚えさせてもらっております」
「なるほどね」
そんな事を喋っていると
「勇者様、出発します!」
(おっと、もうそんなに経ったか)
「それでは、またのご機会に、」
「あぁ」(なんだかんだ良い人だったな)
そして7分後
ガラガラガラ!
(別れって言うのは何時でも寂しいな、、何時でも会えると分かっているのにな、、、)
「勇者様?ご気分が悪いのですか?お顔がすぐれませんが」
「そいつのことは気にしなくていいぜ、いつも何考えてるのか分かんねぇからな」
「そうなのですか?」
「好き放題言いやがる」(まったく多少は分かるだろう)
「ハッハッハ!でも俺には何考えてんのか分かんねぇんだよ」
(うーん、しばらく表情を出す訓練でもするか)
そんな事をしていると馬車を運転している兵士が声を出す
「勇者様方!雨が降りそうです!急ぎ台車に布を被せてください!」
「ん?布ってこれか?」
「はい!そうです!それを馬車の骨組みに被せてください!それで雨を凌げます!」
ポツ、ポツ、ポツ、確かに雨が降ってきそうだな
「おっしゃ!お前等手伝え!」
「ええ〜嫌なんですけど〜」「男子がやってよ〜」
「チッ、まったく使えねぇな、おい!これをそっちに持ってくれ、これをそっちにやってああやるんだろう」
「いや説明雑だし俺強制参加かよ!?」
「うるせぇ!さっさとしろ!」
〜2分後
「ふぅ、なんとか間にあったな」
「アーソウダナーマニアッテヨカッタナー」
「悪かったって、しょうがないだろう?お前しか使えなさそうなんだからか」
「それで殆どの作業をした俺の気持ちを答えよ」
「いやー楽で幸せだわー」
(こいつ、俺には作業をさせて自分だけ座って指示だししかしてなかったからな!)
ザーーザーーザーー!
「おっと、本格的に降って来やがったな、ていうか運転してる奴大丈夫か?」
「大丈夫です、とっくに雨は訓練済みですのでご心配なく」
「ふーん、しっかし俺たちがいた世界じゃ普通出来ないからこういうのは新鮮でワクワクするな」
〜23分後〜
ザーーザーーザーー!バシャーン!ゴロゴロゴロ!
「おい、なんかこれ大丈夫か?」
「・・・これはしばらく木の下で休む必要がありますね、しばし馬車を止めますので勇者様方はそのままでいてください」
こんな感じで予定が狂いまくりの前線への行き旅なのであった
(これいつ着くのか分かんねぇな)




