第13話 攻城戦
そこに広がっていたのは徐々に押されている兵士達の姿だった、死体もありそこら中に血と戦闘の臭いが充満している
「まさかとは予想が当たるとはな、だが予想されていたことだ、ちゃんと対策も用意してある」
「撃てー!撃てー!味方を援護しろ!」
「しかし隊長!味方が近すぎて誤射の危険があります!」
「それはお前の訓練不足だ!ちゃんと狙えば敵のみに当たる!」
「そ、そんなあ、俺に味方を殺せと言うんですか!?」
「それがどうした!ビビったなら下に降りてお前も戦え!」
(ハァ、何処にでも鬼はいるのか?)
そんな事を思いつつ「創造士」で硬く強化した土の槍を敵の頭に発射していく
(土とはいえ鉄程の硬度を持たせてある、小さい奴なら一撃だが大きい奴は3発ぐらいいるな)
「しかし奴らは何処からこんな数が来たんだ?目測で4000くらいいるぞ」
そしていくら倒しても進んでくる敵にとうとう殲滅力が追いつかなくなってきていた
(ふぅ、このままだと不味いな、敵に突破されてしまう)
そうしていると遂に中央にいた最後の一人が倒れた
「guuoooooooooo!」「gaaaaaaaaa!」
「敵に突破されたぞー!」
そして50秒程で壁にたどり着かれてしまう
ドシーン!パキパキパキ!
「え?めちゃくちゃ脆くない?」
ここで護衛の人が呟いた
「そう言えばこの壁数十年補修してなかったような………」
(・・・そりゃパキパキってなるわな!アホだろ!)
「しょうがない、丸太か石はあるか?」
「・・え?城
内の製材所か伐採所であれば丸太はいくらでもありますけど・・・」
「それをありったけ持ってきてくれ、大急ぎでだ!」
「わ、わかりました」
(さて、持ってくるまで時間を稼ぎますかね)
そうして俺は壁を殴られたら修復してを繰り返していた
そして15分後、、、壁の下から
「勇者様!持ってきました!ありったけの丸太です!」
「よし、それを壁の上に引っ張り上げろ!」
「はい!」
よく見ると街の人まで参加して壁上の滑車を使って持ち上げている
「みんな頑張れ!この街を守るんだ!」「「「おうっ!」」」
(なかなか感動させてくれるな)
「勇者様、これをどうなさるのです?まさかこれを転がして魔物を押しつぶすんですか?」
「半分正解だ、落とすのは間違いないんだかそこに俺の能力で針をつける、それで魔物を串刺しにする」
「落として刺さるもんなんですか?」
「見ろ、この壁は外に向かって広がってるんだ、だから針の方を下に向けて落す、すると相手の頭に命中するという訳だ」
「な、なかなかえげつない倒し方ですな」
「まぁ現状これしかないからな」
そうして出来上がったのは一列に6本程度で太さ60cmの針を生やした30本の丸太だった、途中何度も壁を殴られ手をそちらに回さないと行けなかったがようやく完成した
「よし、落とせ!」「「おりゃ!」」
ガラガラガラガラ、ザシュッ!
「よし!一番デカい奴を倒したぞ!」「「よっしゃあ!」」
「どんどん落とせ!」
ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!
(すごいな、我ながら中々の威力だ、あれだけいた魔物も今や50体程に減少している、無論俺も特製丸太を増産しまくって相手がむやみに壁に突っ込んできてくれたおかげだが)
そして最後の一体が倒される
「やったあぁぁ!」「街を守ったぞー!」「ざまぁ見やがれ魔物どもー!」
(かなり有頂天だな、さっきまで魔物にビクビクしてたのにな)
「いやぁ勇者様の偉大なる知恵のおかげでこの街を守れましたよ」
そこに立っていたのはこの街は大丈夫だと言っていたあの人だった
「それよりも壁の補修を急ピッチで
お願いします、もうガタガタですよこの壁」
「わかっております、我々も不覚でした」
「それよりも負傷者は?」
「確認できただけでも死者1200人、負傷者1800人です今は民家を動員して負傷者の介護にあたっています」
「それは何よりです、ですが死んだ人も忘れないでください」
「無論、彼らは2階級特進の上、遺族に特進した者の給料1年分を差し上げています」
「それでは私は宿で休みます」
「あぁお待ちください、夜に祭りを行いますのでぜひご参加ください」
「まぁ起きていたら参加します」
こうしてこの魔物による攻城戦は幕を閉じた、だがそこには勇敢な兵士がいたことを忘れてはいけない




