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【1章1話:異世界キャプチャ】

 海上要塞都市・ハジマリ。



 100年前に訪れた大災厄(ヘヴィ・カタストロフ)をきっかけに作られた都市。

 大災厄とは眠っていた魔王の覚醒により引き起こされた災害である。その被害は甚大で、多くの命が失われた。大災厄を引き起こした魔王はそれ以来また眠っている。


 ハジマリは絶対的な魔法障壁によって守られており、もう二度と大災厄のような被害を出さないように、という願いを込めて創設された。

 

 実際にハジマリ創設以降、大きな被害は出ていない。


 しかし近いうちに魔王がまた覚醒するという噂が流れており、冒険者は魔王討伐のために日々鍛錬を積んでいる。



『君が最強の冒険者として魔王を討伐し、世界を救済しよう!』



 俺の目の前に表示された攻略サイトによるとそのようなことが書かれていた。


 とりあえず目的はわかった。異世界になぜ呼ばれたのか、などの異世界モノで気になる部分はある程度解決できた。

 攻略サイト曰く、俺はこの異世界を救うために召喚されたらしい。



 俺は海上要塞都市・ハジマリに召喚されてから、目の前に現れた攻略サイトを熟読した。

 ゲームと違ってリアルな自分が動くのだ。


 いつもやっているゲーム以上に慎重に情報を集めながら行動していかないと・・・・・・。

 

 ある程度攻略サイトを読み込んだ上でまず確認するべきことは、この世界にはパラメータが存在するということだった。

 

 実際に俺のパラメータを見るとこのようになっている。



    〈ステータス〉

     NAME:カイト

    レベル:1

   体術攻撃:5

  武器術攻撃:70

   身体防御:25

   魔術攻撃:0

   魔術防御:25

    俊敏性:25

      運:25

    スキル:

ユニークスキル:武器術の達人



 レベルアップで上がるのは戦闘に関する能力と、運のみで、レベルが上がることで知能が上がるなどの要素はないらしい。


 体術は拳など直接身体を使った攻撃、武器術は武器を使った攻撃のようだ。身体防御はそのふたつに対応している。

 魔術防御は魔術攻撃に対応している。


 そして俊敏性は素早さで、これからの生活で運が影響することもあるらしい。


 スキルは未所持だがこれから手に入れることは容易で、ユニークスキルは俺特有のスキルのようだ。


 どうやらユニークスキルは一人一つ与えられているらしく、誰もが自分だけのユニークスキルを持っているということだ。


 ステータスは100が最大数値でレベル1の基本値は25、そこからレベルアップによって数値を上げられる。自分で育成方針を決めていたら重点的に決めたパラメータが上昇しやすくなる。



 今後の攻略において運が確率的にもパラメータ的にも絡んでくることがあるらしい。だから俺は武器術と運が重点的に上昇するような育成方針に決めた。


 どうやら俺は武器術に長けている代わりに、体術や魔術はからっきしのようだ。そしてユニークスキルは武器術強化らしい。


 しかし名前から武器術強化とわかっても、攻略サイトにはユニークスキル〈武器術の達人〉の詳細な説明が書かれていなかった。


 この攻略サイトは神に与えられたモノなのか、それとも誰かが作ったモノなのかわからないが、少なくとも作製者にさえも俺のユニークスキルは明らかになっていないらしい。


 異世界の住民のユニークスキルは明らかなのだが、俺のだけ詳細が記載されていないのだ。

 召喚された者だからなのだろうか・・・・・・。

 

 なにはともあれ本当に俺だけのスキルという感じで胸が高鳴る。しかし攻略サイトに載っていないのも不安なので後でいろいろ試してみよう。




 ということでパラメータの確認ができたので、俺はやっと行動を始める。

 ハジマリは中枢が都市部で、都市部の周りが森に囲まれていて、森の奥に野原と海が広がっている。


 俺の初めの目的は森を抜けて都市部へと向かうことだった。


 森にはモンスターがいるらしく、戦闘能力の高い者しか入ることが許可されていないらしい。

 俺は武器術においては戦闘能力が高いが、今は武器を所有していないためモンスターに襲われる危険があった。


「まあ攻略サイトに森の抜け道が書かれてるんだけどね・・・・・・」


 俺はモンスターと遭遇しないですむルートを使って都市部へ向かうことにした。


 そういえばこれからこの攻略サイトとは長い付き合いになりそうだ。なんてったって魔王討伐までの人生を共に過ごすのだから。



 というわけで攻略サイトに名前をつけることにした。



 本来は異世界徹底攻略と書かれたサイトだからイセテツとかが良いのだろうが、イセテツは俺的にとてもダサく感じた。



 だから俺はこの攻略サイトに〈異世界キャプチャ〉という名称を与えた。



 キャプチャは攻略という意味を持つ。そして、異世界での幸せを掴み取る、という想いを込めて異世界キャプチャと名付けた。


 異世界キャプチャに教えてもらった抜け道によって、俺は無事に森に着くことができた。


 都市部は異世界キャプチャに記載されているように中世風の街並みで、石造りの地面が特徴的である。


 街の人には鎧やローブや布切れを身に着けた人もいて、多種多様な服装である。まさにファンタジー世界という感じの服装で、俺みたいなジーパンにパーカーの服装はいなかった。


 髪の毛の色も様々で俺のような黒髪は少なかった。



「これが異世界か・・・・・・。ファンタジーの世界にやってきたみたいだ・・・・・・」



 今まで野原、海原、森しか見ていなかったため現実世界と代わり映えなかったが(もちろん埼玉県とは全然違うけど国内の景色とは大差なかった)、実際に中世風の街並みを目撃するとやっぱりここは異世界なんだと実感する。


 そして異世界キャプチャに載っている写真の世界に、俺が実際にいることに感動し、やはり攻略を見るだけでは感動は感じないし、行動することが大切なんだと感じる・・・・・・。






 召喚される前、友達に



「攻略サイト見ながらやってたら感動とかしないで楽しくなくね?」



と聞かれたことがある。

 このような質問は何度もされたが、俺は攻略サイトを見ながらでも、感動を感じることができるし、楽しかった。


 攻略サイトは後悔しない選択をするためのツールである。そこから感動を感じることはない。

俺は最善の選択をできることで、最も感動し躍動できると思っている。最善の選択は攻略サイトというツールに頼るが、最善の選択による恩恵を受けるのは自分である。


 だから攻略サイトを見ることで最大級の感動や楽しさを得ることができるのだ。これが俺の考えである。



 実際、異世界キャプチャに頼ることでいち早く抜け道を使って異世界の感動を味わえることができた。


 攻略方法がわからなければ森で襲われてバッドエンドだったかもしれない。それこそ感動もないし、楽しむことさえもできないだろう。


 無事にハジマリの都市部に到着できたので、俺は異世界キャプチャに最大級の感謝をした。


 異世界キャプチャを開いているときに街の人がそれを気に掛けることはない。視線が俺の服装に行くことはあるが、異世界キャプチャのことはどうやら周りには見えていないようだった。



 (周りに見えていないということは、あのことも本当なんだろうな・・・・・・)



 実は先ほど吟味したステータスだが、異世界の住民は確認できないらしいのだ。

 

 つまり異世界の住民は自分が体術に長けているのか、はたまた魔術に長けているのかなど確認できないようなのだ。

 

 しかし俺は住民のステータスもスキルもユニークスキルも知っている。異世界キャプチャに書いているからだ。


 下手したら俺の方が住民のことを理解できている可能性だってあるのだ。

 ステータスに関しては極力他者に教えることを避けようと思った。知らない人が自分のことを熟知しているのは怖いだろうし、人に干渉しすぎると良くない結果を引き起こすことだってある。


 俺は小学1年生以降、変に介入することは避けているのだ・・・・・・。



「さてと、とりあえず魔王を倒すのに必要なのは仲間だが・・・・・・」



 仲間を作るなら自分の欠点を補ってくれる者がいいだろう。特に魔法に関してはステータスが0なので魔法に長けた仲間が欲しい。


 実はもう異世界キャプチャでその仲間の目処はつけていた。


 そして彼女は運25以上ならもうじき俺に話しかけ、仲間になるフラグが立つ。

 俺の珍しい服装に注目して声を掛けてくるのだ・・・・・・。


「おにーさん変な服してるね! 最近ここ来たヒトー? 名前はー?」


 魔術に長けている少女が俺に話しかけてきた。


高評価などよろしくお願いします!

次回からヒロイン登場します。


活動報告等Twitterでやってるので是非フォローお願いします!

Twitter:@superNATEman1

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― 新着の感想 ―
[良い点] 小説の中にパラメータの表示を埋め込むなど、斬新な表現。 [気になる点] 冒頭の異世界キャプチャの抜粋と主人公の独白で表現に差がないのはもったいない気がする。 インデントや装飾を加えて、「サ…
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