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さて、ここは……

がチャ、とドアが開くような音がして空間が開いた。


『やっと見つけましたよ何してるんですか!』


目の前のポンコツ──は演技だったな、なんて呼ぶか──は面倒臭そうな顔をした。いや言いやがった。


『うわー超面倒な奴が来た。──デライドだ、デラでいい』

『はぁ!? 誰のせいで小言ばかり言ってると──まさか』


心を読むなそして何故こちらを見て息を呑む。


『いつかやると思ってましたよこの誘拐犯!』

『(一応)誘拐じゃねぇし? そうだよな』

『えー……まぁ、そうかもしれないですね』


怒られてやんのざまぁ。


『あー……何つーかアレだ、今流行りの異世界転生してんの』

『流行り物に1度も興味を示さなかった貴方が!? 一体何を企んで──むぐっ』

『はーい静かにしようなー物騒な事言わねーの。そんなに気になるならお前が変わるか?』

『──えぇ、貴方の仕事は大雑把過ぎて信用出来ませんしね! 前に転生させた時も──』

『あーはいはい分かった分かった。後は任す』

『耳を塞がない! 任されましたよ、彼の為にね!』

『そう怒るなって。──頼んだ』

『全く秘密主義が過ぎますよ────やり残した仕事に戻ってください』

『はーい了解。良い人生を、な?』


デライドは最後にそう言い残してヒラヒラと手を振り──ドアへすたすた歩いて行った。

……なんて言うか、締まらねぇなぁ。


『……こ、こほん。それでは、転生手続きの続行を──』


この真面目眼鏡さん、苦労してんだな……。そう思うと生暖かい目になった。



◇ ◇ ◇



『──彼に生暖かい目で見られたんですけど。で、何を企んでたんです?』

『内緒ー。冗談だって睨むなよ。──近々ウチのにチョッカイが掛けられる』

『まさか! 世界の管理者同士で小競り合いなど御法度の筈です!』

『管理者同士で、ならまだ良かったんだがな。得体の知れない相手さんはいつの間にか世界を食い荒らしてるってハナシだ』

『そんな……そんな話、聞いた事がありません!』

『そうだろうな、箝口令が敷かれてる。絶望教団だかなんだか、真似されても面倒だ』

『それは……その為の転生者ですか?』

『まぁ、そうだな。“管理する世界で生きている者に干渉出来ない”なら、生きていない、つまり生まれる前に干渉するしかない。……本来の在り方を捻じ曲げる事を思えば、心苦しくはあるが』

『……おかしいと思ったんですよ。あの“特典”は容量に見合わなすぎた。今回も、前回も』

『こうでもしないと誤魔化せないんだよなぁ……違法じゃないが、奴等に手の内がバレるのは避けたい』

『此方に裏切り者が?』

『いーや。こっちが感知出来るなら向こうもまた然りって事さ』

『なるほど……』

『……そう言えば、彼に一つ伝え忘れたな』

『おや、何と?』

『前世のモノは持ち越せないって事』

『物は持ち越しようが無いとは思いますが……重要なのでは?』

『……………てへ』

『重要なんですね? 目を逸らさないでください。大体貴女はいつもいつも……………………』


◇ ◇ ◇

目を開く。

何処かで見たような森の中だ。

いや、暗いからそう錯覚しただけか?


嫌な予感に突き動かされるように1歩踏み出し、違和感を覚えた。


1()()()()()()()

おかしくないか、妖精に転生した筈なのに。


周りを見る。

()()()()()


自分が妖精サイズならもっとデカい、よな?

と言うか、


『羽、無くね?』


羽があるならそれっぽい感じすると思うんだよ。



◇ ◇ ◇



…………無かった。何故だ何故なんだ妖精の筈だろ! (ガクリ)


知ってたけどね? ステータス見たし。

でも【人間?】ってどういう事なの。コレが人間じゃなきゃ何だ。

確かに時間が掛かるとか言ってたけどこういう事? 仮の体で待っとけ的な?


──── (ジジジ) (ジジジジジジ)────ポンッ!


おう()!』


ッ、はぁ?


『はやく』

めぐしご(愛し子)?』

『こっちに』

『しにそう』


光球が急かすようにチカチカと光った。


『ちょ、ちょっまっ』


口々に言われたって聴き取れ──てるな、てか死にそうって早く言え!

クソ、嫌な予感ってコレだったのかよ!

────血の匂いがする。



◇ ◇ ◇



『ここ』

『いやしを』

『めいれい』


小さいの(妖精ズ)の案内先では血溜まりにボロボロの人間が俯せに倒れていた。


──彼は追い縋って叫んだ。

────待…、行か……か……!


『? …………』


今何か見えたような……?

倒れていた人間をそっと支え、血溜まりから除ける。まだ冷たくなりきらない血が手に着いた。

怪我人はどうするんだ? 市販薬も無い、包帯もない、安静にして、回復体位? そんなモン覚えてねぇよ!


『おう』

『これ、つかって』


差し出された葉っぱをひったくるように受け取り、ってどう使うんだよ、貼ればいいのか!?


『はって』

『となえる』

『ひーる』


しかもコレ、今切られたばかりじゃ無い傷だらけじゃないか……!


『ッ、治療(ヒール)!』


妖精と葉っぱが淡く光り、消えた。

傷は────塞がった、か?


『何とか、治せたのか』


おう()

めぐしご(愛し子)、ぶじ?』


『王じゃねぇ。──コイツを休ませられるとこ、あるか』


『ある』

めぐしご(愛し子)のかくれが』

『むこう』


『案内を頼む。……よいせ、と』


慎重に人間を背負って──振動は怪我人に良くないんだったか? ゆっくりと歩き出した。


異世界に転生して怪我人拾って治して──コレ、テンプレじゃなくね?

管理者=デライドは不真面目系。秘書的なのは苦労人系生真面目眼鏡。

(そして前書きでシリアス始まってるけど回収されるかわからんので気にしないでね!←

後最後の貴女は誤字じゃないよ!性別無し設定だから意味無いけどね!)

そしてごめん、彼って呼ばれてるけど実は転生者(コイツ)男じゃない。

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