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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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金鬼vs虎之助

 黒瀬くろせ若林わかばやしを連れて、転生者てんせいしゃさむらい僧侶そうりょを探していた。

 黒瀬が一般いっぱんの鬼にも指示しじを出し、街中まちじゅうの情報を集めていると、それらしき男が大阪府警おおさかふけいの近くにある公園に居るとの情報をた。

 2人は、さっそく公園へと向かう。

 目的の男は、公園内で竹刀しない素振すぶりをしているところであった。

「若林、やつは確か転生者のさむらいだ。牛鬼ぎゅうきの力をためして来い」

 若林の両手が、金属きんぞくのような巨大なつめへと変化していく。

「わかりました、行って来ます」


 剣の鍛錬たんれんをしていた左近さこんは、背後はいごするどい殺気を感じ竹刀しない真剣しんけんに持ちかえた。

「何者だ?」

 背後はいごに牛鬼となった若林がいる。

「悪いが死んでもらう」

 若林の左爪ひだりづめが左近の心臓しんぞうねらって伸びて来る、左近は左へ体をかわしつめけた。はずであったが、つめも左にまががり、しつこく心臓しんぞうねらう。

 左近は刀でつめろうとするが、かたくてれない。

「これはマズい」

 左近は若林に向かって走り、頭部に素早すばやく刀をろすが、右爪みぎづめふせがれた。

 その瞬間しゅんかん、左近に向かっていた左爪ひだりづめが、背中せなかさった。

「しまった!」

 ひざをつく左近に、容赦ようしゃ無く両爪りょうづめおそい、左近の心臓しんぞうつらぬいた。と、若林が思った時には、左近の姿すがたは消えていた。

「逃げられたな」

 黒瀬がつぶやいた。

「やつは、どこに?」

 若林はあたりりを見回みまわしている。

「今日は、もう良い。始めてにしては上出来じょうできだ、社長も満足されるだろう」

 黒瀬と若林は目的をたし、日本テクノロジーコーポレーションへと引き上げて行く。



 コンビニで小太郎こたろうにお菓子かしを買ってもらった虎之助とらのすけは、少しずつ機嫌きげんなおってきていた。

ねえさん、もうそろそろ宿舎しゅくしゃに帰りましょう」

「そうでござるね、帰ってばんごはんを食べるでござる」

「いや、夕食には、まだ早いと思いますけど」

 川沿かわぞいのベンチにすわり、2人で街並まちなみをながめながら、コンビニで買ったアイスクリームを食べていた。

 そんな、虎之助と小太郎の様子ようすを、少しはなれた所から1人の男が見ていた。

ーー商店街のコンビニからけて来たが、美味うまそうなむすめだ、ゆっくり味わってってやる。それにしても人気ひとけの無い川辺かわべに来たのは好都合こうつごうだ、まずは邪魔じゃまな若い男を始末しまつしてからむすめうかーー

 男は大きな一本角いっぽんづのが頭部にあり、全身が金色の金鬼きんき姿すがたへと変化した。右手には大きな金棒かなぼうを持っている。

 金鬼きんきは、持っていた金棒を、高速で小太郎に目掛めがけて投げつけた。

ガキーン!

 小太郎の刀が金棒かなぼうはらい落とす。

「何者や!」

 小太郎たちが気づいた瞬間しゅんかん、小太郎は金鬼きんきなぐり飛ばされた。

「うへぇー」

 小太郎は、っ飛んで行った。

「くせものでござるな」

 虎之助の刀が金鬼きんきの首をる。

カキーン!

 しかし、金鬼きんきの首は切れず、なんと虎之助の刀がれた。

「俺は金鬼きんき。刀ごときで、俺の身体からだに傷を付けることは出来できぬ」

 金鬼きんき右腕みぎうでを虎之助にろす。

ーーとりあえず、うでの一本でもつぶしておくかーー

「刀でれないとは、面倒めんどうくさいでござるね」

 虎之助は金鬼きんきうでを軽くかわし、手刀しゅとう金鬼きんきの首に向けてりきった。

ーーこの攻撃こうげきは、なにかヤバいーー

 金鬼きんきは、とっさに後方こうほうに飛び両手で首をガードする。虎之助の手刀しゅとうとどいていない、首は無事だ。

「そんな、やわな手刀しゅとうで俺の首は切れぬわ」

 そう言いながら金鬼きんきは、虎之助をなぐりつけようとしたが、金鬼きんき両腕りょううでが無くなっていた。

「あれ?」

 金鬼きんきが下を見ると、地面に自分の両腕りょううでが落ちている。

 首をガードした両腕りょううでが、切り落とされたようだ。

ーーなんのうでなど、すぐに再生するーー

 金鬼きんき両腕りょううでを再生しようとすると、ズバッ!と音がして、急に視界しかいさかさまになった。

ドサッ!

 金鬼きんき上半身じょうはんしんが地面に落ちた。

 虎之助の手刀しゅとう金鬼きんき胴体どうたいを、ぶったったのである。

「なぜ、鋼鉄こうてつよりもかたい俺の身体からだれるんだ!」

唐沢家忍術からさわけにんじゅつ手刀しゅとうかまいたち』でござる。れぬ物は、無いでござる」

ーーこいつ、化物ばけものだ!ーー

 金鬼きんきは急いで両手を再生し、足のわりに手で走って逃げた。

「おーい!下半身かはんしんわすれてるでござるよ〜」

 虎之助の声が聞こえたが、金鬼きんきは持てる力をすべて両腕りょううでに使って必死ひっしに逃げた。

 あんな化物ばけものと戦ったら、殺される!

 金鬼きんき恐怖きょうふにかられ、無我夢中むがむちゅうで逃げ続けた。

 虎之助は、逃げた金鬼きんきにかまわず、たおれている小太郎にけより

「小太郎、大丈夫だいじょうぶでござるか?」

 と、小太郎をき起こす。

「うっ、すいません姉さん」

 起き上がろうとした小太郎であったが、転生てんせいする前は、ほとんど女性とせっする機会きかいが無かったため、可愛かわいらしい女の子にき起こされてみると、もう少し、このままでいたいと思ってしまい

「頭をったみたいで、少し休むとおさまると思うのですが」

 と、うそをついてしまった。

「小太郎は、まだまだ未熟みじゅくでござるな」

 虎之助に膝枕ひざまくらをしてもらって、小太郎はしあわせであった。

「さっきの鬼は、どうなりました?」

「あの金鬼きんきというやつは、下半身を置いて逃げたでござる。両手で器用きように走って行くとは、なかなか面白おもしろい鬼でござる」

「えっ、金鬼きんきって、かなりの大物ですやん。姉さん、よくたおしましたね」

「たしかに、今までの鬼とはちがったでござる。ろうとしたら、刀がれてしまったでござる」

「刀なしで、どうやってたおしはったんです?」

拙者せっしやは元々、忍者にんじゃでござるよ、もちろん忍術にんじゅつでござる。でも、忍術にんじゅつは気と体力を使うから、刀でり殺した方が楽でござる」

「へえ、そういうもんなんですか」

「それより小太郎。まだ、起き上がれないでござるか?」

 返事へんじが無い。

「小太郎?」

 小太郎は、ねむっていた。

 まだ18歳である小太郎は、虎之助の外見がいけんは別として、実際じっさいにはDSPで一番若く、まだ、あどけなさが残っている。

 虎之助と出会う前から、凶悪きょうあくな鬼と戦い続けて、精神的せいしんてきつかれていたのかも知れない。

「しょうが無いでござるね」

 虎之助は、しばらく小太郎を膝枕ひざまくらかしてあげる事にした。

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