表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
89/149

ニーベングの指輪

 ポピリンの歓迎会かんげいかい最中さなかに、トッピーの処刑しょけいが決定してしまった。

 確かにトッピーの悪戯いたずらやセクハラは、ぎた物があったが、殺されるとなると同情してしまうポピリンである。

「なんとか殺すのは、めて欲しいでござる」

 ポピリンがパッション屋島やしまたのんでみるが。

太古たいこの昔から魔法界では、お客様に失礼な態度を取った妖精ようせい処刑しょけいするのがならわしです。トッピーだけ特別扱とくべつあつかいするわけにはいきませんよ」

 と、はっきりことわらてしまった。

「そこを何とか、ならないでござるか」

「いくらポピリンさんのたのみでも、こればっかりは。あれ、ポピリンさん、そのブレスレットは?」

「これは、ボルデ本山もとやまが付けていたブレスレットでござる」

「そのブレスレットは、魔法界をつくったと言われる最初の魔法使い『サンシャイン長谷川はせがわ』がふうめられている『サンシャインの腕輪うでわ』ではないですか!」

 パッション屋島やしまが、ブレスレットにえらくい付いて来た。

ちがうでござる」

 よく分かっていないが、面倒めんどくさいので、とりあえずポピリンは否定ひていした。

「なんだちがうのか」

 意外と、あっさりあきらめるパッション屋島やしま

「それで、どうしてサンシャイン長谷川はせがわは、ふうめられたんでござるか?」

 ポピリンは、魔法界をつくったと言われる魔法使いが封じ込められた事に疑問ぎもんを感じた。

「魔法界の功労者こうろうしゃであるサンシャイン長谷川ですが、晩年ばんねん闇落やみおちしてしまい、初代闇しょだいやみの帝王になってしまったんです」

「なんか複雑ふくざつな話でござるな」

「そうですね。そして当時、正義の魔法使い『ダンブル松本』と対決してブレスレットに封印ふういんされたのです。しかし、そのブレスレットは『サンシャインの腕輪』にてますな」

 パッション屋島やしまは、マジマジとポピリンのブレスレットを見ている。

ててもちがうでござる」

 再度、ポピリンは否定ひていする。

「なんだちがうのか」

 またもや、あっさりあきらめるパッション屋島やしま

 そこに、ハリセン・ポッターがやって来た。

「ポピリンさん、お願いがあるのですが」

「何でござるか?」

「もうしばらく魔法界に居て欲しいのです」

 ハリセン・ポッターは、魔法界にとどまるようたのんで来た。

「でも、もう帰らないと、仲間が心配するでござる」

 そう言われてみて、ポピリンは急にDSPの事が気になって来た。

ーートッピーのことより、DSPの方が心配でござるーー

「そうですね、ポピリンさんには、お仲間がいらっしゃりますもんね」

「アホばっかしなので、拙者せっしゃが居ないと困っていると思うでござる」

「アホばっかしなのですか、それなら仕方しかたありませんね」

 ハリセン・ポッターは、ポピリンにとどまってもらう事をあきらめた。

「ポピリンさん、お帰りになられるのでしたら、妖精ようせいに駅まで送らせましようか?」

 パッション屋島やしまが親切に言ってくれたが

「僕が送って行くよ」

 と、ハリセン・ポッターが送ってくれる事になった。

「お嬢様じょうさま〜。もう少し私めの命乞いのちごいいをして下さいませ」

 突然とつぜん、目の前にトッピーが現れて、ポピリンの足にしがみついてきた。

 妖精の魔力は意外と強く、瞬間移動しゅんかんいどうぐらいは簡単にこなせるのである。

あきらめろトッピー。もう、お前はぶたえさになる事が決まってるんだ。だが安心しろ、苦しまないようにギロチンで首を落としてやるから」

 パッション屋島やしまは、ポピリンから無理やりトッピーを引きがす。

「どなたか、あわれな私めを助けて下さいませ〜」

 力なくさけぶトッピー。

「なんだか可哀想かわいそうでござる」

 ポピリンはトッピーに同情している。

「トッピーを助ける方法が、1つありますよ」

 そんなポピリンを見て、ハリセン・ポッターが提案ていあんして来た。

「どんな方法でござるか?」

「ポピリンさんが持っている、その『ニーベングの指輪ゆびわ』を大臣に渡せば、よろこんでトッピーを解放かいほうしてくれるハズですよ」

「なるほど、指輪1つでトッピーの命が助かるなら、安いもんでござるな」

「そうですよ、命には変えられませんかからね」

「だが、ことわる」

 ポピリンは、キッパリとことわった。

「ええっ!断るんですか」

 おどろくハリセン・ポッター

「断る」

 ポピリンは、もう一度キッパリと言いきった。

「どうしたんですか、トッピーの命が助かるんですよ」

 意外な展開てんかい動揺どうようするハリセン・ポッター。

「よく考えたら、アイツはこの世に居ない方が良いでござる」

 確かにトッピーは、迷惑めいわくな妖精である。

「しかし、どんな者でも命は平等にとうといのでは」

「それは違うでござる。拙者せっしゃの命の値段が1000万ドルだとしたら、トッピーの命は、道路に落ちている軍手ぐんてぐらいの価値でござる」

ーーなっ何と非情な。ポピリンさんが、こんな恐ろしい人であったとはーー

「ならば仕方しかたありません、力ずくでもその指輪をいただきます」

 ハリセン・ポッターは、ビスタチオのつえをポピリンに向けた。

拙者せっしゃと魔法で勝負するつもりでござるか」

「その指輪でトッピーの命をすくうためです」

 ハリセン・ポッターは命をけて、ポピリンと戦うつもりだ。

「あいかわらずあまい男でござる。だが、あまさでは拙者せっしゃの方が上でござる」

「なんですと!」

拙者せっしゃの甘さは、焼き肉のタレ甘口並あまくちなみでござる」

ーータレ甘口あまくちって、全然、たいした事ねえ!この勝負もらったーー

 その時、ハリセン・ポッターに一瞬いっしゅん、気のゆるみがしょうじた。

「僕の甘さは、ゴーヤチャンプルみだ!」

 と、言ってしまってからハリセン・ポッターは、ゴーヤチャンプルがまったく甘くない事に気が付いた。というか、むしろ苦いぐらいであった。

拙者せっしゃの勝ちでござるな」

 あきらかにポピリンの勝利であった。

「ぼっ、僕の負けだぁ」

バタッ

 ハリセン・ポッターは血をいて倒れ、ビスタチオのつえくだった。

 ポピリンは、しばらく、その様子を見ていたが

「負けたとはいえ、拙者せっしゃいどむとは見上みあげた少年だ。この指輪はおぬしたくすでござる」

 倒れているハリセン・ポッターに指輪を渡すと、立ち去って行った。

ーーありがとうございますポピリンさん、これでトッピーをすくえますーー

 ハリセン・ポッターは、倒れながら魔法セーラー戦士ポピリンに感謝かんしゃした。


 そんな様子ようすかげながら見ていた、ハリセン・ポッターの親友であるポン・ウェズリーは

ーーよく頑張がんばったなハリセン。しかし、今のは全然、魔法対決じゃないぞーー

 と、けっして話しかけたり、手をしたりはしないが、あたたかい目で見守るのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ