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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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ハリセン・ポッターと闇の帝王

 ダンスパーティーも終わりに近づいて来たころ、ハリセン・ポッターに復讐ふくしゅうするため、マカフォイが校舎こうしゃもどって来た。

「お父上ちちうえ、ハリセン・ポッターをこららしめて下さい」

 マカフォイは、お父上ちちうえを連れて来ている。上品じょうひん威厳いげんのある中年紳士である。

が息子を侮辱ぶじょくした罪は重いぞポッター」

 マカフォイのお父上ちちうえ威圧感いあつかんのある声で言った。

「変なオッサンを連れて来たでござる」

 ポピリンはいやそうな顔をした。

「あれは変なオッサンじゃなく、魔法界の権力者であるルシウス・マカフォイです。いつも僕を殺そうとするんです」

 ハリセン・ポッターが説明する。

「あっそう。じゃ、ダンスも終わったし拙者せっしゃは帰るでござる」

 あっさりと、魔法セーラー戦士ポピリンは帰ろうとする。

「ちょっと、帰らないで助けて下さいよ。僕が殺されてしまいます」

 ハリセン・ポッターは必死に助けを求めた。

「助けたいのはヤマヤマでござるが、もう遅いから帰らないと」

 ポピリンはハリセン・ポッターの懇願こんがん却下きゃっかして帰りかけている。

みじめだなポッター。その貧乳魔女ひんにゅうまじょにも見捨みすてられたようだな」

 マカフォイがあざ笑っている。

ブチッ!

 貧乳ひんにゅうと言われてポピリンがキレた。

「お前を殺すでござる」

 ポピリンの魔法ステッキからマカフォイに向かって殺人ビームがはなたれる。

バチバチ

 しかし、バリヤのような物でビームははじかれた。

「くっくっ、きの良いむすめだ」

 気味きみが悪い声がして、スキンヘッドで青白い顔の不気味ぶきみな男がルシウス・マカフォイの後ろから現れた。

 どうやらバリヤを張ったのは、この男のようだ。

 せ型であるが、異様いような圧力感を持つ人物である。

「あっ、あいつは、ボルデ本山もとやま!」

 ハリセン・ポッターは男を見て驚愕きょうがくしている。

「何者でござるか、あの貧相ひんそうなオッサンは」

「ボルデ本山卿もとやまきょうは、イギリス魔法界で史上最強の魔法使いだ。お父上ちちうえに頼んで呼んでもらったんだよ」

 マカフォイが自慢じまんげに言った。

「ルシウス、良い獲物えものを紹介してくれたの。あとで褒美ほうびをとらすぞ」

 ボルデ本山もとやまは満足そうに笑みを浮かべている。

「ありがたくぞんじます」

 深々と頭を下げるルシウス。

 その様子を見て

「あいつは、えらい魔法使いなのでござるか?」

 虎之助はハリセン・ポッターにたずねた。

「ボルデ本山もとやまは強大な魔力を持っていて、イギリス魔法界のやみの帝王と呼ばれているんだ」

 ハリセン・ポッターは、ひどくおびえており顔は青ざめている。

「なるほど。まったくイギリスっぽく無い名前でござるが、拙者せっしゃの魔力と勝負するでござる」

 ポピリンは魔法のステッキをかまえる。

「ほう、この小娘、おろかにも吾輩わがはいとやり合うつもりのようだな」

 イギリス魔法界では刃向はむかう者がいないボルデ本山もとやまは、久しぶりに自分にいどんで来たむすめに感心した。

拙者せっしゃの魔力の恐ろしさを味あうでござる」

 ポピリンは自信まんまんである。

「おぬしは1966年に徳島県で産まれ育ち、本名は本山正造もとやましょうぞう。高校卒業後は大阪市の九条くじょうにある呉服店ごふくてんで働き、2005年に独立して梅田うめだに『ボルデ本山』という紳士服しんしふく店を開業する。2010年にはイギリス魔法界に『ボルデ本山イギリス支店』を開店し順調じゅんちょうに売上を伸ばしている、なかなかの商売上手しょうばいじょうずでござるな」

「ううっ、何故なぜそれを知っている。魔法界では吾輩わがはい素性すじょうを誰も知らんはず」

 ボルデ本山もとやまおどろきをかくせない。

拙者せっしゃの魔法『マジカル履歴書りれきしょ』でござる」

「むむっ、小娘こむすめのクセにすさまじい魔力だ。だが吾輩わがはいだまってはいないぞ」

 今度は、ボルデ本山もとやま反撃はんげきする。

「お前は、長野県の農家で産まれ、本名は秋本美和あきもとみわ。地元の短う大卒業後は愛知県の設計事務所で働き、高校時代の2つ先輩と結婚して2人の子供をもうける。しかし7年後に夫の浮気うわきが原因で離婚りこん、子供を育てながらも1級建築士として個人事務所を開き着実に売上を伸ばしておる、なかなかのやり手じゃな」

全然ぜんぜんちがうだろ!このハゲ!」

ボゴッ!

 間違まちがった情報を言われて、いかったポピリンがマジカルステッキでボルデ本山もとやまの頭部をなぐりつけた。

プシュー

 ボルデ本山もとやまの頭部から大量の血が吹き出す。

「ううっ、なんて破壊力はかいりょくのあるステッキじゃ」

拙者せっしゃのマジカルステッキの丸い部分は鉄球てっきゅうで出来ているので、お主程度ぬしていどの魔人なら一撃いちげき撲殺ぼくさつできるでござる」

 血まみれのマジカルステッキを持ったポピリンが解説かいせつする。

吾輩わがはいとした事が、ぬかったわ、くふっ」

バタッ

 そう言うと、ボルデ本山もとやまは倒れて動かなくなった。

「ボルデ本山卿もとやまきょう!大丈夫ですか」

 マカフォイ親子が介抱かいほうするが、ボルデ本山もとやまは倒れたままである。

「おのれ、ポッター。おぼえておけ」

 台詞ぜりふを残してマカフォイ親子は逃げて行った。

「魔力で拙者せっしゃいどもうとは、3週間ほど早いでござる」

 魔法セーラー戦士ポピリンは、倒れているボルデ本山もとやま近寄ちかよって何やら身体からだを調べている。

ーー魔力で勝ったというより、鈍器どんき撲殺ぼくさつしたように見えたが。とりあえずやみの帝王であるボルデ本山もとやまを倒したようだーー

 脅威きょういが去り、ハリセン・ポッターはホッとするのであった。

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