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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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ハリセン・ポッターとダンステリア

きましたよ。ここが魔法学校です」

 ハリセン・ポッターに案内されて、虎之助とらのすけは魔法界にある魔法学校に到着とうちゃくした。

 古めかしいヨーロッパ調の大きな建物である。

「へえ、立派りっぱな学校でござるな」

 虎之助が感心していると、向こうから学生が3人やって来た。

「よお、ポッター。女連おんなずれでいご身分だな」

 3人組のリーダかくっぽい少年が声をかけて来た。

「あっ、マカフォイだ。いややつに会ったな」

 ハリセン・ポッターは露骨ろこつに嫌な顔をした。

「お前にしては美人を連れているな。どうせけがれた血の人間だろう」

 3人組は虎之助をかこんでジロジロ見ている。

「コイツら何でござるか?」

「マカフォイは、僕にいつも嫌味いやみを言って来るんだ」

 ハリセン・ポッターは、マカフォイを無視して虎之助と校舎こうしゃに入ろうとした。

「待てよポッター。この女はけがれた血だ、校舎に入れるわけにはいかない、置いていけ」

 マカフォイが虎之助の右手を、つかんで止めた。

「やめろよマカフォイ、その手をはなせ」

「なんだ、やる気かポッター」

 2人は険悪けんあく雰囲気ふんいきになった。

「くっくっくっ」

 その時、とつぜん虎之助が笑い出した。

「この女、なにが可笑おかしい」

「おぬしらは、拙者せっしゃの正体を知らないようでござるね」

 虎之助は両手を前に組むと

りんぴんとうしゃかいちんれつざいぜん

 と、となえだした。

 すると、虎之助は魔法まほうセーラ戦士せんしポピリンに変身して

「じっちゃんの顔にかけて、お仕置しおきでござる」

 と、魔法セーラー戦士ポピリンの台詞ぜりふさけんだ。

「まさか、この女が魔法界のスーパーアイドル、魔法セーラー戦士ポピリンだったのか」 

 魔法セーラー戦士ポピリンを間近まじかに見て、驚愕きょうがくする3人組。

「ポピリンさん、サインちょうだい」

「僕は握手あくしゅして欲しいな」

 マカフォイの子分2人は、ポピリンにサインと握手あくしゅをねだりはじめる。

「こらっ、お前らどっちの味方なんだ!」

 マカフォイは子分たちを怒るが、2人は興奮こうふんして聞いていない。

「じゃ、一人づつ握手あくしゅとサインするでござる」

「ワーイ、ヤッター」

 喜ぶ2人を見てマカフォイはブチ切れて

「くそっ。お父上ちちうえに言いつけてやる」

 と、台詞ぜりふをはいて、走り去って行った。

「なんか、あの子、走って行ったけど大丈夫だいじょうぶでござるか」

 心配してポピリンが聞くと

「マカフォイのお父さんは、金持ちで魔法界の有力者なんだ」

 ハリセン・ポッターも気になっている様子である。

「まあ、気にしてもしょうが無い。さっさとダンスパーティーに行くでござる」

 その日のダンスパーティーは、ハリセン・ポッターにとって夢のように楽しいパーティーとなった。

 ポピリンをダンスパートナーに連れて来た事で、みんなからうらやましがられて、幸せいっぱいであった。

 ただ、料理にかんしてはポピリンからおおいに不満がられたが、近所の王将おうしょう餃子ぎょうざを買って食べさせると機嫌きげんおさまったので、ハリセン・ポッターはホッとしたのであった。



 翌日、安倍康晴あべやすはるふたたび加藤の自宅を訪問していた。

「なんだ、また君か」

 加藤はあき気味ぎみで安倍を見ている。

「今日こそは、ハッキリと決めたいと思いまして」

 昨日の交渉こうしょうでは、加藤が自業自得じごうじとくでブチ切れて、ウヤムヤになってしまっていたのである。

「なるほどな、まあ良いわ。ちょうど昼食用のオデンを作っていたところだ、入りたまえ」

「では、おじゃまします」

 居間いまに入ると机に土鍋どなべが置いてある、おそらくオデンが入っているのであろう。

「君はオデンは好きかね?」

「嫌いでは無いですね」

「じゃあ、あつあつオデン対決じゃ」

 加藤はうれしそうである。

「おたがいのうつわにアツアツの大根だいこん餅巾着もちきんちゃく厚揚あつあげげを入れて、早く食べ終わった方が勝ちじゃ」

 うつわにオデンを入れながら、加藤が説明する。

「私が勝ったら顧問こもんになってくれるんですか?」

 安倍は目的であるDSPの顧問こもんの件を確認した。

「なに言ってんだ、ワシが勝ったら顧問こもんになってやるんだ」

 楽しそうに加藤が言う。

ーーそれじゃ私がワザと負ければ良いのか。簡単なけじゃないかーー

 安倍は安心した、これで加藤の顧問就任こもんしゅうにんは確実だ。

柚子胡椒ゆずこしょうねりカラシがあるから、好きな方を使え」

「では、私はコッチを」

 安倍は柚子胡椒ゆずこしょうを少量、自分のうつわに入れる。

「ほう、柚子胡椒ゆずこしょうを選ぶとはつうだな。こりゃ油断ゆだんできんわ」

 と、言いながら加藤は大根だいこんを口に入れた。

「アツアツ、この熱さが美味うまいんだよな。いや何やこれ、あかん、これは」

 加藤の口が止まる。

「はうっ!」

 バタッと加藤は倒れた。

大丈夫だいじょうぶですか加藤さん!」

「大丈夫な事あるかい!ありない量のカラシが入っとるがな!」

 加藤は倒れながらもキレている。オデンのうつわにはねりカラシのチューブが3本分も入っていた。

「ありない量って、入れたのはアンタでしょ」

 安倍がむ。

「そんなん関係あるかい!この、ミスター慶應けいおうのチャラが!」

「いや、私はミスター慶應けいおうじゃないというか、慶應大学けいおうだいがくにも行ってませんけど」

「うるせえ!この生きてる価値かちも無い豚人ぶたびとが!」

「ムチャクチャ言いますね」

 安倍はあきれながら加藤を見ている。

「もう君とは、やってられんわ」

 またしても加藤は勝手に、ふてくされ出した。

ーーまた、こんな結果けっかになってしまった。しかもアツアツ対決の要素ようそまったく無かったしーー

 あいかわらず、加藤の顧問こもんへの交渉こうしょう難航なんこうしているのであった。

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