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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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ハリセン・ポッターと死の魔神

「いてッ、何さらすねん、このクソ餓鬼がき!」

 ハリセンで頭をたたかれて怒った小太郎こたろうは、ハリセン・ポッターの胸ぐらを、つかんでなぐかろうとした。

「助けて!スネイプ先生」

 ハリセン・ポッターは大きな声で助けを呼ぶが、特に誰も来なかった。

「おい、子供こども相手にムキになるなよ」

 狂四郎きょうしろうが止めに入るが

「俺は、女子供おんなこどもでも容赦ようしゃせえへんのや」

 と、ハリセン・ポッターのむなぐらを、つかんだままはなそうとしない。

「助けて!マルフォイ」

 ふたたびハリセン・ポッターは助けを呼ぶが、やはり誰も来なかった。

可哀想かわいそうだろ、はなしてやれ」

 横で見ていた岩法師いわほうしが見かねて、ハリセン・ポッターから小太郎を引き離す。

「でも、岩法師先生。コイツは何かムカつくんや」

 まだ小太郎の怒りは、おさまっていない。

大丈夫だいじょうぶ坊主ぼうず

 岩法師がハリセン・ポッターに優しく声をかけるが

「うるせー!坊主ぼうずはテメエだろ、気安きやすしゃべりかけんじゃねえよ!」

 と、口汚くちきたなののしられてしまった。

「なんじゃと、この餓鬼がき

 怒った岩法師がハリセン・ポッターの胸ぐらをつかむ。

「助けて!ポンちゃん〜」

 と、ハリセン・ポッターはさけぶが、ポンちゃんは助けに来なかった。

「誰もやねん、ポンちゃんって。しばくぞ眼鏡小僧めがねこぞう

 小太郎がハリセン・ポッターの頭を軽く小突こずく。

「さわるな!このけがれた血の貧乏人びんぼうにんが」

 またしても、ハリセン・ポッターに口汚くちきたなののしられてしまった。

「やっぱりムッチャむかつく。岩法師先生、コイツってまいましょう」

「いや、るのは、ちょっとダメだが、これぼどムカつく餓鬼がきめずらしいな」

 ハリセン・ポッターの対応に、困惑こんわくする岩法師と小太郎であった。

 


 小太郎たちがハリセン・ポッターとモメているとなりでは、スヴェンヴォィトが死の魔神と対決していた。

 スヴェンヴォィトが、死の魔神めがけて右手から破壊はかい光線を発射する。

スゥー

 だが、破壊はかい光線は死の魔神にすべて吸収されてしまい、ダメージをあたえられない。

「ほう、少しは出来るようだな」

 スヴェンヴォィトは、何処どこからともなく刀を取り出して、死の魔神にりかかる。

 その時、死の魔神の口が大きく開き、スヴェンヴォィトに向かって何かを吸い込み出した。

「うぉ、やめろ!」

 思わずスヴェンヴォィトがさけ

ーーこれは、マズい。たましいが吸い取られているーー

 そばにいたラスプーチンがあわててスヴェンヴォィトを、死の魔神からはなそうと後方に引っ張るが

「うおおっ」

 少しづつスヴェンヴォィトのたましいが死の魔神に吸い取られて行く。

ーーダメだ、死の魔神の吸引力が強すぎるーー

 ラスプーチンは必死に引き離そうとするが、物凄ものすごい力でスヴェンヴォィトのたましいが吸われていく。

 そして、ついにスヴェンヴォィトは倒れて動かなくなってしまった。

「くそっ」

 ラスプーチンは倒れているスヴェンヴォィトの瞳孔どうこう心音しんおんを確認するが、すでに息絶いきたえていた。

「まさか、ロマノフ議員がられるとは」

 アンドロポプもそばに来ていたようだ。

「もはやこれまでだ。ずらかるぞ」

ーーたましいを完全に吸われてしまった。もはや助からんーー

 スヴェンヴォィトのことはあきらめて、ラスプーチンはアンドロポプに撤退てったいを指示した。

「あの魔神は、っておくのですか?」

「死の魔神を倒せる者など、この世にいない。この場に居れば俺たちもヤバいぞ」

 アンドロポプもスヴェンヴォィトを倒すほど化物ばけものいどむ勇気はない。

「わかりました、ここは一旦引いったんひきましょう」

 ラスプーチンとアンドロポプは、待たせていた車に乗リ込んでって行った。


 敵が全員いなってしまうと、鬼一きいちの死の悲しみが虎之助とらのすけおそってきた。

鬼一きいち

 虎之助は鬼一きいちむねに顔をうずめて泣き続けている。

 そのすぐとなりでは、他のメンバーが死の魔神とハリセン・ポッターのあつかいに困っていた。

 死の魔神が、ゆっくりとコチラに向かって来る。

「ヤバい、魔神がコッチに来るぞ」

 狂四郎きょうしろうが、みんなに伝える。

「なんや、ごっつい強そうなやつやで」

 小太郎、狂四郎、岩法師の3人は、死の魔神の不気味ぶきみなオーラに押されて後さずりして行く。

 しかし、死の魔神は倒れている鬼一きいちを確認すると、納得なっとくしたかのように、ゆっくりと去って行った。

「あれっ、どっか行ってもうたで」

「おそらく、目的をたしえたのであろう」

 そう小太郎と岩法師が話していると

「助けて!ポンちゃん」

 突然とつぜん、ハリセン・ポッターが大声で助けを呼んだ。

「いきなり何やねん。何度呼んでもポンちゃんは来ないで。って、ポンちゃんて誰やねん」

 小太郎が、またハリセン・ポッターを小突こずく。

「おい、小太郎。お前が召喚しょうかんしたんだから、もうコイツには帰ってもらえ」

 岩法師は小太郎をうながす。

 虎之助は泣き続けており、狂四郎は先程さきほどから倒れている鬼一きいちそばで座り込んでしまっている。

 そんな様子ようすを見て小太郎は

「そうでんな。もう、お前は帰って良いで」

 と、ハリセン・ポッターに帰るように言った。

「うるせえ、僕に指図さしずするな!この負け組クソ人間が」

 しかし、あいかわらず上から目線でののしってくるハリセン・ポッター

「やっぱりムカつくから、コイツはシバく」

 小太郎が怒ってハリセン・ポッターをなぐろうとした時

「僕、もう魔法学校に帰る」

 と、急にハリセン・ポッターは歩き出した。

「お前、魔法学校にかよってたんか。それにしては、ぜんぜん魔法を使わんかったな」

 小太郎は帰って行くハリセン・ポッターを見送りながら、ボソッとつぶやく。

「ええと、大阪駅の7分の4番ホームは、どこだろう?」

 ブツブツ言いながら、帰って行くハリセン・ポッターであった。

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