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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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羅漢鬼VS武蔵

転生者てんせいしゃどもは、なにやってんだ。戦う気があるのか?」

 羅漢鬼らかんき虎之助とらのすけたちを、あきれながらながめているので

やつらはチームワークが皆無かいむですからね」

 地元じもとの鬼が、大阪DSP[デビルスペシャルポリス]の内情ないじょうを説明した。



「ちよっと、虎之助、武蔵むさし喧嘩けんかしてないで敵をやっつけなさいよ!」

 桜田刑事が怒りながら、2人を止めに入った。

「そうだ、おじょうちゃん、一旦休戦いったんきゅうせんして鬼をやるッスよ」

 武蔵は休戦を提案ていあんするが

貴様きさまを殺すのが先でござる」

 虎之助は刀を、武蔵に向けたままである。

「僕は、鬼を先に殺すッス」

 武蔵は、そんな虎之助を無視むしして、羅漢鬼らかんきに向かって走って行った。

「そうは、させるか。唐沢家忍術からさわけにんじゅつ大魔王召喚だいまおうしょうかん』」

 虎之助が呪文じゅもんとなえると、巨大な悪魔があらわれる。はずであったが、なぜかチワワの式神しきがみが現れた。

「あれっ?おかしいな。大魔王が出ないでござる」

 不思議ふしぎがっている虎之助に

「大魔王はいそがしいので、代わりに来たんだワン」

 と、チワワが説明する。

「そうなんだ。とりあえず、あの鬼を殺すでござる」

「僕、一人じゃ無理だワン」

 確かに、チワワだけでは、羅漢鬼らかんきたおすことは難しそうである。

「じゃ、タヌキも呼ぶでござる」

 虎之助は御札おふだを取り出して、タヌキの式神も呼び出したが

「僕とタヌキは、同じ追跡ついせき得意とくいなタイプだから、戦闘せんとうには向かないんだワン」

 と、チワワにさとされてしまった。

「そこを、なんとか、お願いするでござる」

 真剣しんけんにチワワとタヌキを説得せっとくしている虎之助を見て。

ーー虎之助こいつは、やっぱり馬鹿ばかで使えんーー

 と、ややかな目で見る、桜田刑事であったーー


「おい、小太郎。この合体はどうやったら解除かいじょできるんだ?」

「初めてやから、俺にも分からんわ」

 ヤモリほどの大きさになってしまった小太郎と狂四郎は、自販機の影に退避たいひしながら、合体をく方法を思案しあんしていた。

 しばらくは、戦力になりそうも無い。



二天一流にてんいちりゅう咆哮残斬ほうこうざんぎ』」

 武蔵が羅漢鬼らかんき強烈きょうれつ一撃いちげきらわす。

ドヅッ!

 にぶい音がして、羅漢鬼らかんき右半身みぎはんしんが吹っ飛んだ。

「これで終わりッス」

 武蔵は両手に一本づつ刀を持ち、得意とくいの二刀流で羅漢鬼らかんきの首をねらう。

ガキーン!

 しかし、金属音きんぞくおんとともに、武蔵の刀ははじかれてしまった。

 羅漢鬼らかんき一瞬いっしゅんうしなった右半分を再生し、左手に装備そうびしていた合金製ごうきんせい防具ぼうぐで刀をはじいたのである。

ーーこの再生スピード。こいつ、とてつもなく強いッスーー

ドガッ!

 おどろいている武蔵の顔面に、強烈きょうれつ羅漢鬼らかんきのパンチがヒットした。

「ぐふっ」

 武蔵は2〜3メートル吹っ飛ばされて倒れ込む。

 そこに、よいから復活した鬼一が向かって来た。

「くらえっ!京八流きょうはちりゅう真一文字斬まいちもんじぎり』」

ズバズバッ!

 鬼一の刀が羅漢鬼らかんきの頭部から足元まで、っ二つにり倒すと、羅漢鬼らかんきは左右2つに別れて倒れ込む、と思いきや、切られた部分が瞬時しゅんじに引っ付いて治癒ちゆしていき、何事なにごとも無かったように立っている。

 すさまじい再生能力である。

「なんてやつだ」

 鬼一きいちは刀をかまえたままおどろいた。

「なんだ、大阪DSPってのは、この程度ていどか。ガッカリだ」

 羅漢鬼らかんきは、ゆっくりと鬼一きいちに向かって来る。

二天一流にてんいちりゅう咆哮残斬ほうこうざんぎ』」

ドスッ!

 復活して来た武蔵が、後ろから羅漢鬼らかんき胸部きょうぶを吹っ飛ばした。

「なんだ小僧こぞう、生きていたのか」

 武蔵はふたたび剣を羅漢鬼らかんきに向ける。

「こう見えても、僕はこの国で一番の剣豪けんごうなんスよ」

 しかし、胸に大きな穴を開けられながらも、羅漢鬼らかんき平然へいぜん鬼一きいちに向かって歩いている。

「それにしては、ヌルい剣だな」

 羅漢鬼らかんきの胸に開けれた穴が、徐々にふさがって来ている。

「武蔵。コイツは首をらないとダメだ」

 そう言いながら、鬼一きいち羅漢鬼らかんきの首をねらって、刀を水平に振り切った。

 が、羅漢鬼らかんきは右手で鬼一の刀をつかむと、ベキッっとにぎつぶしてしまった。

もろい剣を使っているな」

 そう言いながら羅漢鬼らかんきが、左手で鬼一きいちなぐりつけてきた。

 とっさに鬼一きいちは、両手をクロスして防御ぼうぎょの体勢をとる。

ーー防御ぼうぎょしても、コイツの攻撃をらったらヤバいーー

ズバッ!

 間一髪かんいっぱつで、武蔵が羅漢鬼らかんきの左手を切り落とした。

 羅漢鬼らかんきは振り向きながら

「またお前か、こざかしいやつだな。消えろ」

 と、武蔵に向かって大量の炎をき出した。

「これはマズいッス」

 武蔵は跳躍ちょうやくしてななめ後方へと退避たいひする。


「カリカリベーコンをあげるので、あの鬼を退治たいじして欲しいでござる」

 武蔵が退避たいひした近くでは、まだ虎之助が式神のチワワとタヌキと交渉中こうしょうちゅうであった。

「ベーコンはしいけど、僕では、あの鬼には勝てないんだワン」

 チワワとの交渉こうしょうは、難航なんこうしているようだ。

「ちょっと取り込み中に悪いんスけど、おじょうちゃん、手を貸してくれないッスかね」

 形勢けいせいが不利になってきた武蔵は、虎之助にたのんでみた。

「チワワじゃ無くて、拙者せっしゃにでござるか?」

「そうッス。そのチワワじゃ、あの鬼は無理ッスよ」

「チワワでは無理でござるか?」

 虎之助は不思議ふしぎそうにしている。

「あの鬼は、そうとう強いッス。再生能力がハンパないッス」

「じゃ、合体して戦うでござる」

 虎之助は武蔵の背中に登ろうとした。

駄目だめッスよ、肩車かたぐるまして勝てる相手じゃ無いッス」

「じゃ、拙者せっしゃが一人でるから、代わりに、おぬしがチワワとタヌキの交渉こうしょうをするでござる」

「いや、チワワとタヌキじゃやつに勝てないっスよ」

 と言った武蔵の返事も聞かずに、虎之助は羅漢鬼らかんきに向かって走って行く。


 鬼一きいち羅漢鬼らかんきを相手に、一人で苦戦していたところに虎之助がやって来た。

破魔毒手裏剣はましゅりけん

プスプス

 虎之助がはなった手裏剣しゅりけんが、ねらい通り羅漢鬼らかんきひたいと心臓にさった。

猛毒もうどくった手裏剣しゅりけんでござる。これでやつはもう死んでいる」

 虎之助は余裕よゆうの表情で、早くも羅漢鬼らかんきに背を向けてチワワの所にもどろうとしている。

 が、しかし「待て、虎之助。やつにはいてないぞ」と言う鬼一きいちの声がした。

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