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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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小太郎とラスプーチン

 虎之助とらのすけとスーパーゼウス人が戦っていた場所では、まだ、スーパーゼウス人から放出ほうしゅつされた蒸気じょうきただよっていた。

 蒸気じょうきは少しづつ集まり出し、徐々に大きなかたまりになって行く。

 ちょうど人の大きさほどになると、人の形を作り一人の男となった。

「ゼウスの野郎やろう、俺様にいかずちを落としやがって」

 国際電器保安協会こくさいでんきほあんきょうかいロシア司令官のラスプーチンである。

 彼は不死に近い身体からだを持っており、何度でもよみがえることが出来る。

「どうやら、ゼウスは死んだようだが、ギリシャ本部のやつらはゆるせん。特にアポロンの野郎やろうは必ず殺してやる」

 と、ラスプーチンが復讐ふくしゅうちかっていると。

「あれっ、オッサンは前にこわれた屋敷やしきであったゾンビやないか」

 小太郎こたろうが現場にもどって来た。

 ゼウスからエクスカリバーをパクったものの、しばらくり回しているウチにきてしまっていたのだ。

「なんだ、あの時の小僧こぞうか。お前、い物を持っているな」

 小太郎が持っていたエクスカリバーが、ラスプーチンの目に止まった。

いやろ、このけん。オッサンに売ったろか」

「ほう、いくらだ?」

「そうやな、三千円やな」

「えらく安いな」

「じゃ、400万円や」

 安いと言われ小太郎は値段ねだんり上げた。

「高いな」

「ほんなら、300円でエエわ」

 高いと言われ小太郎は、大幅おおはば値段ねだんを下げた。

「よし、買った」

 ラスプーチンは、300円で聖剣せいけんエクスカリバーを手に入れた。

「じゃ、小僧こぞう達者たっしゃでな」

 小太郎に代金だいきんはらうと、ラスプーチンはギリシャに向かって飛んで行った。

「あのオッサン飛べるんや、便利べんりやなぁ。そうや、この300円でお菓子かしを買って帰ろう」

 小太郎は、スーパーマーケットに向かって走り出した。



「おい、大丈夫か」

 川島はたおれているグッピーちゃんをき起こす。

「くそう、あのひげジジイ。絶対にゆるさないから」

 起こされながらも、グッピーちゃんは怒っている。

「アイツは、もう死んだよ」

「えっ、もしかして専務せんむさんがたおしてくれたの?」

「ああ、そうだ。他の者たちも探して連れて帰ろう」

ーーくそう、グッピーちゃんまで、俺が専務せんむだって事を知っていたとは。あの社長にも困ったもんだなーー

 川島は苦笑にがわらいしながら、グッピーちゃんと一緒いっしょ処刑鬼隊しょけいおにたいのメンバーをさがし始めた。



 武蔵むさし虎之助とらのすけ肩車かたぐるましながら、宿舎しゅくしゃに向かっていると

「あそこのスーパーマーケットにるでござる」

 と、虎之助に指示しじされた。

肩車かたぐるましながらじゃ、入れないッスヨ」

 高さ的に、入り口のドアにつっかえそうである。

「じゃ、オンブで良いでござる」

 虎之助は肩車かたぐるまから、オンブの体勢たいせいに移動する。

「あのチップスと、このチョコレートを買うでござる」

 スーパーマーケット入ると、武蔵は虎之助の選んだお菓子かしを買い物カゴに入れさせられていた。

「そろそろオンブもつかれたッス、もうりてくれないっスか」

「ダメでござる、帰るまで合体しておくでござる!」

ガブッリ!

 武蔵は首を虎之助にまれた。

「痛ッス。あれっ、あんな所に小太郎ッチがるッスよ」

 武蔵は首をまれながらも、スーパーの店員さんを口説くどいている小太郎を見つけた。

「オバちゃん、俺とバビロンの空中庭園くうちゅうていえんに行けへんか」

 小太郎が30代ぐらいの主婦しゅふっぽいパートの店員を、一生懸命いっしょうけんめい口説くどいている。

「あんた仕事の邪魔じゃまだから、あっちに行って」

 オバちゃんと呼ばれて、店員は不機嫌ふきげんそうに小太郎を追い払おうとしている。

 そんな小太郎をながめながら

「武蔵は、彼女はるのでござるか」

 と、虎之助がたずねた。

「僕は京都に5人、大阪に2人いるッス」

 軽く武蔵は答える。

「アホでござるね」

「アホじゃ無くて、僕はモテるんッスよ」

「彼女が7人もやつは、正常せいじょうでは無いでござる。おぬし異常者いじょうしゃではござる」

「そんな大袈裟おおげさなことじゃ無くて、だたモテるだけッスよ。そう言うおじょうちゃんは彼氏はるんスか」

「恋人でござるか」

ーー恋人などは考えた事も無かったでござる。この前は、左近さこんから結婚してくれって言われたけど、左近はまだ小学生だしなぁ。若林わかばやし交際こうさいしてくれって、しつこいでござるな。黒瀬くろせは、いつもおごってくれるからーー

 などと虎之助が考えていると

「待っておくんなはれ、誤解ごかいでんねん。ちょっとオバハンの手をにぎりたかっただけやねん」

 小太郎の大きな声がする

 あんまりしつこく店員を口説くどいていたので、店長らしき男と警備員けいびいんに店からつまみ出されているところであった。

ーーあの男を彼氏にするのが、一番ダメでござるなーー

 と、思う虎之助であった。




 国際電器保安協会こくさいでんきほあんきょうかいギリシャ本部に、ラスプーチンがやって来た。

「アポロンは、どこだ?教えろ、エロい人」

 幹部かんぶのハルバトスに対し、聖剣エクスカリバーを喉元のどもとに当てておどしている。

「だから、アポロンは病院に入院してるって言ってるだろ」

「どこの病院だ、エロい人?」

「国立病院だ。それより、エロい人って言うな!」

 2人が口論こうろんをしていると

「ラスプーチン君、本部の人に迷惑めいわくをかけては、いけませんよ」

 と、背後はいごから注意された。

「誰だ、俺様おれさまに意見するやつは」

 ラスプーチンがり向いてみると、やさしげな感じの紳士しんしが、微笑ほほえんでいる。

「あっ、アンタはロマノフ議員ぎいん。どうしてココにるんです?」

「ゼウスがたおされたと聞いて、確かめに来たんだが、どうやら本当のようですね」

やつは俺を利用してスーパーゼウス人になったのですが、日本の鬼に殺されました」

 ラスプーチンにしては丁寧ていねいに説明する。

「では、ココにても仕方しかたが無い、帰りますよ。ラスプーチン、アナタも付いて来なさい」

「はい、わかりました」

 意外にも素直すなおにラスプーチンは、ロマノフ議員に連れられてロシアまで帰国するのであった。

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