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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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黒服とメガネ

 ゼウスたちと夜叉やしゃひきいる鬼の対決は、数でまさるゼウス側が有利かと思われたが、意外な事に互角ごかくの戦いとなっていた。

 夜叉やしゃ圧倒的あっとうてきに強く、川島かわしまこと熊堂子くまどうじもハーデースやポセイドン相手に一歩も引かない戦いをりひろげている。

ーー夜叉やしゃは分からんでも無いけど、川島があんなに強かったとは知らんかった。よし、俺も一応いちおう茨木堂子いばらぎどうじだ、やってやるかーー

 鬼塚おにずか覚悟かくごを決めて、敵にっ込んで行った。

「おのれら、全員ぶち殺したる!」

バキッ

 鬼塚の右フックが、ポセイドンの顔面にクリーンヒットした。

「はうっ」

 っ飛ぶポセイドン

「ほう、やるやないか鬼塚」

 夜叉やしゃは感心して鬼塚を見ている。

「思ったより、やりよるな鬼ども。だが、これで終わりだ」

 ハーデースが冥界波めいかいははな

「ほう、冥界波か。ならば、こっちは神をも焼きくす、秘術『迦具土神カグツチほのお』」

 夜叉やしゃ迦具土神カグツチほのおむかつ。

ドシャッ!

 冥界波めいかいは迦具土神カグツチの炎が、ぶつかり合って屋敷やしきの内部は、ほとんど破壊はかいされてしまった。

「とどめの『魔導波動砲まどうはどうほう』」

 夜叉やしゃの両手から、ありないほどの強力な破壊はかいエネルギーがはっせられた。

ドガッ!バキッ!バキッ!

 あまりにも巨大なエネルギーにえきれず、屋敷やしきは粉々に吹き飛び、ゼウス側は甚大じんだいなダメージを受けた。

 ポセイドン、ハーデース、ヘスティアを始め、アポロンとペガサスも重症じゅうしょうってしまい、唯一ゆいつ戦闘可能せんとうかのうなのはゼウスのみとなってしまった。

「ありゃ、なんて事だ、ギリシャ本部の猛者もさたちが。もうゆるさんぞ、神のいかずちらえ!」

ドカーン!バリバリ、バリ!

 ゼウスの必殺技『神のいかずち』が炸裂さくれつする。

秘技ひぎ熊童子障壁くまどうじしょうへき』」

 だが、川島のバリアで『神の雷』はふせがれてしまった。

ーーええっ!川島ってあんなすごわざを持ってたんや。知らんかったーー

 攻撃こうげきふせがれたゼウスよりも、鬼塚の方がおどろいている。

 さらに川島は

迦具土神カグツチほのお

 と、ゼウスに攻撃こうげき仕掛しかける。

ーー川島のやつ、あんなむずかしそうな名前のわざまで使えるとは、なんかショックやーー

 鬼塚がヘコんでいる間に、ゼウスの身体からだ迦具土神カグツチの炎で焼かれて行く。

「アチチっ、こりゃ熱いわ。もう、やってられん、みんな帰るぞ。ヘスティアたのむ」

 ゼウスのテンションが、最低値さいていちまでがってしまった。

「しょうが無いわね」

 負傷ふしょうしているヘスティアは、よろめきながら立ち上がり

「アラビン・ドビン・ハゲマッチョ」

 と、呪文じゅもんとなえると、多量のけむりが発生し、ゼウスらギリシャ本部のメンバーはけむりとともに姿を消した。

「あれっ、敵がいなくなりましたで」

 鬼塚がキョロキョロしていると

「社長、逃げられたようです」

 と、川島にげられた。

「どうやら、やつら、そうとう遠くに逃げたようやな。もう、日本にはらんみたいや」

 空を見上げながら、夜叉やしゃつぶやく。

ーー良かった、死なんでんだーー

 ゼウスたちとの死闘しとうから、無事に生還せいかんできた事に、鬼塚はホッとするのであった。



 夜叉やしゃたちがった後、レムリアの屋敷やしきがあった場所に黒服の男が一人立っていた。

夜叉やしゃか。鬼神の強さとはすさまじいものだな」

 ゼウスと夜叉やしゃの戦いぶりを、偵察ていさつしていたのである。

 跡地あとちには、豪華ごうか屋敷やしきがあったとは思えないほど破壊はかいつくくされており、数本のはしらを残すのみとなっている。

「ここでこった事を、さっそく白鬼はっき様に報告せねば」

 黒服がスーツのポケットから、スマホを取り出そうとした時。

ガサガサ

 と、物音ものおとがした

ーー誰か来たなーー

 とっさにはしらうらかくれる黒服。

「ありゃ、エライことになってまんなぁ。ものすごい音がしたから見に来てみたら、建物が全壊ぜんかいしとる」

「ガスでも爆発ばくはつしたのでござるかな」

 小太郎こたろう虎之助とらのすけであった。

「姉さん、だれたおれてまっせ」

髭面ひげづらのオッサンでござる」

 2人は、ラスプーチンの死体を見ている。

ーーアイツらたしかDSPの転生者だーー

 黒服が気配けはいを消して、そっと立ち去ろうとした時。

曲者くせもの

カッ!

 虎之助が、黒服がかくれているはしら手裏剣しゅりけんを投げた

ーーしまった、見つかった。こうなったらしょうがないーー

「待て、私はてきじゃない」

 みずから黒服は姿をあらわした。

「黒服の男や、コイツは悪者や」

 小太郎が刀をく。

「ちがう、私はこういう者だ」

 と言いながら、つねに持ち歩いている、にせ名刺めいしを小太郎に渡した。

「ほう、ハイパーメディアクリエイターでっか、何する人かわからんけど、あやし過ぎる肩書かたがきでんな」

 名刺めいしを見ながら、小太郎は不信ふしんがっている。

「中にはあやしい人もいるけど、ウチは江戸時代から続く老舗しにせだから大丈夫だいじょうぶだよ」

 とりあえず、適当てきとううそでごまかす黒服。

「へえ、じゃ信用できますなぁ」

 小太郎は、すぐにだまされた。

「この男の眼鏡めがねあやしいでござる」

 まだうたがっている虎之助が、黒服の眼鏡めがねをひったくり、自分でかけてみた。

「あれっ、小太郎の頭に数字が出てるでござる」

ーーしまった。俺の眼鏡めがねはスカウターになっていて、見た者の戦闘力せんとうりょくが、数字で見えるんだーー

 黒服はあせった。

「姉さん、俺にも見して下さいよ」

 小太郎は、眼鏡めがねりて虎之助を見てみた

「今日の、姉さんの下着は水色でんな」

 小太郎は、ガンしている。

透視とうしメガネでござるか?やっぱり、この男は変質者へんしつしゃでござる」

ーーえっ、そんな機能きのうついて無いけどーー

ってまいましょうか?」

 小太郎は刀を黒服に向ける。

「待て、待て。そんな機能きのうは付いてないハズだ。ちょっとしてみろ」

 黒服は眼鏡めがねをかけて虎之助を見てみた。

 虎之助の頭の上に、なぜかプリンが1つ見えた。

「あれっ、プリンが見えるぞ。デブ眼鏡めがねマッチョの手作り焼きプリンって書いてある」

 すると、虎之助は顔を赤らめながら

「それは、拙者せっしゃが、さっき食べたプリンでござる」

 と、れくさそうにしている。

ーーおかしいなあ、こんな機能きのうも付いて無いはずなんだがーー

 黒服がなやんでいると。

「とりあえず、コイツは殺しときましょうや」

 小太郎が刀を黒服の首元くびもとに当てる。

「待てよ、私は殺されるような事はしてないぞ」

 必死に弁明べんめいする黒服の背後はいごに、突然とつぜん人影ひとかげが現れた。

ガブッ

 と、いきなり黒服は後頭部こうとうぶ人影ひとかげかじられて

「くふぅ〜」

 そのまま息絶いきたえてしまった。

「あっ、黒服が死んでもうた」

「こいつは、たおれていたひげのオッサンでござる」

 いつの間にか、ラスプーチンが生き返っており、黒服の頭部を食べている。

美味うまいわ、これ。ケチャップがあれば、もっと美味うまいと思うんだけど、君たちケチャップ持ってない?」

 と、ラスプーチンが虎之助たちに聞いて来た。

「ひぃー、ゾンビでござる」

 血まみれのラスプーチンの姿を見て、虎之助はあわてて逃げ出す。

「姉さん、待って下さい!」

 小太郎も逃げて行った。

 一人残ったラスプーチンは

「アポロンめ、俺をなぐり殺しやがって、必ずブッ殺してやる。しかし美味うまいな、これ。どこで売ってるんやろ?」

 と、復讐ふくしゅうに燃えながらも、美味おいしいご馳走ちそうにありつけて、ご満悦まんえつであった。

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