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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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レムリアVS虎之助

 高級住宅街こうきゅうじゅうたくがい一画いっかくに、古風こふうな広い屋敷やしきがあった。

 屋敷やしきは、玄関げんかんを入ると広いけのフロアーがあり、20人程度であればパーティー等でくつろげるオシャレな空間となっている。

 そのフロアーで、黒服の男が若い男に問詰といつめられていた。

「それで、一人で逃げて来たのですか」

もうわけありません、レムリア様。あいつらムチャクチャで、みんなられてしまいました」

黒服の男は、仲間を虎之助とらのすけたちに全員殺されてしまい、やっとの事でレムリアの屋敷やしきに逃げ込んだのである。

「それはこまりましたね」

 黒服にレムリアと呼ばれた男は、高貴こうき雰囲気ふんいきただよわせており、上品なグレーのスーツを着こなしている。

 部下が、ほとんど殺されたわりには落ち着いており、こまったと言いながら、さほどこまった様子ようすでもない。

ドガッ!

 玄関げんかんの方からはげしい音がした。

けられましたね」

 そう言いながら、レムリアは、ゆっくりと玄関を見る。

「ここが黒服のアジトか。けっこう良いところやないか」

 えらそうにしている小太郎こたろうを先頭に、虎之助とらのすけ武蔵むさしの3人が入って来た。

 全員、武器を持っており、る気まんまんである。

「たった3人で、ここに乗り込んで来るとは、いい度胸どきょうですね」

 おどろ様子ようすもなく、レムリアは落ち着いている。

 3人におびえた黒服の男が、上着のポケットから万年筆まんねんひつのような器具きぐを取り出そうとしたが

カキンッ

 虎之助の投げた手裏剣しゅりけんで、器具を払い落とされてしまった。

下手へたな動きをすると、殺すでござる」

 虎之助が黒服を牽制けんせいする。

うそつけ、何もしなくても殺すクセに」

 男は、かまわず器具をひろおうとした。

ズバッ!

「動くなって、言ったじゃん」

 目にも止まらぬ速さで、男は武蔵むさしてられた。

「ほう、少しは出来るようですね。だが、私にいどむには100年早いですよ。悪いことは言いません、早くここから立ちるのです。そうすれば、今のは無かった事にしてあげますから」

 レムリアは、目の前で仲間が殺されても、まったく動揺どうようしていない。

 気品きひんのある堂々とした態度たいどのまま、虎之助達に立ちるようにすすめる。

 圧倒的あっとうてきな、強者だけが持つ余裕よゆう見受みうけけられた。

「あっ、この男、知ってますわ」

 レムリアを指さしながら、唐突とうとつに小太郎が言った。

何者なにものでござるか」

 虎之助が聞く。

「近所で有名な、強姦魔ごうかんまですわ」

 小太郎は、変質者へんしつしゃでも見るような目でレムリアを見ている。

「そう言えば、拙者せっしゃも、この男に強姦ごうかんされた事があるような気がするでござる」

 虎之助は、適当てきとうに言った。

「ええっ!ちょっと待て、私はそんな事してないぞ。それに、お前のような小娘こむすめなんか相手にするか!」

 いきなり、若い娘に強姦ごうかんされたと言われて、さすがのレムリアも動揺どうようし始めた。

「言いわけ無用むよう。小太郎、武蔵。この男をブッ殺すでござる」

 虎之助の号令ごうれいと共に、3人がいっせいにおそいかかる。

ズバッ、ズバッ、ズバッ!

 レムリアは、3人にメッタりにされてたおれ込む。

「これで女性が安心してらせる、平和な世の中になりましたな」

 たおれているレムリアを見下みおろしながら、小太郎は満足まんぞくそうである。

 だが、きざまれたレムリアのきずは、徐々にふさがって来ている。かなりの回復能力があるようだ。

「小太郎ッチ、気を付けるじゃん。コイツまだ生きてるッス」

 武蔵が気付きずいて注意する。

貴様きさまら、よくも高貴こうきな私に」

 回復して来たレムリアは、激怒げきどしながら立ち上がった。

強姦魔ごうかんまのクセに高貴こうきとは、笑わせるやっちゃで」

 小太郎は半笑はんわらいで、レムリアを馬鹿ばかにしている。

「いい加減かげんにしろ。この私がそんな事するわけないだろ!」

 顔を真っ赤にして、レムリアはおこっている。

「コッチには証人しょうにんがいるんや、観念かんねんしてつみみとめろや」

 小太郎がめて来る。

「罪をみとめた方が、楽になるんじゃなーい」

 武蔵もめて来た。

「この男は、ドブかえるみたいなにおいがするので、早く死んで欲しいでござる」

 鼻をつまみながら、虎之助がいやそうに言った。

うそつくな!私から、そんなにおいがするわけないだろ」

 プライドの高いレムリアは、当然のごとく激怒げきどしている。

「するでござる。おぬしからは、くさったドブのにおいがするでござる」

「しねえよ!」

「小太郎、武蔵。この、ドブ人間にんげんをブチ殺すでござる」

 虎之助の号令ごうれいと共に、3人がおそいかかった。

「ドブ人間って言うな!」

 レムリアは怒鳴どなりながら

ズバッ、ズバッ、ズバ!

 と、メッタりにされてしまった。

「復活しないように、拙者せっしゃ神気しんきで、とどめをさすでござる」

 虎之助の両手からはっせられた、ドス黒い闘気とうきたおれているレムリアをつつんでいく。

「おじょうちゃん。それって、どう見ても暗黒闘気あんこくとうきじゃん」

 武蔵にまれた。

ちがうでござる。これは神気しんきでござる」

「そうやで、武蔵。姉さんが暗黒闘気あんこくとうきなんか出すはずないやろ。暗黒闘気っていうのは、邪悪じゃあく魔物まものが出すもんやで」

 虎之助と小太郎は、そろって否定ひていしているが、闘気とうきを受けたレムリアはドス黒く変色して絶命ぜつめいした。どう見ても、邪悪じゃあくな力で殺された姿である。

「さすが姉さん、この変態へんたい見事みごと仕留しとめましたな」

拙者せっしゃの、暗黒闘あんこくとういや、神気しんきは世界イチーィでござるからなぁ」

 2人はゲラゲラと笑い出した。

ーーこのおじょうちゃん、さっき、自分でも暗黒闘気あんこくとうきって言いかけたな。じつは、スゲエやべぇなんじゃない?ーー

 と、虎之助の事を、疑惑ぎわくの目で見始みはじめる武蔵であった。

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