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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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黒瀬の不安でござる

 鬼塚おにずか川島かわしまは、黒瀬くろせからの報告ほうこくを受けて[大阪鬼連合団体おおさかおにれんごうだんたい]の緊急きんきゅうカンファレンスを開いていた。

 大阪鬼連合団体とは、日本テクノロジーコーポレーションをふくめた、大阪に住んでいるおもな鬼たちが集まっている団体である。

「今日は、みなさんに、いくつか報告ほうこくすることがあります」

 議長ぎちょうは鬼塚である。

「30年ぶりに牛鬼ぎゅうき覚醒かくせいした。これで大阪支部おおさかしぶにSランクの鬼が4人そろいました」

「四天王の復活ですな」

 初老しょろうの男が、しみじみと言った。

「悪いニュースもある。今までで最強の転生者てんせいしゃあらわれた。ウチの黒瀬の話だと、若いむすめやそうや」

「最強と言いますと、どのぐらい強いんですか?」

 若い男が質問しつもんする。

なみ鬼武者おにむしゃでは、瞬殺しゅんさつされるぐらい強い。見た目が小娘こむすめだからといって、あなどれない相手や。動きの素早すばやさからして、おそらく前世ぜんせではしのびの者だ」

「忍者ですか、やつらは一流の者ほど名をのこさない。前世ぜんせ情報じょうほうがないので厄介やっかいですね」

「それが何でか、転生てんせいしてからは、虎之助とらのすけと堂々と名のっているんや」

「変わったしのびですね」

「変わっているが凄腕すごうでや。ほおっとけば鬼神きしんたちの耳に入る」

 鬼神きしんという言葉ことばで、一同いちどう緊張きんちょうが走った。

 京都には鬼神と呼ばれる、おそろしく強い鬼たちがる。その鬼神に対抗たいこうするため、京都府警きょうとふけいのDSPには、渡辺綱わたなべのつな芹沢鴨せりざわかもといった、歴史上れきしじょうでも凄腕すごうで転生者てんせいしゃ配属はいぞくされている。

「マズいですね。四天王の誰か出動しゅつどうできませんか?」

 鬼塚は、少し考えてから答えた。

「そうやなぁ。在阪ざいはんの四天王は、まず俺が茨木堂子いばらぎどうじやろ、あと熊堂子くまどうじ金鬼きんき霊鬼れいきて、牛鬼ぎゅうきが新しくくわわるから」

「ちょっと待って下さい。四天王なのに5人いますやん」

「あっ!ホンマや」

「こうなったら、四天王という名称めいしょうを変えましょう」

「そうやな、なにか良いあんはあるか?」

五鬼ごきレンジャーというのは、どうでしょうか?」

 まず、若い男が提案ていあんした。

「アホか、お前は。レンジャーなら人々をたすけなきゃアカンやろ」

五鬼大将ごきだいしょうは、どうですか?」

 中年の男も提案ていあんする。

「そんな、ガキ大将だいしょうみたいな名前はダメや」

令和れいわファイブは?」

「なんか、弱そうやな」

鬼殺おにごろし特戦隊とくせんたいはどうでしょう?」

「意味がわからん。なんで鬼殺おにごろしなんや?」

「なんか、強そうだと思いまして」

「そんな理由じゃダメや、みんな真面目まじめに考えろ」

「じゃ、五人囃子ごにんばやしで行きまょう」

「それは、なんか少しこわい」

 川島かわしまが気に入らないようである。

「三代目デビルブラザーズは、どうでしょう?」

「それや!」

 やっと、鬼塚の気に入る名前が出た。

「いきなり三代目って。初代しょだいもニ代目もいないのに」

 これには川島が反対した。

「ほんなら、やめや。ほかに何かないんか?」

 その後も多数たすうの意見が出たが、鬼塚の気に入るあんは出て来なかった。

 大阪鬼連合団体のカンファレンスは、長時間にわたっておこなわれたが、内容ないようは意外にもうすかった。



 大阪市の、とある、お好み焼き屋では、30歳前後の男と若いむすめが話しんでいた。

「おい、黒瀬。あの若林と言う若造わかぞうは何者でごる?モグモグ」

 虎之助が、お好み焼きを口にみながら、男に聞いている。

「そう言われましても、私にもわからんのです。あの時までは普通ふつう気弱きよわな若者でしたので。それより、もう帰っても良いですか?こんな所を仲間に見られたら殺されます」

「ちゃんと話さないと、仲間に殺される前に拙者せっしやが、お前を殺すでござる」

ーーこの小娘こむすめは、本当にる気だからこわいーー

 黒瀬は心底しんそこおびえていた。

 鬼武者おにむしゃは、一般いっぱんの鬼とくらべると、かなり戦闘力せんとうりょくが高い。黒瀬は、その中でも上位じょうい部類ぶるいに入る強者つわものである。

 その俺が、こんな小娘こむすめおびえてるなんて、以前なら考えられない事だが本気でこのはヤバい。

「わかりましたよ。本当かどうか知りませんが、ちょっと聞いた話では、若林の祖父そふ牛鬼ぎゅうきに変身できたそうです」

「わかった。では次はカフェで、拙者せっしやにタピオカミルクティーをおごるでござる」

「また、おごるんですか?」

「ガタガタ言わないで、殺されたくなければおごるでござる。さては、拙者せっしやがAカップだからってめてるでござるな」

「いやいや、とんでもない。めてませんよ、ちゃんとおごりますよ」

ーー華奢きゃしゃ身体からだだとは思っていたが、こいつAカップだったのかーー

 それにしては、よくうな。

 もしかして、俺から情報じょうほうを聞き出したいんじゃなくて、食べ物をおごってしいだけじゃないのか?

 どちらにしろ、とんでもないやつに、目をけられてしまった。

 黒瀬は、いろんな意味で不安になるのであった。

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