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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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武蔵vs虎之助

 虎之助は、高級寿司屋こうきゅうすしやでアポロンたちから寿司すしおごってもらい、上機嫌じょうきげんである。

「これは美味うま寿司すしでござるな」

「おじょうちゃん、ウニもありますよ」

 ペガサスが虎之助の接待せったいしている間に、アポロンはポセイドンと神波通信しんぱつうしん状況じょうきょう把握はあくしようとしていた。

「どうだ、救出きゅうしつできそうか」

 アンドロポプが聞いてきたが、やはりガニメデは遠すぎる。

むずかしいな、三神さんしんの一人であるゼウス様でも、自力では無理むりらしい」

「そういえば、このは一度、火星から帰って来たことがあるんだ」

 アンドロポプが思い出した。

「火星からか。ガニメデは、もっと遠いからなぁ」

 アポロンは、ためいきをつく。

「おぬしら、さっきから、なにをコソコソやってるんでござる」

 虎之助が、アポロンの様子ようすあやしみ出した。

「いや、なんでも無いんだ。こっちの話しだ」

 アンドロポプが誤魔化ごまかす。

「そっちの話しで、ござったか」

「そうそう、こっちの話。ところで、もうおなかいっぱい食べたのか」

 なんとか誤魔化ごまかせたようだ。

「おなかいっぱい食べたでござる。もう、おぬしらに用は無いので、今から殺すでござる」

 と言いながら、虎之助は刀をいた。

「待て待て、ちょっと待て。明日はイタリアンをおごってやるから、刀をしまえ」

 あわててアポロンがめた。

「イタリア料理りょうりでござるか」

 イタリア料理と聞いて、虎之助はかたなさやおさめる。

「そうだ、食べるだろ?」

「食べるでござる」

「じゃ、詳細しょうさいは、あとでメールするから」

承知しょうちしたでござる」

 おどろくほど簡単かんたんに、虎之助は買収ばいしゅうされていた。 



 そのころ、小太郎とグッピーちゃんは、武蔵むさし険悪けんあく雰囲気ふんいきが続いていた。

「まあまあ、いて、お2人さん」

 武蔵が、なだめるが、2人のいかりはおさまりそうにない。

 その時

「グッピーちゃん…」

 と、水鬼すいきくような声で、助けをもとめている。

 にらみあっていたグッピーちゃんは、武蔵にメッタりにされた水鬼すいきを見て

「今日のところは、しょうがないから引き上げてあげるわ」

 と、重症じゅうしょう水鬼すいき温羅うらたちをかかえて、しぶしぶって行った。

「あれっ、帰っちゃうワケ〜」

 武蔵が残念ざんねんがっていると。

「あっ、姉さんがもどって来はった」

 満腹まんぷくになったおなかさすりながら、虎之助がもどって来た。

「おじょうちゃん、アイツらりましたぁかあ〜」

 アポロンたちの始末しまつを、武蔵むさしに聞かれた。

やつら、げ足が早くて、げられたでござる。ゲプッ」

 げっぷをしながら虎之助は、おなかさすっている。

「おじょうちゃんも、意外いがい駄目だめダメっすねえ」

 武蔵がチャラく、チャカしてきた。

「こいつ、ムカつくでござる」

 虎之助は、自分が買収ばいしゅうされた事をたなに上げて、非常に気分をがいした。

たしかに、武蔵こいつウザいわ」

「みなさん、そうおっしゃりますね」

 武蔵は、ウザがられても、まったく気にしていない。

武蔵あいつとは、わんわ」

拙者せっしゃもでござる」

 文句もんくを言いながら、虎之助と小太郎は宿舎しゅくしゃへ帰る事にした。

「もう帰るんす〜かぁ」

「帰るでござる」

「まだ、大阪のまち堪能たんのうしてない気がしちゃうかもぉ」

「うざいなぁ、一人で堪能たんのうしとけや」

 小太郎は、武蔵を毛嫌けぎらいしている。

「やっぱり、そうなっちゃうワケ。なんか消化不良しょうかふりょうじゃな〜い。そうだ、おじょうちゃん、僕と剣術けんじつ試合しあいしちゃわない?」

 唐突とうとつに武蔵が、虎之助に試合しあいいどんで来た。

拙者せっしゃ試合しあいするなど、100ギガバイト早いでござる」

「姉さん、ギガバイトって、単位間違たんいまちがってまっせ」

 小太郎がむ。

「えっ、じゃ、101ぴきの猫ぐらい、早いでござる」

意味いみが、分かりまへんわ。数字も変わってますやん」

「おじょうちゃん、ひよっとしてバカなのかも〜」

 虎之助は、武蔵にもバカにされてしまった。

ブチン

 虎之助がキレた。

「この毒入どくい饅頭まんじゅううでござる!」

 ブチれた虎之助が、饅頭まんじゅうを武蔵の口にんだ。

「くふっ」

 パタリ、とたおれる武蔵。

「あちゃ、武蔵が死んでもうた」

 呆然ぼうぜんとしている小太郎を尻目しりめに、虎之助はスタスタと歩き出し

拙者せっしゃは、もう帰るでござる」

 と、宿舎しゅくしゃへと帰って行ってしまった。



「ただいまでござる」

 宿舎しゅくしゃもどると、リビングで鬼一きいち岩法師いわほうしが、なにやら話しんでいる。

 帰って来た虎之助を見て

「おう、虎之助、お帰り。武蔵はどうした?」

 と、岩法師がたずねて来た。

生意気言なまいきいうから、毒饅頭どくまんじゅう毒殺どくさつしたでござる」

 平然へいぜんと虎之助が答える。

 それを聞いて、岩法師と鬼一きいちかたまった。

 2人のうごきが、完全にまっているので、虎之助は時間がまったのだとおもみ、確認かくにんのため岩法師のほほをつねってみた。

「痛い。何すんじゃ!」

 岩法師におこられてしまった。

 どうやら時間は止まっていなかったようだ。

「本当に毒殺どくさつしたのか?」

 心配しんぱいした鬼一きいちが、確認かくにんして来た。

「本当は、睡眠薬入すいみんやくいりの饅頭まんじゅうでござる。武蔵にはムカついたけど、殺してはござらん」

「なんだ、そうだったのか、おどろいたぞ。まあ、私も平安時代へいあんじだいまれだから、武蔵の言動げんどうには多少たしょうなりともイラつく事があるが」

 鬼一きいちも、やはり武蔵が苦手にがてなようだ。

「そういえば、岩法師は何時代なにじだいから、転生てんせいして来たのでござるか」

 虎之助がたずねた。

じつは、拙僧せっそうは200年後ねんご未来みらいから来たんだ」

 意外いがいすぎる答えに、虎之助と鬼一きいちうごきがまった。

 あまりにもまっているので、岩法師は時間がまったのだと思い、確認かくにんするため虎之助のほっぺたを、左右に強くってみた。

「痛いでござる」

 虎之助がおこった。

「すまん、時間がまったのかと思って」

「時間が、まるわけ無いでござる」

 虎之助は、プリプリおこっている。

「でも、未来みらいから来たっていうのは、冗談じょうだんだろ?」

 と、鬼一きいちが聞くと

「本当は、鎌倉時代かまくらじだいからだ」

 すまなそうに、岩法師が答える。

「そうだと思ったでござる」

 虎之助は当然とうぜんのような顔をして、まだ少しおこっているのであった。

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