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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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アポロン

 虎之助とらのすけ小太郎こたろうは、武蔵むさしれて心斎橋しんさいばしに来ていた。

 何故なぜかというと、武蔵が大阪の繁華街はんかがい様子ようすを見ておきたいと言いだしたので、鬼一きいちから案内あんないたのまれたのである。

「ギャルがたくさんて、テンション上がりまくりっス〜」

 武蔵は初めて大阪の繁華街はんかがいに来て興奮こうふんしている。

「ここが若者のファッション最先端さいせんたんまち、アメリカ村や」

「やっぱり、そうなっちゃうワケね」

 武蔵は、変な口調くちょう感激かんげきしている。

「今日は、ライアンがないでござるな」

 いつもの公園こうえんにライアンが見当みあたらないので、タコ焼きをおごってもらうつもりであった虎之助は、てがはずれてしまった。

「ほんまでんなぁ。でも、あそこにライアンの友達のロシア人がいまっせ」

 小太郎がアンドロポプを見つけた。

「ホントでござる。一緒いっしょる男も、関空かんくうで会った事があるでござる」

 アンドロポプと一緒いっしょに、ペガサスもる。

てきなら、この僕がっちゃいます」

 そう言いながら、武蔵は刀をく。

「待つんや武蔵。あのロシア人はてきやけど、知り合いや」

 小太郎が制止せいしする。

「オー、ハピネス〜。お友達ともだちでしたかぁ」

「いや、友達では無い」

「なら、っちゃう?」

「今はダメでござる。いつもとちがって動きがあやしいので、けてみるでござる」

「そうでんな、なんかたくらんでるかも知れまへんな」

「やっぱり、そうなっちゃうワケ」

 武蔵は不服ふふくそうであるが、3人でアンドロポプをける事にした。



「ここは、どこじやろう?」

「クロノスのやつ、よくわからない所に飛ばしやがって」

 ゼウスとハーデースが、自分たちが送られた場所の確認かくにんをしていると

「おーい、ゼウス」

 と、大声を出しながら、ポセイドンとヘスティアーがやって来た。

「なんじや、お前らも、ここに飛ばされて来ていたのか」

「いやぁ、いきなり飛ばされてまいったよ」

 頭をきながら、ポセイドンが近づいて来る。

「ワシらも同じじゃ、戦う間もなく飛ばされてしまった」

「いったい、ここはどこなんだ」

 ハーデースは、場所を確認かくにんするため、両目をじてひたいにある神眼しんがんを使った。

「おおっ、ハーデースが3つ目に」

「ゼウス。アンタいちいち、うるさいよ。少しだまってな」

 ゼウスは、ヘスティアーにおこられてしまった。

「だんだん見えてきたぞ。近くに木星が見える、おそらくココはガニメデだ」

「ガニメデですって」

 マーゴットがおどろいて声をあげた。

「そんな所から、地球にもどれるのか?」

 ポセイドンも不安ふあんそうである。

「ガニメデといえば、たしか木星の衛星えいせいですよね。ハーデースさん、何とかなりませんか?」

 ライアンは、一番、たよりになりそうなハーデースにたずねた。

「俺一人では無理むりだが、ゼウスとポセイドンの力を合わせれば、どうにかなるかも知れんが」

「やっとワシの、かめはめ出番でばんじゃな」

 ゼウスがこしひくく落とし、かめはめ体制たいせいをとった。

ボカッ!

「だから、お前は、かめはめ波なんて出せないだろ」

 また、ハーデースになぐられた。

「やってみないと、わからんじゃろ」

「もし出たとしても、今はやくに立たねえんだよ」

 ハーデースはキレそうになっている。

「ハーデースの『冥界波めいかいは』で冥界めいかいに行けないかしら」

 と、ヘスティアーが提案ていあんする。

「それが、遠すぎて『冥界波めいかいは』が出ないんだ。クロノスの野郎やろうは、そのことも計算済けいさんずみで、ここに送りやがったんだ」

「そういえば、アポロンはどこだ。姿すがたが見えないが」

「俺と一緒いっしよで、黒服たちから、うまくげたんだと思いますよ」

 ライアンが答える。

「なるほど。では、ワシの神波通信しんぱつうしんで、連絡れんらくれるかも知れん。地球にるアポロンと連携れんけいすれば、帰る手立てだてが見つかるかもな」

 ポセイドンが目をじて、ひたい神眼しんがんを使った。

「おおっ、ポセイドンが3つ目に」

「うるさい!ゼウス。いちいち言わなくて良いのよ」

 またゼウスは、ヘスティアーにおこられてしまった。



 そのころ、ペガサスとアンドロポプは、木のえだっかかっているアポロンを見つけた。

「あれは、アポロンさんですよ」

全然ぜんぜん、動かないけど、死んでるんじゃないか?」

「アポロンさんは、ギリシャ本部でもトップクラスの回復能力かいふくのうりょくぬしです。そう簡単かんたんには死にませんよ」 

「じゃ、気をうしなってるのかな」

 アンドロポプは石をひろって、アポロンに投げてみた。

「いてっ」

 石は、アポロンの頭に直撃ちょくげきした。

「アポロンさん」

 と、ペガサスは声をかけてみる。

「なんだ、ペガサスじゃないか。となりの男はだれだ?」

 アポロンは、気がいたようだ

「ロシア支部のアンドロポプさんです。一緒いっしよにゼウス様をさがしていたんですよ」

「ゼウス様もなくなったのか?」

「ハーデース様もヘスティアー様も行方不明ゆくえふめいなんです」

「ライアンとマーゴットもないんだが、アンタなにか知らないか?」

 アンドロポプは、ライアンたちの事を心配している。

「みんな、なくなったんだな。ちょっと待ってろ、そっちに行くから」

ドスン!

 アポロンは木からりようとして、地面に落ちた。

「いててっ。ケツが痛い」

 痛そうに、おしりさするアポロン。

「おしりから、落ちるからですよ」

しりから落ちるのが、俺のスタイルだ」

 アポロンはつよがっているが、ペガサスとアンドロポプにわらわれてしまった。

「ところで、なんでアンタ、あんな所に、ぶらがってたんだ?」

 みんなが最初から気になっていた事を、アンドロポプが聞いた。

「ポセイドンたちと一緒いっしよるところを、黒服の男たちにかこまれたんで、ヤバいと思って、おもいっきり跳躍ちょうやくしたら高く飛びすぎてしまい、この木のえだ落下らっかしたようだ」

 アポロンはむねを張りながら自慢じまんげに答える。

ーーなんだ、こいつ、跳躍ちょうやくすごさを自慢じまんしているようだが。自分の間抜まぬけさに気付きづいていないのかよーー

 と、あきれるアンドロポプであった。

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