表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
56/149

宮本武蔵

 京都からのすけは、なんと、あの宮本武蔵みやもとむさしらしい。

 と、鬼一きいちからげられた大阪DSPのメンバーは、期待きたいむねふくらませていた。

 特に虎之助とらのすけは、ブラの中にメロンパンをんで、左右のむねを巨乳にしてふくらませていた。

ねえさん、エラい巨乳きょにゅうになりはりましたな」

 小太郎こたろうは、虎之助のむねをガン見している

拙者せっしゃは会ったことは無いでござるが、転生てんせいする前から宮本武蔵みやもとむさしの名は知っていたでござる。吉岡一門よしおかいちもんとの戦いは有名でござる」

「それやったら、いやおうでもむねふくらみまんなぁ」

 虎之助と小太郎は、テンションが上がっておりうれしそうである。

「俺は、そんなヤツ知らねえぞ」

 応仁おうにんらんの時代から転生てんせいして来た狂四郎きょうしろうは、当然とうぜんではあるが知らないようだ。

「私も小説でしか知らなかったよ。しかし、今まで宮本武蔵みやもとむさし転生てんせいして来たなんて、聞いた事がなかったな」

 鬼一きいちは、そんな有名人ゆうめいじん転生てんせいして来たのなら、自分の耳にも入っているはずなのにと、不思議ふしぎそうにしている。

最近さいきん転生てんせいして来たのかしら。でも、そんな高名こうめい剣豪けんごうが来てくれるなんて、うれしいわ」

「なんにせよ、強いすけ大歓迎だいかんげいだ」

 桜田刑事さくらだけいじ

岩法師は、単純たんじゅんよろこんでいる。

ピンポーン

 玄関げんかんチャイムがった。

「お客さんが来たよ」

 玄関げんかんから、左近さこんの声が聞こえた。

武蔵むさし到着とうちゃくしたな」

 鬼一きいち武蔵むさし出迎でむかえに、玄関げんかんへと足早あしばやに向かって行った。

「なんか緊張きんちょうするわね」

ーー宮本武蔵みやもとむさしって、やっぱり小説や時代劇じだいげきに出て来るような、しぶい中年の紳士しんしかしらーー

 桜田刑事は、伝説でんせつ武芸者ぶげいしゃとの対面たいめんを前に緊張きんちょうしている。

「こんちわ〜。宮本みやもとで〜す」

 チャラい若者が、鬼一きいち一緒いっしょにリビングに入って来た。

「みんな、この人が宮本武蔵みやもとむさしらしい。よろしくたのむ」

 鬼一きいちにが表情ひょうじょうで、DSPのメンバーに紹介しょうかいした。

 武蔵むさしは、意外いがい華奢きゃしゃな若い男であった。

 色黒いろぐろというよりはガングロで、かみは茶色にめて耳にはピアスをけている。

 服装ふくそうむねが、はだけたブラウスと、ダメージが入り過ぎたボロボロのジーンズで、どこをどう見ても、みなが思いかべる宮本武蔵みやもとむさしでは無い。

同姓同名どうせいどうめいとかじゃ無く、本物の宮本武蔵みやもとむさしでっか?」

 メンバー全員が思っていることを、小太郎が口にした。

「本物で〜す。みなさん、ヨロシク〜」

 狂四郎と左近以外さこんいがいは、放心状態ほうしんじょうたいになっている。

 特に虎之助は、ブラにんだメロンパンを取り出して、放心ほうしんしながらムシャムシャと食べ始めた。

ーー京都DSPの連中れんちゅうが、宮本武蔵みやもとむさし転生てんせいおおやけにしなかったのは、このチャラいキャラが原因だったのかーー

 と、期待きたいしていたぶん、鬼一きいち落胆らくたんは大きかった。


 各自かくじ自己紹介じこしょうかいが終わると、唐突とうとつに小太郎が

「アンタ、ホンマに、あの巌流島がんりゅうじま決戦けっせんで佐々木小次郎ささきこじろうたおした、宮本武蔵みやもとむさしなんか?」

 と、まだ信じられないようで、しつこく確認かくにんしてきた。

「みなさん、そう、おっしゃりますよね」

 武蔵むさしは、他人事ひとごとのように答える。

「本物の武蔵むさしなら、拙者せっしゃにステーキをおごってくれるハズでござる」

 虎之助が、無茶振むちゃぶりをして来た。

「おじょうちゃん。ステーキは、おはだに良くないので、ヘルシーな、お野菜やさいの方が良いと思ったり〜。セロリなどおいかがぁ」

 よくわからない口調くちょうで、返答へんとうする武蔵むさし

「なんでかコイツ、ムカつくわ」

「セロリは大嫌だいきらいでござる。拙者せっしゃにセロリをすすめるやつは、いずれ地獄じごくに落とすでござる」

 小太郎と虎之助は、武蔵むさしたいして不快感ふかいかんおぼえるのであった。



 そのころ国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかいギリシャ本部では、突然とつぜんゼウスの行方ゆくえからなくなり、グリゴリオス局長たちがあわてていた。

「これはマズイな、ゼウス追跡ついせきアプリから、突然とつぜんゼウス様の信号しんごうが消えた」

「では、だれか大阪に、捜索そうさくに向かわせましょう」

 幹部かんぶのハルパトスが進言しんげんする。

「しかし、今すぐ動けるエージェントが、一人もいないのですよ」

「こうなったら仕方しかたありません、ペガサスを復帰ふっきさせましょう」

 諜報部長ちょうほうぶちょうのアレクシオスが提案ていあんした。

「でも、あの人はおこって本部をめたんですよね。復帰ふっきしてくれますか?」

 諜報部員ちょうほうぶいんのペドロスは、不安を口にする。

大丈夫だいじょうぶだ、アイツの母親を殺すと言えば、したがうだろう」

 ハルパトスは、自信ありげに言った。

「ダメですよ、私たちは、そんなやすっぽい反社会的勢力はんしゃかいてきせいりょくでは無いのですよ」

 当然とうぜんの事であるが、グリゴリオスに止められた。

「では、魔法まほうセーラー戦士せんしポピリンのフィギュアをあげると言えば、復帰ふっきするのでは?」

 アレクシオスが、ひらめいた。

「そんな高価こうかなフィギュアは、勿体もったいなくて、あげられません」

「やはり、母親を殺しましょう」

 ハルパトスは、しつこく母親を殺すことをすすめる。

「殺しちゃダメだろ」

「特別ボーナスを出すというのは、どうでしょう?」

「それは、金額きんがくによりますね」

「アイツは阿呆あほだから、生玉食なまたまごた放題ほうだいで来るでしょう」

「手っ取り早く、母親をりましょう」

ハルパトスは、どうしても母親を殺したいようだ。

「だから、殺しちゃダメなんだよ!」

めずらしいカブト虫を、あげるというのは?」

 ペドロスも提案ていあんする。

「どこに、そんなカブト虫がいるんだよ!」

 おこりだすアレクシオス。

「やはり、一家皆殺いっかみなごろしにしましょう」

 ハルパトスは、さらに過激かげきになって来た。

「お前は、禁酒法時代きんしゅほうじだいのマフィアか!」

 むグリゴリオス。

 なかなか良いあんは出てこず、ギリシャ本部での話し合いは、もうしばらく続くのであった。



 アメリカ村では、アンドロポプがライアンとマーゴットをさがしていた。

「いつも、ここでタコ焼きを食べているのに、どこに行ったんだろう?」

 と、公園のあたりをウロウロしていると

「アンドロポプさん」

 だれかに名前をばれた。

「ロシア支部しぶのアンドロポプさんですよね。僕は、ギリシャ本部の者です」

 見ると、若い男が立っている。

 ペガサスである。

 結局けっきょく給料きゅうりょう20%アップという契約けいやくで、ペガサスを復帰ふっきさせたのだ。

「なんの用だ?」

「ゼウス様やポセイドン様が、消息しょうそくたれたので調査ちょうさをしに来たのですが、なにかご存知ぞんじないでしょうか?」

「なぜ、俺に聞く?」

「本部の情報じょうほうでは、このあたりの事はアンドロポプさんと、アメリカ支部しぶのライアンさんがくわしいとの事でしたので」

ーーなにっ!ゼウスが行方不明ゆくえふめいだと。もしかすると、ライアンたちがなくなった事と関係かんけいしているかもーー

「なるほどな、じつはライアンとマーゴットも消えたんだ。いつもココにるんだが、携帯けいたいにも出ないし、俺もさがしてたところだ」

「ライアンさんも消えたとなると、ゼウス様と一緒いっしょ可能性かのうせいが高いですね」

「では、協力きょうりょくして一緒いっしょさがそう。お前、何て名だ?」

ーーえっ、この凶暴きょうぼう悪名高あくみょうたかいアンドロポプとむのか。いやだな、僕は一人の方が気楽きらくで良いんだけどーー

「なにだまってるんだ。俺と組むのがいやなのか?」

「いえ、とんでもない。僕はペガサスです、よろしくおねがいします」

 と、いうわけでペガサスは、不本意ふほんいながらアンドロポプとんで、ゼウスをさがす事となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ