表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
53/149

ティターン神族

「でもてきが何者か、わからなければ戦闘時せんとうじこまります」

 マーゴットも知りたがっている。

「そう言われれば、たしかにそうだな。しかたない、長くなるが説明してやるか」

 ハーデースは話し始めた。

「実は、5万年ほど前にすでに地球上には、高度な超古代文明ちょうこだいぶんめい存在そんざいしていたのだ。

 俺たちの一族は、高い能力のうりょくを持っていたため、当時の支配者しはいしゃから戦闘せんとう危険きけんな作業場の担当をさせらていた。

 当然とうぜん負傷者ふしょうしゃや死者が多く出て、徐々に支配階級しはいかいきゅうへの不満がまっていった。

 そこで、ついに俺たちは反乱はんらんこしたのだ。

 ながい戦いのすえかろうじて俺たちが勝利し、支配階級しはいかいきゅうやつらはこの星からって行った。と、思っていたのだが。またあらわれ出したようなのだ」

「なるほどな。はじめ人間ギャートルズが、現代げんだい復活ふっかつしたという事か」

 と、ライアンは勝手に納得なっとくしている。

「ぜんぜんちがうだろ。お前はなにを聞いてたんだ!はじめ人間ギャートルズは、お前らの先祖せんぞだ。それ以前に地上を支配していたやつらの事だよ」

 ハーデースに怒鳴どなられた。

「そうよ、ライアン。オリンポスの神話しんわのこっている、クロノスやウラーノスといった古い神々、いわゆるティターン神族しんぞくと新しい神であるゼウスたちの戦いの事よ」

 マーゴットが、ライアンに説明する。

「そちらのおじょうさんは、物知ものしりじゃな」

 ゼウスは、マーゴットに感心かんしんしている。

「お前が、えらそうに言うんじゃねぇ」

 また、ハーデースが怒鳴どなった。

「そんなの、作り話だと思っていたが、実際じっさいに神々の戦いがあったんだな」

 やっと、ライアンも理解りかいし始めて来た。

「そうだ。そして、わずかに地球にのこっていたティターン神族しんぞく子孫しそんが、異能者いのうりょくしゃである。日本では、転生者てんせいしゃや鬼どもがそうだ」

「なるほど、それでわれわれは、鬼と転生者てんせいしゃ抹殺まっさつしていたのか」

 ライアンは、完全に理解りかいできたようだ。

「まずは、ポセイドンたちを救出きゅうしゅつしなければな」

 ハーデースは、深刻しんこくな顔になった。

「では、ワシは帰って、任天堂にんてんどうスイッチでもやろうかのぉ」

 と、ゼウスが言った。

「俺はマーゴットと、はじめ人間ギャートルズをさがします」

 ライアンはマーゴットをれて、立ちろうとしている。

「待てぃ!お前らは馬鹿ばかなのか。超古代人ちょうこだいじんやつらをさがすんだよ!」

 ハーデースの怒鳴どなり声がアメリカむらひびわたっていった。



 そのころ狂四郎きょうしろう桜田刑事さくらだけいじは、心斎橋しんさいばしでデートをしていた。

「あれっ、アイツは国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかいのライアンじゃないか」

 狂四郎が、偶然ぐうぜん、通りがかったライアンたちを見つけた。

「何してるのかしら、おじいさんやきたないオジサンも一緒いっしょにいるけど」

「えらく深刻しんこく雰囲気ふんいきだ、なにかやらかす気だな」

一応いちおう鬼一きいちさんに連絡れんらくしておくわ」

 桜田刑事はかばんからスマホを取り出す。



 DSP[デビルスペシャルポリス]の宿舎しゅくしゃでは、意外いがいなことに、小太郎こたろう異変いへん気付きづいていた。

「姉さん大変でっせ。俺のてきエネルギー発見レーダーが、強く反応はんのうしてます。きっと、巨大なパワーを持ったてきあられたんでっせ。行ってみましょう」

 小太郎は陰陽道おんみょうどうを利用して作った、自作の小型レーダーを虎之助とらのすけに見せて来た。

奇遇きぐうでござるな、拙者せっしゃのレーダーも反応はんのうしてるでござる」

 と、虎之助は自分の頭頂部とうちょうぶを指さす。

 見てみると、かみの毛が一束ひとたば不自然ふしぜんに立っている。

「それは、ただの寝癖ねぐせでんがな」

ちがうでござる。これはレーダーでござる」

「そうでっか。どう見ても寝癖ねぐせですけど。姉さんが右を向くと、立ってるかみの毛も右に向きまっせ」

「それは、小太郎の目の錯覚さっかくでござる。それより、おなかったでござる。ピザでも取るでござる」

 虎之助は、ポケットからスマホを取り出した。

「ピザでっか。ええでんな、俺はピーマンきでおねがいします」

「小太郎の分は、自分ではらうでござる」

「エエっ!姉さんおごって下さいよ。火星で大金持ちに、なりはったんでしょう?」

「火星ではセレブでござるが、地球には拙者せっしゃ口座こうざがある四菱銀行よつびしぎんこうが無いので、お金を引き出せないでござる」

「他の銀行とは、提携ていけいしてないんでっか?」

「どことも提携ていけいしてないでござる」

「それはこまりましたな」

こまったでござる。拙者せっしゃは地球では負け組のド貧民ひんみんでござる」


 のちり返ると、その時の虎之助は、いつもの不敵ふてき態度たいどとは逆に、不憫ふびん可弱かよわい少女であり、実際じっさいよりも小さく見えたという。

【ニューヨークタイムズ大阪特派員おおさかとくはいんケント・デリカデッセン  小太郎独占こたろうどくせんインタビューより】


 小太郎の脳内のうないでは、架空かくう記事きじ自動的じどうてき作製さくせいされていた。

「なんか、姉さん可哀想かわいそうでんな」

 小太郎は、ひどく虎之助に同情どうじょうした。

 というわけで、かんで、ピザを注文する2人であった。



 鬼一きいち岩法師いわほうしは、桜田刑事からの連絡れんらくを受け心斎橋しんさいばしに向かっていた。

「たしか、この辺ですね」

「あっ、狂四郎きょうしろうと桜田刑事がいた」

 むこうも、こちらに気付きづき近づいてやって来る。

「鬼一さん。やつらは、そこの北欧ほくおうブランドの服屋に入ったので、つけて行ったのですが、なぜか店の中にはなくて見失みうしってしまいました」

 狂四郎が、今までの経緯けいい報告ほうこくした。

「店内にはなかっただと。いや、おそらく、その服屋がやつらのかくちがいない」

 と言い、鬼一は店に入って行った。

 店内で目をつむり、心眼しんがんを使ってまわりを見渡みわたす。

「あそこだ!」

 鬼一きいちは、店のすみにある試着室しちゃくしつへと向かい、カーテンをめくるが、特になにも見当みあたらない。

「ただの試着室しちゃくしつに見えますが?」

 狂四郎は、不思議ふしぎそうに見ている。

「ここに、かく通路つうろがあるはずだ」

 試着室しちゃくしつかべさわりながら、鬼一はとびらさがしている。

「あった。ここだ」

 かべを強く押すと、なんとかくとびらが開いた。

「行くぞ」

 鬼一は返事を待たずに、一人でとびらの奥に入って行く。

 その様子ようすを見ていた狂四郎は、こんな所に敵のアジトが、とおどろきながらも

「桜田さんは、危険きけんなのでしょ待機たいきしていて下さい」

 と、桜田刑事を退避たいひさせる事にした。

「わかったわ、気をけてね狂四郎君」

 桜田刑事を帰すと、狂四郎と岩法師もとびらの奥へと向う。


 宿舎しゅくしゃでは、虎之助と小太郎がピザを食べ終わったところであった。

美味おいしかったでござるな」

 虎之助は、満足まんぞくそうである。

「やっぱりピザは、宅配たくはいかぎりまんなぁ。しかし姉さん、俺たち何かわすれているような気がするんですが?」

 小太郎は、なにかが気にかかっていた。

ーーなんやろ、なんか大切なことを忘れていると思うんやがーー

 ブラシで寝癖ねぐせなおしながら、虎之助は

「そんなの、気のせいでござる。小太郎は神経質しんけいしつでござるね」

 と、寝癖ねぐせなおすことに集中しており、適当てきとう返答へんとうしている。

「あっ!そうや。ピザ屋にピーマンいてもらうのをわすれてたんや。きらいやのに気付きづかんと食べてもうたわ」

「小太郎はアホでござるね」

 虎之助は、ブラシでかみをとかしながら、なく言った。

 小太郎が作ったてきエネルギー発見レーダーは、心斎橋しんさいばし方角ほうがくしめしているのだが、つくえの上に放置ほうちされたままであり、2人が気付きづくことは無いのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ