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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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ギリシャ本部の逆襲でござる

 国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかいギリシャ本部ほんぶにペガサスが帰って来た。

「よう、ペガサス首尾しゅびはどうだった?」

転生者てんせいしゃは何人殺して来たんだね?」

 諜報部長ちょうほうぶちょうのアレクシオスと幹部かんぶのハルパトスが、さっそく聞いて来た。

「いえ、一人もってません。やつらは僕の手にえる相手では無かったです」

「マジで?」

 信じられないという顔で、ハルパトスは聞き返す。

「マジです」

「やはり、君一人では無理であったか」

 いつの間にか、グリゴリオス局長きょくちょうもやって来ている。

「すいません局長きょくちょう。お役に立てなくて」

 ペガサスは頭を下げた。

「まあ、しょうがない。だが、本部ここおきてはわかっているな?」

「はい。任務にんむ失敗しっぱいした者は、二ヶ月の減給処分げんきゅうしょぶんでしたね」

 ペガサスは、仕方しかたなさそうに答える。

「それは先週までで、今週からは死刑しけいだ」

 グリゴリオスは、つめたく言いはなつ。

「エエっ!死刑しけいですか!」

 いきなり死刑しけいと言われ、ペガサスはおどろいた。

「そうです、死刑しけいです。しかも、確実かくじつに殺すためにギロチンでおこないます」

 グリゴリオスは冷静れいせいに答える。

「ギロチンって!じゃ、こんなトコもうめます」

 ペガサスは、キレ気味ぎみに言いはなった。

「えっ、めちゃうの?」

 グリゴリオスは、なぜか残念ざんねんそうである。

死刑しけいになるぐらいなら、めた方がマシです」

「なら仕方しかたない。退職届たいしょくとどけを総務部そうむぶ提出ていしゅつしておいてくれ。あと、健康保険証けんこうほけんしょもなるべく早く返すように」

 冷たく、事務的じむてき態度たいどをとるグリゴリオスに

「わかりました」

 と、ペガサスは返答へんとうしたものの

ーーあ~あ、今日から無職むしょくか。今は不景気ふけいきだから、なかなか良い就職先しゅうしょくさきが無いんだよなぁーー

 テンションを下げながら、国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかい退職たいしょくする事となってしまった。



「まさか、ペガサスが退職たいしょくするとは」

 グリゴリオス局長きょくちょうは、残念ざんねんそうに、つぶやいた。

「そりゃ、死刑しけいって言われたら、ふつうめるでしょう」

 近くで2人の会話を聞いていた、ハルパトスがむ。

「しかし、最近の、ゆとり社員はやりにくいわ」

「いや、ゆとりはまったく関係ないでしょう。ココは日本じゃなくてギリシャですし」

 再度さいど、ハルパトスがんだ。

一応いちおうはギリシャなんだけど、食生活しょくせいかつ日常にちじょう習慣しゅうかんは、日本式にほんしきを取り入れてるからなぁ」

「それは本当ですか?」

「いや、うそやけど」

うそでしたか、良かった。日頃ひごろから職場しょくばでは日本食ばかり食べてるんで、一瞬いっしゅん、信じそうになりましたよ」

「しょうがない。こうなったら、ヘラクレスに行ってもらおう」

 グリゴリオス局長きょくちょうは、しぶしぶ決断けつだんする。

「ヘラクレスは、ぶらり途中下車とちゅうげしゃの旅から、帰って来ているんですか」

「まだなんだけどSNSをチェックしたら、今は東アジアにるらしいんで、連絡れんらくして日本に行ってもらおうと思う」

「それは、良いかんがえですが、ぶらり途中下車とちゅうげしゃで、東アジアまで行ってたんですね」

「変なやつやな」

 グリゴリオスとハルパトスは、向き合って苦笑にがわらいした。



ねえさん、姉さん」

 朝早くに、部屋へやていた虎之助とらのすけを、小太郎こたろうが起こしに来た。

「どうしたのでござるか……ムニャムニャ」

 虎之助は、まだ完全かんぜん覚醒かくせいしていないようである。

「アキレスの仲間が、大阪にんで来たんですわ」

「そうなのでござるか……ムニャ」

鬼一きいちさんは、岩法師先生いわほうしせんせい狂四郎きょうしろうれて、先に行きはりましたよ」

「じゃ、小太郎も早く行って来るでござる……ムニャ」

 虎之助は、ねむそうである。

「姉さんも行くんでっせ」

拙者せっしゃねむいし、まだ朝ごはんも食べてないでござる…ムニャ」

 空腹時くうふくじの虎之助は、戦闘力せんとうりょくが70%ダウンするのである。

「俺がサンドイッチを作ったんで、食べながら行きましょう」

「ピーナッツバターサンドイッチでござるか?」

「そんな、アメリカンなヤツちゃいます、普通ふつうのレタスとハムが入ったサンドイッチでっせ。玉子やキュウリも入れてますので美味おいしいと思いますよ」

「ZZZ……」

 小太郎がサンドイッチの説明せつめいをしている間に、虎之助はふたたてしまっている。

「姉さん!ZZZ…って、そんなアメリカンコミックみたいな寝方ねかたせんといて下さいよ」

 小太郎は虎之助をすってみるが、まったく起きる様子ようすが無い。

ーーもうしゃない、このままれて行こうーー

 小太郎は起こすことをあきらめて、パジャマ姿の虎之助をかつぐとタクシーにんだ。



 そのころ鬼一きいちたちはヘラクレスひきいる国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかい精鋭せいえいと、はげしい戦いをりひろげていた。

 ヘラクレスの強さはすさまじく、アキレスが残していった戦闘部隊せんとうぶたい6名をしたがえて、DSP[デビルスペシャルポリス]のメンバーを圧倒あっとうしている。

「あのヘラクレスっていうマッチョマン、強すぎですよ」

 狂四郎は、早くも弱音よわねき出した。

「マッチョには、マッチョで対抗たいこうするしかないな」

 そう言うと岩法師は、袈裟けさいで上半身をむき出しになった。

 ヘラクレスにはおとるものの、かなりの筋肉質きんにくしつである。

法力ほうりき剛力男ごうりきめん』」

 岩法師の身体からだ法力ほうりきふくれ、ヘラクレスと同等どうとうのマッチョマンになった。

すげえや、岩法師さん」

 狂四郎は感心かんしんしている。

「いくぞ、ヘラクレス!」

バキッ!ボキッ!

 岩法師とヘラクレスのなぐいが始まった。

「やるな、ぼうさん」

「お前もな、ヘラクレス」

 敵対してはいるが、マッチョマン同志どうし、2人はおたがいをみとめあった。

「今のうちに、他のやつらを始末しまつするぞ」

了解りょうかいです」

 鬼一きいちと狂四郎は、残りの戦闘部隊せんとうぶたいんで行く。

 

 その時、現場げんばに新たな部隊ぶたいけつけた。

「みなさん、国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかい阿呆あほどもを始末しまつするのよ」

 グッピーちゃんひきいる処刑鬼隊しょけいおにたいである。

 阿久良王あくらおう温羅うら風鬼ふうき水鬼すいきが、なだれ込んで来たため、たちまち国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかい劣勢れっせいになってしまった。

 ヘラクレスは、敵側てきがわ加勢かせいが来たのを見ると

「これはマズいな。ぼうさんとなぐってる場合ばあいじゃない。悪いが終わらせてもらうぞ」

 と言うと、身体からだ全体に力をめ、エネルギーをめ込むと、一気に周囲しゅういに大量の闘気とうきはなった。

 ヘラクレスの闘気とうき威力いりょくすさまじく、てき味方みかたもパタパタとたおれ出していく。

 岩法師と狂四郎や風鬼ふうき水鬼すいきたおされ、気をうしなってしまった。

「クッ、なんて強烈きょうれつ闘気とうきだ」

 かろうじて立っている鬼一きいちも、意識いしき朦朧もうろうとしている。

「みんなぁ、何やってるんですか。てきたおすんですよ!」

 グッピーちゃんは、一人でおこっている。アンドロイドだからなのか、あまりダメージを受けていないようだ。

 処刑鬼隊しょけいおにたいは、なんとか阿久良王あくらおうが立っているのをのぞき、全滅状態ぜんめつじょうたいとなってしまっている。

「では、残った者を始末しまつするか」

 ヘラクレスは、余裕よゆう表情ひょうじょうで、ゆっくりと鬼一きいちに向かって来た。

「なんて事してくれんのよ、この阿呆あほマッチョ!」

 バキッ!

 グッピーちゃんが後から、ヘラクレスを頭部とうぶなぐりつける。

いてっ!なにすんだ、このあま

 ヘラクレスは、おもいっきりなぐり返す。

ドカッ!

 モロに、グッピーちゃんのボデイにヒットする。

おぼえておきなさいぃ、阿呆あほマッチョ〜ォ」

 グッピーちゃんはさけびながら、遠くへばされて行ってしまった。

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