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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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グッピーちゃんでござる

 大阪でのサミットを終えたゼウス一行いっこうは、難波なんばから電車に乗って関空かんくうまで行く道中どうちゅうでリンゼイ老師が殺されたとの情報じょうほうた。

 結局けっきょく、グリゴリオス局長は、ゼウスにメールで連絡れんらくしていたのである。

「ゼウス様、どうされますか?」

 同行どうこうしていた、戦闘部隊せんとうぶたいの隊長であるアキレスが、たずねた。

 アキレスは背が高く、筋肉質きんにくしつ屈強くっきょう身体からだをしており、6名の戦闘部隊せんとうぶたいれている。

「そうじゃな。ワシはギリシャに帰らねばならんので、お前は戦闘部隊せんとうぶたいと大阪に残ってリンゼイ老師を殺した者を始末しまつするのじゃ」

 ゼウスは面倒めんどうくさそうな顔をしながら指示しじを出す。

承知しょうちいたしました。ゼウス様」

 というわけで、アキレスは部下をれて、大阪に残る事となった。


 

左近さこん君がもどったって聞いたんだけど」

 大阪DSP[デビルスペシャルポリス]の宿舎しゅくしゃに、桜田刑事さくらだけいじがやって来た。

「それが……」

 言葉ことばを、にごす鬼一きいち

「このおねえさん、だれ?」

 桜田刑事の声を聞いて、左近が玄関げんかんまで出て来た。

「だれって、君こそ誰なの?」

「僕、左近。よろしくね」

ーーこの子が左近君?まさか。どう見ても小学生にしか見えないけどーー

 桜田刑事が、とまどっていると

「本当に、この子が左近なんだ」

 言いにくそうに、鬼一きいちが説明し始めた。

「京都の芹沢せりざわさんに治療ちりょうしてもらったら、こうなってしまったんだ」

 奥から岩法師いわほうしもやって来た。

拙僧せっそうも、初めはおどろいたんだが」

「そっ、そうなんだ。そう言われてみれば、面影おもかげがあるような、なんだか可愛かわいくなったわね。そうだ、狂四郎君きょうしろうくんたちは?」

「狂四郎は虎之助とらのすけ小太郎こたろうと3人で冥界めいかいに、うつ……」

 話している途中とちゅうで、鬼一きいちは岩法師に口をふさがれてしまった。

「あいつらは、3人で出かけている」

 狂四郎が冥界めいかいに落ちたと聞いたら、桜田刑事はショックを受けるだろうと思い、岩法師は適当てきとう誤魔化ごまかした。

「そうなの、残念ざんねんね」

「それで、このおねえさんはだれなの?」

「すまん左近、紹介しょうかいがまだだったな。この人は大阪府警おおさかふけいの刑事で桜田さんだ。われわれDSPの担当たんとうだから、おぼえておくんだぞ」

「わかった、岩法師のおじちゃん。こんにちは桜田刑事、僕は左近」

 と、元気よく挨拶あいさつをする。

「こんにちは左近君。もしかして、今までの記憶きおくも無いの?」

「そうなんだ、DSPのことは何もおぼえていない。昨日ある程度ていど説明せつめいしたが、現場げんば復帰ふっきするのは、とてもじゃないが無理だな」

 鬼一きいちは、こまった顔をしている。

「そうねえ」

 残念ざんねんがる桜田刑事。

拙僧せっそう鬼一殿きいちどので、武術ぶじゅつ稽古けいこをつけて行こうと話していたところだ」

「こんな小さな子に大丈夫だいじょうぶなの?」

「おねえさん、心配しなくても大丈夫だいじょうぶだよ。僕は日本一の剣士けんしになるんだ」

 左近は自信ありげである。

「そうなの、がんばってね」

「僕、がんばる」

 左近は明るく大きな声で返事をした。



 大阪鬼連合団体おおさかおにれんごうだんたいでは、定例ていれいカンファレンスがおこなわれていた。

「今日はひさしぶりに良いニュースがあります」

 議長ぎちょうは、いつも通り鬼塚おにずかである。

「どんなニュースですか?」

 中年の男が聞く。

われわれとDSPが休戦協定きゅうせんきょうていむすんでいる間に、DSPの小娘こむすめが『国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかい』の三神さんしんの一人であるブラフマーをってくれました」

「それは、たしかに良いニュースですが。なんかDSPに助けてもらっているみたいで、われらの存在そんざいうすくないですか?」

なさけないぞ。俺たちは鬼武者おにむしゃだろ!」

「このカス鬼!」

「死ねば良いのに」

「ハゲ!」

 いろんなヤジが、鬼塚にとんで来た。

「うるさいなぁ。なに言うてんのや!そんなん言うんやったら、お前らがのこりの『国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかい』のやつらをってこいや!」

 鬼塚がキレた。

「いや、実は昨日、ジョギング中に足をくじきまして」

「私はイボ悪化あっかして無理です」

「僕は水虫みずむしがあるので、絶対ぜったいにダメです」

「私はスマホ依存症いぞんしょうなので、そんな無駄むだな時間はありません」

 と、みんな、それぞれおどろくほど低レベルなわけを始めた。

「お前らは、ホンマに使えんなぁ。まあ、そんな事だろうと思って、日本テクロノジーコーポレーションで戦闘用せんとうようアンドロイドを開発かいはつしたんや。川島かわしま、連れて来たって」

 鬼塚に指示しじされ、川島が一人の女性を連れて来た。

 が高めでスタイルの良い、二十歳前後はたちぜんごの美しい女性である。

「みなさん。これが以前、京都からすけに来ていたアンドロイドのチャッピー君の技術ぎじゅつもとに、が日本テクロノジーコーポレーションが開発した『グッピーちゃん』です」

「私、グッピーちゃん。よろしくね」

 グッピーちゃんは、みんなに挨拶あいさつする。

「べっぴんさんですね。どのぐらい強いのですか?」

 中年の男性が質問しつもんした。

「グッピーちゃんの戦闘力せんとうりょくは、チャッピー君の約70%です」

 川島が答える。

「下がってますやん!」

「ご安心ください。戦闘力せんとうりょくが下がった分、再生能力さいせいのうりょくが80%上がっております」

全体的ぜんたいてきには、微妙びみょうなところですなぁ」

 カンファレンス参加者たちの反応はんのううすい。

大丈夫だいじょうぶですよぉ。私は無敵むてき超人ちょうじんですからぁ」

 自信ありげにグッピーちゃんがアピールするが、戦闘せんとうかんしては、みんなあまり期待きたいしていない様子ようすである。

「あのぉ、服を着ていないグッピーちゃんも見たいのですが」

 唐突とうとつに、若い男が質問しつもんして来た。

「なんで、そんなモン見せなアカンねん。この助平すけべいが」

 鬼塚は、ウザそうに答える。

「いえ。けっして助平すけべいな気持ちでは無く、綺麗きれいなグッピーちゃんを見ていると本能的ほんのうてきはだかが見たいなぁ、と思いまして」

「それを、世間せけんでは助平すけべいやって言うんや」

「いや、議長ぎちょう誤解ごかいされています。僕は純粋じゅんすいな気持ちで、グッピーちゃんのはだかを見て、一人の男として興奮こうふんしたいだけなんです」

助平すけべいそのままやないかい!!」

 鬼塚が切れた。

「では、下着姿したぎすがただけでも見せて下さい」

「ダメに決まってるやろ。しつこいぞ、このド助平すけべいが!」

「このド助平すけべいがぁ!」

 グッピーちゃんもキレれた。

「ほら、グッピーちゃんも助平すけべいって言ってるやろ」

 鬼塚はほこっている。

「まあ、議長ぎちょう助平すけべい議論ぎろんは、そのへんにしといて、今後の作戦を話し合いましょう」

 川島は、アホな会話を止めさせて会議かいぎを進めようとする。

「あっ、そうやった。今後の『国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかい』との戦い方やけど、グッピーちゃんがSNSを始めるので見て下さい。以上いじょう

「えっ、それだけですか?」

 おどろいた川島がたずねる。

「そうやで。グッピーちゃんのSNSをんな、チェックするんや」

「そんなんで良いんですか?」

「良いねんで」

「みんな、私のSNSを見て応援おうえんしてねぇ」

 グッピーちゃんは笑顔えがおである。

応援おうえんは、しますけど。それだけで良いんですか?」

 川島は不安になって来た。

「良いねん。お前らは、なんにも心配せんで良いねんで」

 鬼塚の言葉ことばで、川島は余計よけいに不安になって来た。

 という事で、大阪鬼連合団体おおさかおにれんごうだんたいからの指示しじは、グッピーちゃんのSNSをチェックする事になった。

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