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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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決着でござる

 前回から引き続いて、岩法師いわほうし狂四郎きょうしろうは、ライアンとマーゴットを相手に戦っていたのだが

「岩法師先生。こいつら何かおかしくないですか?」

 ライアンたちの戦い方に、狂四郎は疑問ぎもんを感じた。

たしかに。まったく殺気さっきが感じられん」

 岩法師も同じように、違和感いわかんを持っていたようである。

 どうやら、ライアンとマーゴットは、本気で戦ってはいない。

ーーそろそろ、手をいている事がバレたかな?だが、リンゼイ老師ろうし個人的こじんてき動機どうきで、俺たちまで本気で殺し合う義理ぎりは無いからなーー

 ライアンとマーゴットは、リンゼイ老師への対面上たいめんじょう、戦っているフリをしていたのであった。



「死ねジジイ!」

 毒入どくいりクロワッサンをって、チアガール戦士せんしピチョリンはブラフマーに向かって行く。

「お前ごときに創造主かみである、ワシにきず1つける事は出来んわ」

「ごたくは良いから、このクロワッサンを食べるでござる」

 ピチョリンは、ブラフマーにクロワッサンを食べさせようとする。

「どうせ、また毒入どくいりじゃろ。くらえ『悪鬼滅殺波あっきめっさつは』」

 ブラフマーは、口から多量の浄化じょうかエネルギーを出した。

「ビチョー」

 『悪鬼滅殺波あっきめっさつは』を、まともに受けたピチョリンは、んで道路沿どうろぞいの喫茶店きっさてんんでいく。

「おや、姉さん。今日は良く会いますね」

 喫茶店きっさてんでは、小太郎が相変あいかわらずコーヒーを飲みながら、くつろいでいる。

「あのジジイ。きざんで、南港なんこうの魚のえさのしてやるでござる」

 チアガール戦士ピチョリンは立ち上がると、すぐに走りって行った。

「えらい、ぶっそうでんなぁ。おばちゃんコーヒーもう一杯いっぱいおくれ」

 喫茶店きっさてんのウエイトレスが、まだ20代後半なのに、おばちゃんわばりされてしまい不機嫌ふきげんそうにコーヒーのおかわりをって来た。

「ここのコーヒーは、美味うまいでんなぁ。このゆで玉子は有馬ありま温泉おんせんで作ったんでっか?」

「ウチのなべで作ったのよ」

ウエイトレスは、うざそうに答える。

「おばちゃん、良く見と可愛かわいい顔してんなぁ。今度、俺とデートせえへんか?綺麗きれい夜景やけいが見える心霊しんれいスポット知ってんねんけど」

「そんな、不気味ぶきみなとこ行かないわよ!」

 小太郎がウエイトレスを口説くどいているころ、チアガール戦士ピチョリンはブラフマーと死闘しとうを続けていた。

「もう、いい加減かげんあきらめろ。創造主かみであるワシには勝てん」

 ブラフマーは、またしても、両手から神気しんきはなつ。

ブシャー!

「ビチョー」

 またしても、ピチョリンは喫茶店きっさてんまでばされた。

「おばちゃん、一緒いっしょ通天閣つうてんかくのぼれへんか?うわさではビリケンさんがるらしいで」

 喫茶店きっさてんでは、まだ、しつこく小太郎がウエイトレスを口説くどいている。

「小太郎!こっちに来るでござる」

 ピチョリンは小太郎のかみつかむと、小瓶こびんに入っているどくかみにブッかけた。

「うわっ!何するんや姉さん」

 無理むりやり店の外に引っり出して、ブラフマー目掛めがけて小太郎を高速こうそくで投げつけた。

毒入どくいり小太郎を、らうでござる!」

ガチーン!!

 ブラフマーの顔面がんめんに、小太郎が頭から直撃ちょくげきした。

「ぐわっ。なんじゃこりゃ!」

 ブラフマーは、小太郎のかみにかけていたどくが口に入ってしまいくるしみ出した。

「これもうでござる」

 ピチョリンは、無理むりやり毒入どくいりクロワッサンをブラフマーの口にむ。

「やめろ小娘こむすめっ」

秘技ひぎ三枚さんまいおろし!」

 ズバッ!ズバッ!!

 さらに、ブラフマーはピチョリンの手刀しょとうで三枚におろされた。が、しかし、3つに別れたブラフマーは、それぞれが再生さいせいして3体のブラフマーへと変化へんかして、復活ふっかつしてしまった。

おろか者が、こんなわざはワシにはかぬわ」

 3人のブラフマーは、同時に攻撃こうげき仕掛しかけて来る。

 攻撃こうげきけながら、チアガール戦士せんしピチョリンは

「ジジイが3人にえたなら、拙者せっしゃ分身ぶんしんじゅつで、3人になるでござる」

 と、呪文じゅもんとなえ始める。

 すると、虎之助は3人へと分身ぶんしんした。

 しかし、なぜか、えた分の2人はプレアデス星人であった。

「ちよっと待て!なんで分身ぶんしんじゅつでプレアデス星人が出て来るんじゃ!普通ふつうは、お前が3人になるんだろ!」

 おどろいたブラフマーは、おこって抗議こうぎする。

いぼれの戯言たわごとは、聞かぬでござる。問答無用もんどうむよう。プレアデス星人、あのジジイを殺すでござる」

 2人のプレアデス星人が、殺人ビームをブラフマーにけてはなつ。

「クフッ」

 3体のブラフマーのうち、2体が殺人ビームの直撃ちょくげきを受けて消えり、一体のみとなった。

「これでのこるは、おぬしだけでござる。プレアデス星人、とどめをすでござる」

「おのれ小娘こむすめが」

 ブラフマーはすさまじい神気しんきはなったが、2体のプレアデス星人も殺人ビームをはなつ。

 双方そうほう互角ごかく威力いりょくである。ブラフマーとプレアデス星人の中間地点ちゅうかんちてんでおたがいのエネルギーがぶつかり合い、パワーが相殺そうさいされており、どちらも攻撃こうげきを続けたままで硬直状態こうちょくじょうたいとなっている。

ーー今でござるーー

火遁かとんじゅつ

 そのスキをいて、ピチョリンは右手からほのおを出して、ブラフマーを攻撃こうげきする。

 プレアデス星人に集中しゅうちゅうして、無防備むぼうびになっていたブラフマーはいきおいよく燃え出した。

「ぐわっ。まさか、このワシがこんな小娘こむすめに」

 ほのおが全身にまわり、くるしむブラフマー。断末魔だんまつまともに、ついにブラフマーはきた。

「やっと、ジジイをブッころせたでござる」

 ピチョリンはプレアデス星人のそばに行くと

「ご協力きょうりょくありがとうでござる。おれいに、これをあげるでござる」

 と、2人のプレアデス星人に、かきピーを2ふくろわたした。

「ピッピッピッピッ、ピーナッツ」

 と、歌いながらプレアデス星人は、宇宙にって行った。

「サヨナラでござる。クフッ」

 プレアデス星人に手をっていたピチョリンは、はげしい戦いの疲労ひろうがあふれ出て来て、その場でパタリとたおんでしまった。



「ちよっと、ライアン。リンゼイ老師がられたわよ」

 岩法師と戦いながら、マーゴットがライアンにつたえる。

「マジかよ!まさかリンゼイ老師が負けるとはな。そうなると、ここにる理由は無い。マーゴット、退散たいさんするぞ」

 ライアンはマーゴットをれて、急いでって行く。

「何じゃ、あいつらは?」

 不思議ふしぎそうに、岩法師はつぶやいている。

「どうやら、やつらのボスがAカップむすめたおされたようですね」

「なるほど、そういう事か」

 


 ピチョリンがたおれている近くの地中ちちゅうから、2センチほどの小さなブラフマーがい出てきた。 

「ワシは、まだ死んでおらん。今はエネルギー不足ぶそくでこんなにちじんでしまったが、復活ふっかつしてかならずや、あの小娘こむすめを殺してやる」

 なんと、ブラフマーは生きていた。元の大きさに戻れば虎之助に復讐ふくしゅうするつもりである。

「ううっ、なんでか知らんが頭が痛い、なにがこったのか記憶きおくがない」

 失神しっしんしていた小太郎が意識いしきを取りもどすと、目の前に小さな生き物がいた、ブラフマーである。

「なんやこれは、えるんかな?」

 小太郎は、その生き物をつまんで口に入れると、ポリポリと食べてしまった。

意外いがいに歯ごたえがあって美味おいしいな。ったら、なぜか元気が出て来たぞ」

 ブラフマーは小太郎に消化しょうか吸収きゅうしゅうされ、この世から完全に消滅しょうめつしてしまった。



「なんか、姉さんが軽く感じるわ」

 小太郎は、たおれていたピチョリンを背負せおって、岩法師と狂四郎と一緒いっしょ宿舎しゅくしゃへ帰るところである。

「そいつは、もともと軽いだろ」

 狂四郎はめている。

「いや、ちゃうねん。何かこうパワーがいた気がするねん」

「むにゃむにゃ、拙者せっしゃは42キロでござる」

 ピチョリンの寝言ねごとが聞こえた。

「やっぱり、軽いじゃねえか」

「それが、3キロぐらいに感じるんや」

「そんなわけねえだろ」

「お前ら、虎之助はてきのボスと戦って怪我けがもしてるんだから、もう少ししずかにはこんでやれ」

 虎之助の奮闘ふんとうでブラフマーをたおせたことを、岩法師は理解りかいしている。

ーー創造主かみであるブラフマーを倒したのだ、よほど疲れたであろうーー

 DSPの4人は、なんとか国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかいとの死闘しとうに勝利して、宿舎しゅくしゃへ帰って行くのであった。

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