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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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リンゼイ老師のリベンジでござる 

 虎之助とらのすけたちは、岩法師いわほうしにステーキをおごってもらい、宿舎しゅくしゃに帰る途中とちゅうであった。

「ステーキ美味うまかったな。今度、桜田刑事さくらだけいじさそって行こう」

 狂四郎きょうしろう上機嫌じょうきげんである。

「エエなぁ、彼女がやつは」

 小太郎こたろうが、うらやましがっている。

「お前も彼女を作れば良いじゃないか。たとえばこんなのとか」

 狂四郎は虎之助を指さした。

「姉さんは、俺の師匠ししようみたいなもんやからなぁ」

 最近、小太郎は毎日のように、虎之助から剣と忍術にんじゅつ稽古けいこをつけてもらっている。

「小太郎は拙者せっしゃきたえているので、かなりうでが上がったでござる」

「もともと、俺は天才剣士てんさいけんしやしな。

 その時、岩法師はすような殺気さっきを感じた。

 ーーなんだ、この殺気はーー

「みんな、気を付けろ!てきがすぐ近くに居るぞ!」

 岩法師がさけぶ。



「おい、殺気を出すなって言ったろ」

「しょうがねえじゃないか、出るもんは出るんだよ」

 ライアンとアンドロポプの会話が聞こえる。


「あいつらは『国際電器協会こくさいでんきほうあんきょうかい』でござる」

 虎之助もてきに気がついた。

大勢おおぜいいるな」

 リンゼイ老師ろうし一派いっぱくわえ、ライアンとマーゴットにアンドロポプと『国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかい』のメンバーがせいぞろいしている。

 どうやら虎之助たちは、待ちせされていたらしい。

 岩法師と狂四郎は、警戒けいかいして武器をかまえた。


ねえちゃん、手握てぇにぎってもエエ?」

 いつの間にか、マーゴットのそばまで来ていた小太郎が、手をにぎろうとしている。

「ダメに決まってるでしょ!アンタてきなんだから、あっちに行きなさいよ!」

いやや、俺はねえちゃんみたいな彼女がしいんや!」

 小太郎がダダをこね出した。

「おぬしら、お似合にあいでござるよ」

 なぜか、虎之助もこちらに来ている。

 虎之助に気付きづいたアンドロポプが、近づいて来て

小娘こむすめ、この前のりを返すぜ」

 と、いきなり、虎之助になぐりかかって来た。

唐沢家忍術からさわけにんじゅつ秘技ひぎ三枚さんまいおろし』」

ズバ、ズバッ!

 だが虎之助の攻撃こうげきの方が一瞬いっしゅん早く、アンドロポプは綺麗きれいに三枚におろされ、パタパタッ!と3つに別れてたおされてしまった。

「アンドロポプめ、このはヤバいって注意してやったのに、バカなやつだな」

 ライアンは、あきれながらも

「マーゴット、死にたく無ければ、そのにかまうな。俺らの相手は向こうのぼうさんとさむらいだ」

 と、マーゴットと2人で、岩法師と狂四郎に向かって行く。

「岩法師さん、2人こっちに来ますよ」

 狂四郎はかたなかまえながら言った。

「ぬかるなよ狂四郎」

 薙刀なぎなたかまえた岩法師も、臨戦態勢りんせんたいせいにはいっている。


 リンゼイ老師ろうしは、ずっと虎之助をにらんでいた。

ーー他の者は、どうでも良いが、あの小娘こむすめだけは絶対ぜったいに殺すーー

「アーナブ、マニッシュ。あの小娘こむすめるのじゃ!」

 リンゼイ老師ろうしけ声とともにアーナブとマニッシュが、虎之助に向う。

 各自かくじが相手を見つけて戦い始めると、小太郎とリンゼイ老師ろうしが残るかたちとなった。

「あの2人は姉さんにまかせて、俺はあのジジイをろう」

 意外いがいにも小太郎は、余裕よゆう表情ひょうじょうでリンゼイ老師ろうしに向かって行く。

「ジジイ、覚悟かくごしろ!」

ーー姉さんから教わった必殺技ひっさつわざ地獄斬じごくぎり』をためしたるーー

地獄斬じごくぎり』とは、頭部とうぶ腹部ふくぶ股間こかんを、一秒間に4回づつって地獄じごくに落とすという、おそろしいわざである。

しかし、向かって来る小太郎に対して、リンゼイ老師ろうし平然へいぜんとしている。

「死ねや、ジジイ!」

 小太郎の『地獄斬じごくぎり』がリンゼイ老師ろうし炸裂さくれつする。

 が、手応てごたえが無い。

「うっとおしいぞ、ザコ小僧こぞう

ドスッ!

 いつの間にか、小太郎の背後はいごまわんでいたリンゼイ老師ろうしが、掌底しょうていをはなった。

「るへ〜」

 小太郎は、ばされて、道路沿どうろぞいの喫茶店きっさてんんでいく。

「おぬしようなザコが、ワシにいどむなど30万年ほど早いわ」

 小太郎を軽くたおし、何事なにごとも無かったようにリンゼイ老師ろうしは、虎之助に向かって、ゆっくりと歩いて行く。

 アーナブとマニッシュにリンゼイ老師がくわわり、虎之助が3人を相手にする事になってしまった。

「アーナブ、マニッシュ。このむすめ確実かくじつに殺すのじゃ」

承知しょうちしました」

 アーナブが呪文じゅもんとなえだすと、地面がり上がり、地中から1つ目の大男があられた。

「インドの人食ひとく怪物かいぶつラークシャサだ。あの小娘こむすめらえ」

 アーナブに命令されたラークシャサが、虎之助に向かって来る。

「そっちがインドの怪物かいぶつなら、こっちは日本の妖怪ようかいを出すでござる」

 虎之助は、妖怪ようかい召喚しょうかんする気である。

 まさに、インドの怪物かいぶつと日本の妖怪ようかいの、歴史的れきしてきな対決がおこなわれようとしていた。

 リンゼイ老師はラークシャサを見て、すでに勝利を確信かくしんしている。

ーーラークシャサは、羅刹らせつばれる最強の人食ひとく怪物かいぶつじゃ。日本の妖怪ようかいなど相手にならんじゃろうーー

 リンゼイ老師はおだやかな表情で、戦いを見守っている。

 虎之助が呪文じゅもんとなえた。

 すると、強い光ととも金髪きんぱつの美女があられた。

「プレアデス星人、あの怪物かいぶつを殺すでござる」

 日本の妖怪ようかいが出て来ると思い込んでいたら、まさかの金髪美女きんぱつびじょであるプレアデス星人の出現しゅつげんにアーナブたちは、たじろいだ。

「ちょ、ちょっと待て!これの、どこが日本の妖怪ようかいだ?プレアデス星人って、名前からして宇宙人うちゅうじんじゃないか!」

 アーナブは抗議こうぎするが、プレアデス星人は容赦ようしゃなくラークシャサに向けて殺人ビームをはなつ。

「クフッ」

 ビームが直撃ちょくげきしたラークシャサは、跡形あとかたもなく消滅しょうめつしてしまった。

「まさか、あのラークシャサが一瞬いっしゅんで!」

 さすがのリンゼイ老師ろうしおどろきをかくせない。

「次は、あの3人を殺すでござる」

 アーナブたちを指さして、虎之助がプレアデス星人に指示しじあたえる。

「宇宙人を出すなんて非常識ひじょうしきじゃぞ!」

 リンゼイ老師も抗議こうぎするが、プレアデス星人は非情ひじょうにも、3人に向けて殺人ビームをはなった。

「おのれ、リンゼイバリア」 

 リンゼイ老師がバリアをった。が、殺人ビームのいきおいを止めることは出来できず、3人とも、まともにビームをらってしまった。

「クフッ」

 アーナブとマニッシュは消滅しょうめつし、リンゼイ老師も重症じゅうしょうってしまった。

「プレアデス星人、とどめをすでござる」

 だが、なぜか指示しじはんして、プレアデス星人は虎之助の方に歩いて来る。

「地球の人よ、私はもうプレアデス星に帰らねばなりません」

 と、別れをげた。

「そうなのでござるか?」

「そうなのです」

「では、おれいにコレをあげるでござる」

 虎之助が、一握ひとにぎりの落花生らっかせいからをプレアデス星人に渡すと 

「ピッピッピッピッ、ピーナッツ」

 と、歌いながらプレアデス星人は飛んで行ってしまった。


「あの、興味きょうみ本意ほんいで聞くんじゃが。プレアデス星では落花生らっかせいから貴重きちょうなのか?」

 ボロボロにりながらも、リンゼイ老師は落花生らっかせいからの事が気になるようだ。

「ただの、ゴミでござる」

 平然へいぜんと虎之助は答えた。

「なんと非情ひじょうな。テメエの血は、いったい何色じゃ!」

 リンゼイ老師はさけびながら、ブラフマーへと変化へんかしていく。

「このド外道げどうが。絶対ぜったいゆるせぬ!」

 ブラフマーは激怒げきどしている。

 しかし、虎之助は、チアガール戦士ピチョリンに変身して

ゆるせぬなら、どうするんでござるか?」

 と、言いながら、アメリカンフットボールのチアリーダーみのチアダンスをおどっている。

「死ね、この悪魔あくま!」

 リンゼイ老師は両手から、チアガール戦士ピチョリンに向けて、膨大ぼうだい神気しんきはなった。

シュバー!

「ピチョー」

 チアガール戦士ピチョリンは、道路沿どうろぞいの喫茶店きっさてんまでばされた。

「姉さん、大丈夫だいじょうぶでっか?」

 喫茶店きっさてんの店内では、小太郎がクロワッサンを食べながらコーヒーを飲んで、くつろいでいた。

「俺はちがいがかる男やから、このコーヒーの美味うまさが良くわかりますわ。姉さんも、どうでっか?」

 チアガール戦士ピチョリンは、立ち上がると小太郎からクロワッサンを1つ取り、ポケットから出した小瓶こびんから液体えきたいをクロワッサンにかけながら

「この毒入どくいりクロワッサンをわせて、あのジジイをブッ殺すでござる」

 と、不敵ふてきみをかべるのであった。

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