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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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デビルスペシャルポリスVS阿倍仲麻呂 前編

 DSP[デビルスペシャルポリス]の宿舎しゅくしゃでは、いつも通りみんなで朝食をっていた。

「今日のスクランブルエッグは、美味うまいでんなぁ」

 小太郎こたろう上機嫌じょうきげんで、トーストとスクランブルエッグを食べている。

「小太郎は拙者せっしゃ毒殺どくさつしようとしたので、トーストを半分もらうでござる」 

 虎之助とらのすけが小太郎のトーストを取ろうとした。

「ダメですよねえさん。俺は姉さんになぐられて、半日も意識不明いしきふめいやったんですよ。姉さんこそ、そのスクランブルエッグを半分くださいよ」

絶対ぜったいいやでござる。拙者せっしゃの食べ物を取ったやつは、ぶっ殺して地獄じごくに落とすでござる」

 もめている虎之助と小太郎のとなりでは、安倍あべ鬼一きいちが何やら深刻しんこくな顔で朝食を食べていた。

「しかし、あの老人が創造主かみだったとは。われらも今後の対応たいおうを、検討けんとうなおさねばなりませんな」

 ブラフマーと対峙たいじした時、鬼一きいちは思わず足がすくんでしまっていたのである。

「しかし、創造主かみを相手に、どう戦えば良いのだ」

 安倍あべ鬼一きいちと同じくブラフマー相手に、弱気になっているようだ。

「虎之助の使ったどくが、少しはいていたようですが」

ーーたしかに、どくられた後、ブラフマーは気分が悪くなったと言って退散たいさんしていったな。とりあえず、どく成分せいぶんを聞いておこうかーー

「虎之助。あのアイスコーヒーに入っていたどくは、どこから手に入れたんだ?」

「あれは拙者せっしゃが、鬼神きしんをブッ殺す用に作っておいた物で、へびどくもと調合ちょうごうしたのでござる」

鬼神用きしんようどくなら、相当そうとう強力などくだな。それにしても、お前はよく創造主かみたいして、ひるまず攻撃こうげきできるな」

 2人は、おくする事なく創造主かみに立ち向かって行った虎之助を、目の前で見ていた。

「おぬしらは、ダーウィンの進化論しんかろんを知らないのでござるか?この世に創造主かみなどないでござるよ。人間はさるから進化したのであって、創造主かみつくられたのでは無いのでござる。あのジジイは、少し強いだけの、ただのジジイでござる」

 安倍あべ鬼一きいちは、ダーウィンの進化論しんかろんぐらいはわれらも、わかっている。今さら言われるまでも無い。

 とは、思わなかった。

 ブラフマーや鬼に転生者てんせいしゃと、今まで自分たちのまわりには、非科学的ひかがく現象げんしょうが続いているためか、すっかりブラフマーに気おい負けしていたのは事実じじつである。

 人類じんるいの進化の過程かていがどうであれ、てきたおさねばならないのだ。 

 安倍あべ鬼一きいち苦笑くしょうしながらも、ブラフマーに対する勇気がいて来るのを実感じっかんしていた。


ねえさん、ダーウィンの進化論しんかろんって何でんねん?」

 となりで聞いていた小太郎は、ダーウィンを知らないようだ。

「ダーウィンの進化論しんかろんっていうのは」

 虎之助が説明せつめいしかけると、狂四郎きょうしろうがさえぎった。

「そのぐらい、俺でも知ってるぜ。進化論しんかろんっていうのは、ハゲ親父おやじ息子むすこ禿げる確率かくりつが高いってやつだろ」

「ちょっとちがうでござる。それは、どちらかというと、メンデルの法則ほうそくに近いでござるな」

「へえ、姉さんは、なんでも知ってまんなぁ」

 感心かんしんする小太郎。

拙者せっしゃ知識ちしきの多さは、宇宙人うちゅうじんオーソンなみでござる」

 虎之助は得意とくいげに自慢じまんした。

 しかし

ーーだれそれ?ーー

 と、宿舎しゅくしゃにいる全員が思った。

「すんまへん。その人、知りまへんので、ナメクジでたとえてもらっても良いですか?」

 小太郎が、たとえを変えてもらうようにたのんだ。

「ええっと、それじゃ。拙者せっしゃ知識ちしきはナメクジなみでござる」

「ブッ!」

 狂四郎が、飲んでいたコーヒーをき出した。

「あいかわらず、狂四郎は食事マナーがなって無いでござるね」

「いや、お前らの会話がアホすぎるからだろ」

「おのれのような世界的な阿呆あほに、アホと言われる筋合すじあいは無いわ!」

 小太郎がキレた。

「なんだと、このアホさむらいが!」

 狂四郎もキレて、2人はみ合いの、喧嘩けんかを始めた。

「お前ら、めんか」

 岩法師いわほうしが止めに入る。

「2人とも、まだ若いでござるな。気が短すぎるでござるよ」

 意外いがいと虎之助は、いてお茶を飲んでいる。

パコッ!!

 小太郎をねらった狂四郎のりが、虎之助の顔面がんめんにヒットした。

「痛いでござる」

ブチンッ!

 ブチ切れた虎之助は、メイド少女戦士しょうじょせんしマリリン変身へんしんして

貴様きさまら、全員この毒入どくいりアイスコーヒーで、毒殺どくさつするでござる!」

 と、ものすごいきおいでいかくるった。

「まずいぞ!」

 安倍あべ鬼一きいちが、あわててメイド少女戦士しょうじょせんしマリリンをおさえるが

はなすでござる!」

 メイド少女戦士しょうじょせんしマリリンのいかりはおさまらない。

 結局けっきょく、小太郎と狂四郎も喧嘩けんかめて、メイド少女戦士しょうじょせんしマリリンを止めに入った。

 なんとか、全員でマリリンをおさえていると、はと式神しきがみが戻って来て安倍あべに何やら報告ほうこくし始めた。

 はとからの報告ほうこくを聞き終わった安倍あべ

「みんな、よく聞け!左近さこん居所いどころがわかった。今から向かうぞ!」

 と、怒鳴どなるようにさけんだ。



 高級こうきゅうホテルに部屋をとり、リンゼイ老師一行ろうしいっこう休息きゅうそくしていた。

「まったく、あのバカむすめには、えらい目にあったわい」

 メイド少女戦士マリリンにどくを飲まされたおかげで、リンゼイ老子はおなかをくだし下痢げりでトイレにもっている。


 アーナブとマニッシュは、まだ完全にどくけておらず、ベッドで横になって休んでいた。

 やっとトイレから出たリンゼイ老師は、あたたかいお茶を飲みながら

たしかに、ラディッシュとナジャでは、あのバカむすめには勝てんな。じゃが、アーナブとマニッシュなら、そう簡単かんたんにはいかんぞ。前回は油断ゆだんしたが、次はかならず殺してやる」

 と、みをかべた。が、その瞬間しゅんかん

「はうっ!」

 うめき声をあげながら、トイレにんだ。まだ、下痢げりおさまっていなかったのである。



 DSPの一行いっこうは、留守番るすばん岩法師いわほうしと狂四郎を残して、左近があらわれたという現場げんばに向かっていた。

はと情報じょうほうによれば、このあたりなんだが」

安倍あべさん。この先には、ただならぬ妖気ようきが立ち込めています」

 鬼一きいちは、このたぐい気配けはいには敏感びんかんである。

 しばらく進むと、前方が黒くやみつつまれている。

やみ結界けっかいっているな。われらが来ることが、わかっていたか」

「そのようですね。どうします、うかつに進むと危険きけんですよ」

 安倍あべ鬼一きいち思案しあんしていると、メイド少女戦士しょうじょせんしマリリンが小太郎にぬのを渡して

「これで目隠めかくしをするでござる」

 と、不思議ふしぎ指示しじを出している。

「どうして、小太郎こたろう目隠めかくしさせるんだ?」

 気になって、鬼一きいちは聞いてみた。

目隠めかくしすると、結界けっかいの中でも、幻覚げんかくまどわされずに進めるでござる」

「さすがはねえさん。目隠めかくしすると、全然ぜんぜんこわくないですわ」

 小太郎は、なぜかよろこんでいる。

「では拙者せっしゃを、おんぶして突撃とつげきするでござる」

「はな、行きまっせ」

 目隠めかくしされた小太郎は、メイド少女戦士しょうじょせんしマリリンを背負せおい、結界けっかいに向かってんで行った。

「あれ、大丈夫だいじょうぶなんですか?」

 心配になった鬼一きいちは、安倍にたずねる。

「いや、全然ぜんぜんダメだろ」

 あきれた顔で安倍は答えた。 



 一方いっぽうそのころ霊気れいきたちはパチンコ店で情報収集じょうほうしゅうしゅうをしていた。

「どうや?なんか良い情報じょうほうはあったん?」

 霊気れいきが、となりの台でパチンコを打っている三吉鬼さんきちおにたずねた。

難波なんばに安い酒屋があるそうです」

隠形鬼おんぎょうき、あんたは?」

 三吉鬼さんきちおにとなりで、パチンコを打っている隠形鬼おんぎょうきにも聞いてみる。

「どうやら、港区みなとくにあるパチンコ屋が穴場あなばだそうです」

「よっしゃ。ほんだら、今から港区に移動いどうや」

 という具合ぐあいに、川島かわしま予想よそうどおり、霊気れいきひきいる処刑鬼隊しょけいおにたい別働隊べつどうたいは、パチンコ屋と居酒屋いざかやに入りびたっていたのであった。

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