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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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太陽系暗黒大魔王の復活でござる

「あれは、いったい何だ?」

 奈良なら飛鳥あすか修行中しゅぎょうちゅう左近さこんは、奇妙きみょうな建物を見つけた。

 古代中国こだいちゅうごくにあったような、古めかしい一軒家いっけんやである。

 奈良県警ならけんけいに戻り、DSP[デビルスペシャルポリス]の責任者せきにんしゃである大伴おおとも警部けいぶに話すと、その建物には決して近寄ちかよってはいけない、と忠告ちゅうこくされた。

 もともと、その建物は常人じょうにんには見えない物で、陰陽師おんみょうじ修行者しゅぎょうしゃだけに、ごくまれに見えることがあると言うのである。

常人じょうにんには見えないとは、奇妙きみような建物ですね?」

 気になった左近はたずねた。

「あくまでうわさだが、奈良時代ならじだい阿部仲麻呂あべのなかまろという高官こうかんが中国へ陰陽師おんみょうじ秘伝書ひでんしょを取りに行ったのだが、自身は陰謀いんぼうまれて日本に帰ることが出来なくなり、他の者に秘伝書ひでんしょたくして、日本に持ち帰らせたそうだ」

 なにやら話がむずかしくなって来たが、左近は興味きょうみぶかく聞いている。

「その阿部仲麻呂あべのなかまろの息子が、安倍晴明あべのせいめい輩出はいしゅつした安倍一族あべいちぞくである」

ーー安倍一族あべいちぞくというと、安倍顧問あべこもん家系かけいだなーー

「あの建物は、中国で阿部仲麻呂あべのなかまろんでいた屋敷やしきである」

「なんですと?」

阿部仲麻呂あべのなかまろは日本に陰陽師おんみょうじを持ちんだ功労者こうろうしゃであるが、死後は鬼になったと言われている」

「鬼にですか。では、まだ生きており、屋敷やしきごと日本に帰って来ていると?」

「そう言いつたえられている。鬼の家という事なので、左近君もけっして近寄ちかよらないようにしてくれよ」



「チャッピーが死んで無かったとは、えらい事になりましたなぁ、ねえさん」

 DSPの宿舎しゅくしゃでは、転生者てんせいしゃたちが、くつろいでいる。

「そんな事より、拙者せっしゃのジャンバーがやぶれてしまったので、また買わないといけないでござる」

「姉さんの服は、よくげたりやぶけたりしまんなぁ」

 狂四郎きょうしろうはコーヒーを飲みなが、虎之助とらのすけ小太郎こたろうの会話を聞いている。

拙者せっしゃは、お色気いろけキャラだから仕方しかたないでござる」

「ブッ!」

 狂四郎が飲んでいたコーヒーをき出した。

行儀ぎょうぎが悪いでござるね、狂四郎は」

「いや、お前は絶対ぜったいに、お色気いろけキャラじゃ無いだろう!」

「そんな事は無いでござるよ。拙者せっしゃちまたでは、リアル峰不二子みねふじこと呼ばれているでござる。小太郎も、そう思うでござろう?」

 小太郎はこまった顔をしてる。

「いや、ちょっと、その峰不二子みねふじこという人を知りまへんので、すんまへんがチンパンジーにえて説明してもらえまへんか」

「ええっと、じゃ、拙者せっしゃちまたでは、リアルチンパンジーと呼ばれているでござる」

「なるほど分かりました。姉さんの色気いろけはチンパンジーなみという事ですね?」

「そうでござる」

「ブッ!」

 またしても狂四郎は、飲んでいたコーヒーをき出した。

「またでござるか、狂四郎は、お行儀ぎょうぎが悪いでござる」

「お前らがアホぎるからだろ!」

「本物の阿呆あほのおぬしに、アホと呼ばれる筋合すじあいは無いでござる!」

 虎之助がキレた。

「なんだと!このAカップむすめ!」

 狂四郎もキレている。

「2人とも、いて」

 小太郎は、オロオロしながら2人をめようとした。

「なんのさわぎだ」

 さわぎを聞いて、岩法師いわほうしが部屋から出て来た。

「それが」

 小太郎に、いきさつを説明されて岩法師が、虎之助と狂四郎を見てみると、まだ、おたがにらみ合っている。

仲間同士なかまどうし喧嘩けんかしてないで、不死身ふじみのチャッピー対策たいさくを考えろ」

 2人は、岩法師に怒鳴どなられてしまった。

「アイツは、雷遁らいとんじゅつ電撃でんげきでも、生き返ったでござる」

 虎之助も、不思議ふしぎがっている。

「俺の仙道せんどう通用つうようするかな?」

むずかしいだろうな」

拙者せっしゃは、おなかいたでござる」

 みんなで考えていると、虎之助が空腹くうふくうったえ出した。

「まあ、たしかに、はらってはいくさ出来できんと言うし。今日は特別とくべつ拙僧せっそう美味おいしいうなぎ屋に連れて行ってやろう」

「やったー」

 みんな大喜おおよろこびで、岩法師にうなぎおごってもらう事になった。



 ビジネスがい高層こうそうビル最上階さいじょうかいでは『大阪鬼連合団体おおさかおにれんごうだんたい』の定例会議ていれいかいぎが行われていた。

 議長ぎちょう鬼塚おにずかである。

 今回は、チャッピーも参加さんかしている。

「では、みなさん、定例報告ていれいほうこくおこないます。牛鬼ぎゅうき黒瀬くろせが京都で修行中しゅぎょうちゅうということで、京都の鬼神きしんから送られて来たアンドロイド鬼のチャッピー君ですが、さっそく『国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかい』のエージュントとDSPを相手に一人でり合って来ました」

「一人で、そんなに多勢おおぜいり合うとは、たいしたモンですなぁ。それで、何人殺したんです?」

 古株ふるかぶの男が質問しつもんした。

「『国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかい』のエージュントには逃げられ、DSPの小娘こむすめからは半殺しの目に合いました」

微妙びみょう成績せいせきですなぁ」

「お安心ください。チャッピー君は半殺はんごろしにされると、さら戦闘力せんとうりょくが上がって復活ふっかつするという、サイア人のようなシステムがいてますので」

「チャッピーそんなシステムいて無いよ」

「本人が、いて無いって言ってますよ」

 若い男にまれた。

 鬼塚はチャッピーと、小声こごえで3分ほど確認かくにんし合うと

「そんなの、いて無いそうです」

 と、訂正ていせいした。

「ついて無いんかい!!」

 一斉いっせい野次やじが飛んで来る。

嘘付うそつき!」

「帰れアホ鬼!」

「うるさいなあ、お前らは。いてたらゆめがあって良いなぁ、って思ったんや」

「思っただけで、会議かいぎで言いきったらダメですよ!小学生じゃあるまいし」

 鬼塚は、川島かわしまからも注意されてしまった。

「まあ、それはそれで良いとして。現在げんざい四天王してんのうが1ついているのは、みなさんご存知ぞんじだと思うのですが」

「また、四天王問題ですか?」

「もう、四天王は解散かいさんしたのかと思ってましたよ」

過去かこ遺物いぶつですな」

平成時代へいせいじだいなつかしい思い出ですね」

「あの人は今、って感じかな」

「四天王のメンバーは今頃いまごろ、何してるんでしょうね」

「お前ら、ぼけたこと言いやがって。俺と川島と牛鬼ぎゅうき現役げんえきバリバリの四天王や!しかも、そのうち2人は目の前にるやろ!」

「そうでしたっけ?」

「そうなんだよ!」

「それで、四天王がどうかしたのですか?」

「新しい候補者こうほしゃが見つかったから、お前らに紹介しょうかいしたる。牛頭ごず君と馬頭めず君や」

 鬼塚は2人の男を、みんなに紹介しょうかいした。

 大柄おおがらで、いかつい筋肉質きんにくしつの男が牛頭ごずで、ほそみの優男やさおとこ馬頭めずらしい。

「彼らは、地獄じごく獄卒ごくそつつとめていた鬼のエリートや、みんなよろしくな」

「よろしくは良いのですが、2人もえたら、また四天王が5人になりますけど?」

「あっ、ホンマや」

大阪鬼連合団体おおさかおにれんごうだんたい』の会議かいぎは、またしても四天王問題になやまされるのであった。



 そのころ、火星では。

太陽系暗黒大魔王たいようけいあんこくだいまおう』をふうめている宮殿きゅうでんあやしい人影ひとかげがある。

 泥酔でんすいしたタコ四十郎しじゅうろうである。

 火星が平和になり、つい飲みぎてしまったタコ四十郎しじゅうろうは、自分の家と宮殿きゅうでん間違まちがえて入ってしまったのである。

「うぃー、もっと酒がしいでチュー」

 あたりをさがすと、古臭ふるくさつぼを見つけた。

 太陽系暗黒大魔王たいようけいあんこくだいまおうが中でているつぼである。

「お酒が入ってないでチュかね〜」

スッポン!

 タコ四十郎しじゅうろうつぼふたを開けてしまった。

 つぼから、いきおいよくけむりき出す。

「なんでチュか、これは?」

 けむりいきおいでタコ四十代郎しじゅうろうは、ひっくり返り、けむりの中から人影ひとかげあらわれた。

 ついに『太陽系暗黒大魔王たいようけいあんこくだいまおう』が、この世によみがってしまったのである。

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