表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
149/149

エピローグ

 士会鬼亡しかいきなき後の鬼族は、おもだった鬼神が隠居いんきょしてしまったため鬼塚おにずかと川島が仕切しきることになった。

 鬼塚はあらそいをこのまず人間との共存きょうぞんを望み、鬼が人をおそうことは、次第しだいに無くなって行く。

 士会鬼との戦いで重症をった加藤と狂四郎きょうしろう、小太郎の3人は、そろって警察病院に入院していたが、無事に完治かんちして退院することになるが、加藤は高齢こうれいのため、退院後はふたた隠居生活いんきょせいかつもどることにした。

 鬼が人をおそわなくなったので、DSPは解散かいさんとなるが、所属しょぞくしていた転生者たちは、鬼以外の人外じんがいの者への対応をおこなう警察の特別課へと配属はいぞくされて、魑魅魍魎ちみもうりょうといったたぐい者共ものどもと戦いつづけている。

 左近さこんは、相変あいかわらず小学生にかよいながら、剣術の修行にはげんでいる。

 千代ちよはというと、転生者という事で小太郎たちと一緒に特別課で勤務きんむしていた。

 虎之助とらのすけころのようなすさまじい暗黒パワーは無くなったが、唐沢家からさわけのくノ一としての能力は健在けんざいであり、充分に戦力として成り立っている。


「おつかれさん」

 勤務きんむが終わると、狂四郎は桜田刑事とのデートに急ぐ。

「ええな、アイツは彼女がおって」

 小太郎が、狂四郎の後ろ姿をながめながらうらやましがっていると

「今日は僕もデートっス」

 武蔵も彼女と会うようである。

「お前もかいな」

 2人がデートすると知って、小太郎のテンションは下がっていく。

「千代さん、アイツら最近たるんでまんなぁ」

 と、千代にうったえるが

「そうですか」

 と、何故なぜが千代は落ち着かない様子である。

 その時、三十代と思われる、むさ苦しい男がやって来て

「今日は仕事が早く終わったので、お食事でも一緒いっしょにどうですか」

 千代に笑顔で話しかけた。

「ありがとう、黒瀬くろせさん。行きましょう」

 千代も笑顔でこたえる。

「ええっ、なんでお前が。まさか、アンタら付き合ってるんか?」

 黒瀬が千代としたしげにしているのを見て、おどろく小太郎。

「少し前から、お付き合いさせてもらってます」

 千代は平然へいぜんと答えた。

「黒瀬はん。こんな年下と付き合うって、お前は、ロリコンで体育会系の鬼か!」

 思わず黒瀬にむ小太郎。

「人聞きの悪いことを言うなよ。千代さんとは結婚を前提ぜんていに、真面目まじめにお付き合いをさせてもらってるんだ」

「けっ、結婚って!君ら、美女と野獣やじゅうと言うより、オッサン変質者へんしつしゃだまされとる未成年みせいねんの少女やないかい!」

 小太郎は驚きすぎて、失礼しつれいな事を口走くちばしった。

「君はひどいことを言うな。俺は真剣しんけんに千代さんを愛してるんだ」

 黒瀬は、顔を真っ赤にしながらうったえる。

 それを見て、千代はうれしそうに笑っていたが

「では小太郎さん、また明日」

 と言いながら、黒瀬のうでを引っ張って連れて行ってしまった。

 一人残されて、放心状態ほうしんじょうたいになった小太郎に

「なに落ち込んでるんだ」

 勤務きんむが終わったばかりの岩法師が、声をかけて来たが

「いや、何でもあらへん」

 思わず小太郎は走り出した。

「なんじゃ、あいつ。帰る場所には同じ宿舎しゅくしゃなのに」

 不思議がる岩法師。

 DSPの宿舎は、引き続き特殊課の宿舎として使われており、今までのメンバーは全員そのまま住んでいるのである。



 小太郎は走り続けていた。

ーー恋人はしいけど、虎之助姉とらのすけねえさんがいたころ充実じゅうじつしていて楽しかったな。そりゃ、今のほうが敵が弱くなって安全な職場になったけど、なんだかさみしいわーー

「よう、少年。元気にしとるか?」

「あっ、アンタは」

 ひさしぶりのアンドロポプであった。

 走っているうちに、いつの間にかアメリカ村に来ていたのである。

 無意識むいしきに虎之助やマーゴットとの思い出が多い、この場所に来ていたのである。

「まだ、ココに、たむろしてるんか?」

国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかいロシア支部が無くなったんで、俺が一人で日本支部をやってるんだ」

「じゃ、また敵同士なんか」

「そうなんだけど、もう転生者とは戦わない事にした。俺の相手は、人外じんがいの者どもだ」

「ほんだら、俺らの味方みかたなんか?」

「味方ってわけじゃないが、敵ではない」

「なんや複雑ふくざつやな」

「まあ、そうだな」

「アメリカ支部のやつらは、どこや?」

「ライアンとマーゴットなら、アメリカに帰ったぞ」

「それやったら、アンタもさみしくなるな」

「アンタもって事は、お前はさみしいのか?」

 アンドロポプは、小太郎を見つめた。

「そうか、そういえば、あの小娘は妹に入れ替わったんだってな。お前ら仲が良かったから。だが、そんな事を言ってる場合じゃないぞ、鬼がおとなしくなったせいか、近頃ちかごろ妖怪ようかいや地球外生命体が頻繁ひんぱんに出現しているそうだ」

ーーそういえば、確かに、最近やたらと緊急出動きんきゅうしゅつどうが多かったわ。こりゃ、ヘコんでる場合じゃないでーー

「よっしゃ!おたがいに頑張がんばりまひょか」

 小太郎は、自分の宿舎しゅくしゃに向かって走り出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ