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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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虎之助との別れ

狂四郎きょうしろう!」

 と、小太郎こたろうさけんだつもりであるが、何故なぜか声出ない。

ーーあれッ、なんやおかしいで、声が出せないーー

 小太郎があせっていると

 いきなり士会鬼しかいきするどつめが目の前にせまっていた。

「危ない!小太郎」

ドカッ!

「ほうっ」

 虎之助とらのすけき飛ばされて、っ飛ばされた。

「チッ、邪魔じゃまをしおって」

 小太郎を仕留しとめそこねた士会鬼がくやしがる。

「小太郎。目をますでござる」

 虎之助の声が聞こえる。

「姉さん」

 虎之助の顔がれそうになるほど近くにあり、コチラをのぞき込んでいる。

「おむしは士会鬼の幻術げんじゅつに、かけられていたでござる。あやうくられるところだったでござる」

 そうか、俺は幻術げんじゅつけられてて、姉さんに助けられたんか。

「じゃ、加藤や武蔵はどこや?」

「どこやって言われても、まだ河原町かわらまちだと思うでござる」

「ウソや、んな空間のけ目を通って来てくれたはずや」

「それも幻術げんじゅつでござる。加藤と武蔵は、重症じゅうしょうで来れるわけ無いでござる」

「そう言われれば、そうやな。それに、狂四郎が決意けついして、コッチに来てくれたクダリは、よく考えたら俺に見えるわけ無いもんな。すべてが幻術げんじゅつやったんか。もうゆるさへんで」

 怒った小太郎は両手から、大量の神気を士会鬼に向けて打ち込んだ。

シュバッ

「そんなモンはかぬわ」

 神気が直撃ちょくげきしたが、ダメージは無いようだ。

「これで終わりじゃ」

 そう言うと、士会鬼は大量の暗黒闘気あんこくとうき放出ほうしゅつしながら、小太郎に向かって突進とっしんして来た。

ドガッ!

「うへ〜」

 小太郎は、まともに士会鬼の突撃とつげきを受けて、海まで吹っ飛んで行く。

ドボン!

 そのまま海のそこまでしずんでいく小太郎。

「これでやつの方が魚のえさになったな」

 士会鬼は、次に虎之助をねらって向かって来た。

 その時、かすかではあるが虎之助は、自分の精神の中に千代ちよ存在そんざいがあることに気付いた。

 虎之助は暗黒剣あんこくけんを取り出すと、士会鬼に向けてかまえる。

「いくらやみ西王母せいおうぼでも、このワシには決して勝てぬぞ。ワシこそがやみの王でる」

 士会鬼は相手が何者であろうと、自分をたおせる者など存在そんざいしないと信じている。

「そうではござらん。今はっきりと、理解したでござる。白鬼はっきつくろうとしていたのはやみ西王母せいおうぼなどでは無い」

 虎之助は士会鬼との戦いの中で、自分が何者なのかを確信かくしんした。

「なんじゃと?」

拙者せっしゃは、おぬしを倒せるでござる」

「なんじゃと」

白鬼はっきは、やみ西王母せいおうぼつくると見せかけて、おぬしほうむる者をつくったのでござる」

「まさか、そんな」

 おびえの表情を見せる士会鬼。

ーーバカな、このワシが恐怖しているだと。こんな事はありんーー

「消えされ、士会鬼しかいき

 虎之助は、持てる力のすべてをめて暗黒剣あんこくけんり下ろした。

 虎之助から得体えたいの知れない恐怖を感じて、後ろに下がる士会鬼。

「やめろ!」

 生まれてから始めて感じる恐怖におびえながら、士会鬼はさけんだ。

 ズバッ!

 暗黒剣が士会鬼をぷたつに切りいた。

「いくらっても、ワシは死なんぞ」

 なんとか士会鬼は強がってみせるが

「肉体を再生させているのは、おぬしの巨大な精神エネルギーでござる」

 虎之助の精神エネルギーが、士会鬼しかいきたましいらえると、一緒いっしょ天高てんたかのぼって行った。

「やめろ!はなさないと貴様きさまも死ぬぞ」

 士会鬼のたましいさけぶ。

 しかし、虎之助は士会鬼のたましいを、しっかりつかんではなさず

拙者せっしゃは死んでも、身体からだは死なないでござる」

 両者のたましいは、天にのぼって完全に浄化じょうかされてしまった。

 たましいかれた士会鬼の肉体は、もはや再生する事はなく、暗黒闘気あんこくとうきともてて行く。

 そして、すべての精神エネルギーを出しつくくした虎之助も、ひざをついてすわみ、動かなくなった。



 死闘しとうのあと、しばらく静寂せいじゃくおとずれていたが、たましいけたハズの虎之助の目が開いた。

「お兄様」

 と言ったのは、本来ほんらい身体からだぬしである千代ちよである。

 千代ちよは立ち上がると、虎之助がって行った空を見上げた。

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