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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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ドクロ太郎平

貴様きさまらこそ、魚のえさにしてやるわ!」

 士会鬼しかいき呪文じゅもんとなえると、海から何者かがい上がって来た。

半魚人はんぎょじんのシーヒューマンよ、こやつらをってしまえ」

 シーヒューマンと呼ばれた半魚人は、顔が魚で、体は人間と魚の間のような、見るからに半魚人といった怪物かいぶつであった。

「姉さん、キモい半魚人はんぎょじんがこっちに向かってきまっせ」

 小太郎こたろういやそうな顔をした。

「じゃ、小太郎は半魚人をるでござる。拙者せっしゃ士会鬼しかいきをブッ殺すでござる」

「アイツは、見た目が気持ち悪いから苦手ですわ」

 小太郎は半魚人が苦手なようである。

「ゴチャゴチャ言ってないで、さっさとるでござる!」

ドスッ!

 虎之助の中段蹴ちゅうだんげりが、小太郎のしり直撃ちょくげきした。

「ほうっ!」

バタッ

 奇声きせいを上げながら小太郎はたおむ。

「小太郎が倒れちゃったでござる」

 虎之助のりを、2発も尻にくらった小太郎は失神したようである。

「思ったより使えん男でござる」

 自分のせいで小太郎が失神したのであるが、虎之助はまった責任せきにんを感じていない。

味方みかた容赦ようしゃなくたおすとは、相変あいかわらず恐ろしいむすめじゃ」

 士会鬼しかいきも少しおどろいたが

「シーヒューマンよ、そのむすめってしまえ」

 と、半魚人を虎之助におそわせた。

「半魚人には半魚人でむかつでござる」

 士会鬼に対抗たいこうして、虎之助も呪文じゅもんとなえ半魚人を召喚しょうかんした。

 今、まさに、半魚人対決が行われようとしていた。

 しかし、召喚しょうかんされて出て来たのは、黒いマント姿の暗黒魔道士あんこくまどうし『ドクロ太郎平たろうへい』であった。

「おい、半魚人を出すんじゃ無かったのか?」

 士会鬼は不思議ふしぎがっている。

拙者せっしゃも、コイツが誰だか知らないけど、とりあえず半魚人を殺すでござる」

 自分が召喚しょうかんしたのであるが、何者なのか分からないまま、とりあえず虎之助は指示しじを出した。

了解りょうかいした」

 ドクロ太郎平たろうへいは、右手から黒いけむりを出して半魚人を攻撃こうげきし始めた。

 すると

シュー

 黒い煙をびた半魚人は、サラサラと黒い粉へと変化して行き

サラサラッ

 と、海風にかれて無くなってしまった。

「むっ、半魚人を簡単に倒すとは、貴様きさまやるな」

 士会鬼はドクロ太郎平たろうへいが、思いのほか強かったので警戒けいかいし始めている。

「誰だか知らない人だけど、そのジジイも殺すでござる」

「俺様はドクロ太郎平たろうへいだ、おぼえといてもらおう」

 ドクロ太郎平が虎之助に名乗なのるが

「いちいち名前をおぼえるのは、面倒めんどうくさいでござる」

 と、面倒めんどうがられてしまった。

「そんなこと言わずに、名前ぐらいおぼえてくれよ」

「わかったでござる。じゃ、ドクロ豚平ぶたへい、あのジジイを殺すでござる」

「ドクロ豚平ぶたへいじゃなくてドクロ太郎平たろうへいだ!」

 豚平ぶたへいと呼ばれて、ドクロ太郎平が怒った。

「どっちでも良いから、早く行くでござる!」

 ブチ切れた虎之助が、ハイキックをドクロ太郎平たろうへいに打ち込んだ。

ドガッ!

「くふっ」

 後頭部こうとうぶ強烈きょうれつりを受けて、ドクロ太郎平は失神しっしんKOされてしまった。

「こいつも使えん男でござる」

 たおれているドクロ太郎平に向かって、虎之助が冷たく言いはなつ。

「先ほどからの仲間に対しての非情ひじょうさは、さすがにやみ西王母せいおうぼじゃな」

 士会鬼は、虎之助の中にやみ西王母せいおうぼ非情ひじょうさを、かいま見た。

「そんな事はないでござる。拙者せっしゃやさぎるので、仲間からはイエス・キリストの再来さいらいと言われているでござる」

 自分の優しさをアピールする虎之助。

「そのイエス・キリストって人、知りまへんので、ドブネズミにたとえてもらえまへんか」

 失神していた小太郎が、たとえを変えるように言って来た。

 どうやら意識いしきもどしたようである。

「えっ、えーと、拙者せっしゃは仲間からドブネズミの再来さいらいと言われているでござる」

 虎之助はこまった顔をしながら言った。

「へえ、姉さんはドブネズミやったんでんな」

 何故なぜ感心かんしんする小太郎。

「そうでござる。実は拙者せっしゃは、ドブネズミだったのでござる」

「姉さんは、ドブネズミがお似合にあいでんな」

「お似合にあいなのでござる」

 2人はゲラゲラと笑い出した。

「そうか、君はドブネズミなのか。こりゃ面白おもしろい」

 ドクロ太郎平も、いつの間にか意識いしきを取りもどし笑いだしている。

「このはドブネズミかぁ、こりゃ良いや、ワッハッハ」

 はらかかえて大笑いするドクロ太郎平たろうへいであったが

「何が面白おもしろいでござるか!おぬし拙者せっしゃをバカにしてるでござるな」

 一緒いっしょに笑っていたつもりが、なぜかドクロ太郎平たろうへいだけが、虎之助にキレられてしまった。

「君らだって笑ってただろう」

 これには納得なっとくできず、抗議こうぎするドクロ太郎平。

「言いわけは聞かないでござる、とりあえずおぬしを殺すでござる」

 虎之助は、刀をドクロ太郎平たろうへいに向ける。

「少しぐらいは言いわけを聞けよ、このドブネズミむすめ

 先ほどは不意打ふいうちでやられたが、実力では自分の方が上だと思っているドクロ太郎平たろうへいは、言い返してきた。

拙者せっしゃは、言いわけ命乞いのちごいは聞かない主義しゅぎでござる。何故なぜなら拙者せっしゃには日本語がつうじないからでござる」

「何言ってんだ、お前は、さっきから日本語を話しているじゃないか」

「それは、おぬし幻聴げんちょうでござる」

「うわっ!このむすめの言ってる事は、意味がわからん。もう、君とはやってられんわ」

 ドクロ太郎平たろうへいは、あきれて帰ろうとしている。

「姉さん、アイツ帰るつもりでっせ」

 小太郎は、ドクロ太郎平の後ろ姿をながめている。

「帰るみたいでござるな」

「あの士会鬼しかいきってやつも、ついでに帰りませんかね」

「あのジジイも、もう帰るでござる」

「どこへ帰るんやろ」

「生まれ故郷こきょうのカッパ星でござる」

「えっ!士会鬼が、あのカッパ星人やったんでっか。そう言えば、以前に鬼神はカッパ星人の子やって言ってましたね」

 小太郎はおどろいた。

「そうなのでござる」

 虎之助は得意とくいげな表情をしている。

ちがうわ、バカども!なにがカッパ星人じゃ、アホか貴様きさまらは」

 だが、士会鬼に思いっきり怒られてしまった。

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