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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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南港の魚は爺さんを食べるか

「残りの雑魚ざこにも、死んでもらおうかの」

 士会鬼しかいきは、面倒めんどうくさそうな顔でつぶやく。

 その時

「待ちなはれ、そこまでや」

 っ飛ばされていた小太郎がもどって来た。

 服はボロボロになっているが、手には聖剣せいけんを持っている。

「お前の悪事は、お天道様てんとうさまゆるしても、この俺がゆるさへんで」

 小太郎は聖剣をりかざし、士会鬼にりかかって行く。

雑魚ざこが、返りちにしてやるわ」

 士会鬼は、暗黒闘気あんこくとうきを小太郎に向けてはなつ。

「うぉりやー!」

ズボッ!

 小太郎の聖剣せいけんが、士会鬼のむねに深々とさった。

 士会鬼しかいきの出した暗黒闘気あんこくとうきは、小太郎にとどく前に消え去っている。

「うぐっ、何故なぜじゃ、なぜワシの暗黒闘気あんこくとうきが消えたんじゃ」

 血を流しながらひざをつく士会鬼。

「おぬし暗黒闘気あんこくとうきは、すべ拙者せっしゃが吸い取ったでござる」

 なんと、いつの間にかもどって来ていた虎之助とらのすけが、暗黒闘気あんこくとうきを吸い取っていたのである。

貴様きさま仕業しわざか」

 いかった士会鬼は、同時に3本の小刀こがたなを虎之助に投げつけた。

拙者せっしゃの神気をらうでござる」

 虎之助は、大量の暗黒闘気あんこくとうきを出してむかえつ。

 小刀は暗黒闘気にれた瞬間に、サラサラと土にもどって行く。

「とどめでござる。秘技ひぎ暗黒星雲あんこくせいうん』」

 虎之助の両手から暗黒そのものが現れて、士会鬼をつつむ。

「おぬしの暗黒パワーを、暗黒星雲に送り出すでござる」

 虎之助は、とんでもない荒業あらわざを出して、士会鬼にとどめを刺すつもりである。

「ぐはっ」

 士会鬼は、暗黒パワーを吸い取られて、どんどん小さくなって行く。

 そして、ついに無くなってしまった。

「あれっ、暗黒パワーを全部奪ぜんぶうばったらなくなったでござる」

 あたりを見回みまわす虎之助。

「消えて無くなったみたいでんな」

 小太郎も、キョロキョロしている。

「死んだので、ござるかな?」

「そうでんな。もう、死んだ事にしときまひょうか」

 2人が士会鬼は死んだと思っていると

「まだ生きとるわ、バカ者どもが」

 10メートルほど上空に、悪魔の姿をした士会鬼が現れた。

「あんな所に居るでござる」

 虎之助は素早すばや手裏剣しゅりけんを投げつける。

スッ

 しかし、手裏剣しゅりけんは士会鬼を素通すどおりしてしまった。

「そんな物は当たらん、ワシは別の次元に居るのじゃ。貴様きさまらごときでは、ワシにれることすら出来んわ」

 どうやら、士会鬼は別次元べつじげんに移動したようである。

「姉さん。士会鬼のやつ、別次元にいるので、こちらの攻撃こうげきが当たりまへんで」

 ちがう次元にいる相手に攻撃しても、ダメージはあたえられない。

「こうなったら、拙者せっしゃたちも別次元に行くでござる」

「どうやって行くんでっか?」

「こうやるでござる」

バリッ!

 虎之助は空間を手刀しゅとうで切りく。

 すると、何も無かった空間にができた。

「では、小太郎から行くでござる」

 虎之助は後ろから押して、小太郎を空間のけ目に入れようとする。

「いや、俺は残りますわ。姉さんだけで行って下さい」

ーー別次元なんかに行ったら、帰って来られへんやないかいーー

 小太郎は別次元に行くことをこばんでいる。

「ゴチャゴチャ言ってないで、さっさと行くでござる」

ドガッ!

小太郎のしりを、虎之助が思いっきり蹴飛けとばした。

「はうっ!」

 っとばされて、小太郎はいきおいよく空間のけ目に突入とつにゅうして行く。

「それでは、拙者せっしゃも行くでござる」

 ゆっくりとけ目に入って行く虎之助。

 別次元に入ってみると、都会の埠頭ふとうのような場所に出た。

 海岸には、大きな外国船も止まっており、近くには、しりを押さえて倒れている小太郎がいる。

「小太郎、士会鬼しかいきはドコでござるか?」

「わかりまへん。それよりしりが痛くて歩けまへんのや」

 尻を押さえながら小太郎は、うずくまっている。

「使えん男でござるな」

「姉さんにられて、こうなったんでんですやん」

 とうったえる、小太郎の言い分は無視むしして

「でも別次元って、なんだか南港なんこうてるでござるね」

 と、虎之助が言った。

「そう言われれば、そうでんな。あの建物なんか、インテックス大阪にそっくりやし」

「あっちのビルは、WTC(ワールドトレードセンター)てるでござる」

「姉さん。もしかしたら、ココは」

 2人があやしんでいると

「おい、貴様きさまら。そんなに簡単に別次元に入って来るんじゃない、少しは常識じょうしきを考えろ」

 と、怒りながら士会鬼しかいきがやって来た。

「俺は来たくて来たんちゃうわ、姉さんにばされたんや!」

 尻を押さえながら小太郎は怒っている。

「おぬしは別次元って言ってるけど、ココは南港なんこうでござる」

「そうじゃ、ココは南港なんこうじゃ。空間のけ目を利用して移動したのだ。それに、対決する場所といえば昔から南港なんこうと決まっとるじゃろ」

南港なんこうで対決って、お前は、時代遅じだいおくれの暴走族ぼうそうぞくか!」

 小太郎がむ。

 別次元というのは士会鬼のうそで、実際じっさいには大阪市の湾岸都市わんがんとしである南港なんこうへと移動しただけであった。

「場所は、どこでも良いでござる。小太郎、ぬかるんじゃないでござるよ」

 虎之助は、すでに刀をかま戦闘態勢せんとうたいせいに入っている。

「わかってまんがな、今すぐ殺しまっさ」

 小太郎も聖剣せいけんいて士会鬼に向けた。

「ブッ殺して、魚のえさにしてやるでござる」

 士会鬼を殺して、海にしずめるつもりの虎之助。

「あんな不味まずそうなじいさんを、魚が食べまっか?」

 しかし、虎之助の台詞せりふに小太郎は疑問ぎもんを感じた。

あじやサバは、何でも食べるでござる、あの不味まずそうなジジイも食べるでござる」

「いやいや、さすがに、あのじいさんは食べまへんて。いくら魚でもはらこわしまっせ」

「ムチャクチャ不味まずいけど、あのジジイは魚にわれるでござる」

 どうしても、士会鬼を魚に食べさせたい虎之助。

「食べませんって、あのじいさんはくさすぎまっせ」

くさいジジイは、魚も食べないでござる」

 くさいと聞いて虎之助は意見を変えた。

「やっぱり食べまへんか」

「絶対に食べないでござる」

 言い切る虎之助。

「いい加減かげんしろ!ワシは不味まずくもくさくもないわ!」

 2人の会話を聞いて、士会鬼がブチ切れた。

貴様きさまら2人とも、骨も残さずこの世から抹殺まっさつしてやる」

 怒りが頂点ちょうてんたっした士会鬼であった。

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