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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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本物の鬼神

「あっ、あの姿は!」

 虎之助とらのすけ武蔵むさしは、変化しえた士会鬼しかしきの姿を見ておどろいている。

夜叉やしゃが変化した姿にてるっす」

「そっくりでござる」

 おどろくのは無理もなく、漆黒しっこくの大きなつばさを持ち、巨大なきばやした悪魔そのものであった。 

「そっくりなのは当たり前じゃ。夜叉やしゃ白鬼はっきは、ワシが自分にせてつくったのじゃ」

 士会鬼しかいきちゅうに浮きながら言った。

「パソコン工房こうぼうで作ったのでござるか?拙者せっしゃも造りたでござる」

 虎之助は、自分もつくりたくなってたずねた。

「そんな所で作れるわけないじゃろ!それに、お前では絶対に無理じゃ」

 しかし、士会鬼に全否定ぜんひていされてしまった。

「じゃ、おぬしは、誰につくられたのでござるか」

「ワシは誰かに造られたのでは無い。ワシこそが唯一無二ゆいつむにの本物の鬼神きしんであり悪魔なのである」

 その言葉を聞いて、士会鬼しかいきに向かっていた暗黒兵団あんこくへいだんは、出て来た地面のけ目へもどり、地獄へと帰って行った。

「せっかく出した暗黒兵団あんこくへいだんたちが、帰って行くでござる」

 虎之助は残念がっているが、他のDSPのメンバーは、少しホッとした。

当然とうぜんじゃ。やつらは誰が自分たちをつくったのかを、知っておるからの」

 士会鬼は恐ろしい顔で、不気味ぶきみみを浮かべている。

「おぬしの笑顔は、気持ち悪いからめるでござる」

 不快ふかいに感じた虎之助が言った。

「なんかムカつく小娘じゃな。まあ良い、まとめて全員殺してやるわ」

 そう言うと、士会鬼は口から青白い炎をき出した。

「あの炎は、ヤバいでござる。加藤も何か口から出すでござる」

 あわてて、虎之助は加藤の口を、こじ開けた。

「何も出るか!」

 しかし、加藤の口からは何も出なかった。

「あちちっ」

「熱いでござる」

 士会鬼の炎から、逃げまどうDSPのメンバーたち。

「おのれ!忍法『冷気滅却れいきめっきゃく』」

 加藤の周りから、冷気が士会鬼に向かって行く。

「その程度ていどの冷気では、ワシの炎はふせげんぞ」

 士会鬼は、さらに大量の炎を出し始めた。

スパッ!

「熱いでござる!」

 あまりにも熱いので、怒った虎之助が士会鬼の首を切り落とした。

「おおっ、ったか!」

 首を切られた士会鬼を見て、加藤が身を乗り出す。

 しかし

ニューッ

 すぐに首が再生されてしまった。

「この姿になったワシの首を、いとも簡単に切り落とすとは、さすがやみ西王母せいおうぼじゃのう」

 士会鬼は関心かんしんしているが、ダメージはまったく無いようだ。

スパッ!

 しかし、またすぐに虎之助に首を切り落とされてしまった。

ニューッ

 また再生する士会鬼の首。

スパッ!

 また、切り落とす虎之助。

ニューッ

 再生する士会鬼の首。

ニューッ

 再生する首。

面白おもしろいでござる〜」

 何度切っても、すぐに首がえて来るので、虎之助は面白がって喜んでいる。

面白おもしろくないわ!いい加減かげんにしろ、バカ者」

ドカッ!

 士会鬼の怒りの鉄拳てっけんが、虎之助の顔面がんめんにヒットした。

「うひゃー」

 と、虎之助は派手はでっ飛んで行く。

「よく飛んだッスね」

「そうだな、500ヤードは行ったな」

 武蔵と加藤が、飛ばされた虎之助をながめていると。

「おい、2人とも。仲間がヤラれたのに、なに関心かんしんしてんだ!」

 と、岩法師に怒られてしまった。

「あっ、そうだった。吹っ飛ばされたアホむすめを見てる場合じゃない」

 加藤は気を取り直して

「死ね、士会鬼!」

 刀をかまええて、士会鬼に斬りかかる。

「ウザい雑魚ざこが」

 士会鬼は、加藤に向けて両手から大量の暗黒闘気あんこくとうきを出した。

「うぎゃ!」

 暗黒闘気あんこくとうきが加藤をつつんで行く。

「ヤバい、加藤さんがられる」

 急いで岩法師いわほうしが手をかざし、法力で中和しようとするが、あまりにも大量で濃密のうみつな暗黒闘気であり、加藤はドス黒く変色して行く。

「クソっ、加藤さんが死んでしまう」

 あせる岩法師に

「大変だ、俺も手伝てつだう」

 狂四郎きょうしろうは、加藤の腹部ふくぶに手を当てると、仙道せんどうで気を送り込んだ。

 しかし、2人がかりでも暗黒闘気は止められず、加藤の身体からだむしばんでいく。

無駄むだじゃ、その男はもはや助からん」

 士会鬼の冷酷れいこくな声がDSPのメンバーにさった。

「おのれっ、加藤さんのかたきッス!」

 武蔵は、二刀流で士会鬼に向かって行く。

貴様きさまも死ね」

 士会鬼は、武蔵にも暗黒闘気をびせる。

「なんの、二刀流『旋風斬せんぷうぎり』ッス」

 『旋風斬せんぷうぎり』とは、2本の刀をすさまじく早く回転させ真空状態しんくうじょうたいを作り、かまいたちの様に攻撃するわざである。

「お前の方が死ぬッス」

 ズバッ!

 武蔵のわざは、暗黒闘気を吹き飛ばし、同時に士会鬼しかいき攻撃こうげきした。

小賢こざかしい餓鬼がきじゃ」

 士会鬼は、じゅつで右手に小型のやりを出現させると、超高速で武蔵に投げつける。

ブスッ

「うぐっ」

 あまりにも速いスピードであるため、かわす事ができず、やりは深々と武蔵の腹部ふくぶさった。

「武蔵!」

 岩法師がさけぶが、武蔵はたおれて返事がない。

「これはマズいぞ」

 狂四郎は武蔵にけ寄って行き、仙道せんどうでの治療ちりょうこころみるが、武蔵の反応はんのうがない。

「武蔵、しっかりしろ」

 大声で狂四郎が声をかけるが

「………」

 返事は無かった。

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