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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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士会鬼

 DSPのメンバーは、河原町かわらまちに住む士会鬼しかいきを倒しに行くため、京阪けいはん電車に乗っていた。

 ただし、左近さこんだけは小学校に行っており、不参加である。

「なんでか最近は、電車移動が多いでんな」

 小太郎は不服ふふくそうである。

仕方しかたないでござる。加藤がDSPの予算をギャンブルに使い込んだから、もう、お金が無いのでござる」

 虎之助とらのすけが、大阪DSPの金銭事情きんせんじじょうを説明した。

「そりゃ、ひどいでんな」

 虎之助の話を信じている小太郎。

「あとは、岩法師いわほうしが毎月のように、DSPのお金で裸祭はだかまつりを開催かいさいするので、借金まみれなのでござる」

「そりゃ大変や。俺らの給料は、ちゃんと出るんやろか?」

 バカなので、何でも信じる小太郎。

「今月の小太郎の給料は、うまい棒2本でござる」

「ええっ!うまい棒2本やったら、生活が、カツカツですわ」

拙者せっしゃも、ギリギリでござる」

 などと、2人が話していると

「お前ら、いい加減かげんにしろよ。デタラメばっかり言いやがって、ワシはギャンブルなんかしないぞ!」

拙僧せっそうが、裸祭はだかまつりを開催かいさいする訳ないだろ!」

 と、加藤と岩法師に怒られてしまった。

「加藤さんも岩法師さんも、こんなバカどもは相手にしない方が良いですよ。バカが伝染うつります」

 冷めた口調で狂四郎きょうしろうが言った。

「なんやと!オノレこそ、歴史上の人物で一番バカのクセに」

 バカにバカと言われて、小太郎が怒った。

「そうでござる。狂四郎こそ、人類で始めて誕生した本物のバカでござる」

 虎之助も言い返す。

「お前らムチャクチャ言いやがって。もうゆるさん!」

 狂四郎が切れた。

「コラ!お前ら、めんか。電車には他のお客さんも乗っとるんだぞ!」

 しかし、岩法師に怒られてしまった。

「すんまへん」

「すいません」

 素直にあやまる、小太郎と狂四郎であるが

「ほんとに、バカの相手はつかれるでござる」

 まったく悪びれていない虎之助。

ーークッ、こいつ一番バカのクセに。だが、電車内で暴れられたら困るーー

 と思い、グッと我慢がまんする岩法師であった。



 一同が河原町かわらまちに着くと

「加藤さん。僕たちが京都に来ることは、京都DSPの連中れんちゅうには知らせてるんスか?」

 と、武蔵むさしが心配そうに聞いてきた。

一応いちおうは伝えてあるが、やつらの事だから、どう出るのか分からんな」

 加藤も京都DSPの協力は必須ひっすだと思っているが、動いてくれるかどうかは分からない。

 とりあえず、羅刹らせつに聞いていた通りの道順を進んで行くと、一軒のやや大きな一戸建て住宅たどり着いた。

 表札ひょうさつには堂々と『士会』と書いてある。

「ココのようだな」

 加藤は玄関のインターホンを見つめている。

 緊張きんちょうして、ベルを押すのを、ためらっていると

ピンポーン

 と、玄関のベルが鳴った。

 いつの間にか虎之助がベルを押していた。

「こら、虎之助。勝手にベルを押すなよ」

「押さないと、誰も出て来ないでござる」

「甘いぞ、虎之助。やつのことだから、もう我々が来てる事など、とっくにバレとるわ」

「防犯カメラも付いて無いのに、バレる訳ないでござる」

「いや、バレてるって」

「バレないでござる!」

「うるさいぞ!お前らヒトの玄関先で、何やってんじゃ!」

 加藤と虎之助が言い合いをしていると、玄関から士会鬼しかいきが出て来て、怒鳴どならりつけて来た。

「あっ、すいません。コイツが勝手にチャイムを鳴らすから」

 急に怒鳴られたので、おどいて咄嗟とっさに加藤が弁明べんめいする。

「おぬしが、さっさと押さないから、変なジジイに怒られたでござる」

 虎之助は、加藤のせいにしている。

「おや、お前は見たことがある顔だな」

 士会鬼しかいきが加藤の顔をマジマジと見た。

「コイツは、お年寄としよりをだましてお金を巻き上げる、カルト教団の勧誘員かんゆういんでござる。千円のつぼを100万円で売るでござる」 

 虎之助が、士会鬼しかいきに加藤の説明をする。

「こいつは、そんなに悪いやつなのか?」

 士会鬼が聞いてきた。

「全国で指名手配されているので、見覚みおぼえがあったのでござる」

「そうじゃったのか」

 士会鬼は納得なっとくしている様だ。

「それで、おじょうちゃんは、どなたかの?」

拙者せっしゃは、ビリでヤンキーだけど、一流大学を目指めざしているビリギャルでござる」

「なるほど、君がビリギャルか」

 士会鬼は少し考えてから

「じゃが、本当はDSPの加藤とその部下じゃろ。お前らごときで、ワシを倒せるとでも思ったか!」

 と、正体を見破みやぶられてしまった。というより、最初から分かっていた様であった。

ちがうでござる。拙者せっしゃたちは、このあたりに変なオジサンが出るとの通報を受けて、調査しているFBIの捜査官そうさかんでござる」

 まだ、正体をかくそうとする虎之助。

「FBIが変なオジサンの捜査で京都まで来るわけないじゃろ」

 しかし、士会鬼に突っ込まれてしまった。

「もう、バレてるからあきらめろ虎之助」

 加藤が虎之助をさとす。

「バレてるのでござるか?」

「完全にバレとるぞ」

 念押ねんおしする加藤。

「ならば、いたかたない。われらの正体を知った者は、死んでもらうでござる」

 虎之助は刀をいて士会鬼しかいきに向けた。

「その悪者みたいな台詞せりふめろ」

 加藤が注意する。

「このジジイには、口封くちふうじのため、死んでもらうでござる」

口封くちふうじって、何をふうじるんだ。ワシらは何も悪い事してないぞ」

「おぬしの顔が、国家反逆罪こっかはんぎゃくざいでござる」

「ワシ顔は普通だバカ者」

「普通では無いでござる、その顔は違法いほうでござる」

 などと加藤と虎之助が言い合っていると

「加藤はん。さっきのじいさん、あきれて家に戻って行ったで」

「なんだと」

「ホントでござる」

 小太郎の言うとおり、士会鬼は玄関げんかんめて家の中に戻ってしまっている。

 たたかう以前にめ出しをくらってしまい、早くもピンチを迎えるDSPのメンバーであった。

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