表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
14/149

霊気姉さんが登場でござる

 虎之助とらのすけと鬼ロボの死闘しとうのあと、火星では鬼が9人も飛ばされて来たので、銅鬼どうき大喜おおよろびであった。

「いやぁ、こんなに鬼が来てくれるとは、助かるなぁ」

「いえ、来たくて来たんじゃ無いんですけどね」

 飛ばされた鬼たちは、とまどっている。

「とりあえず、人手がりなかったんだ。君たちなら立派りっぱな戦力になる」

「戦力って、ここでも戦いがあるのですか?」

「俺たち革命軍かくめいぐんは、独裁者どくさいしゃの『山田タコ14世』と戦っている。君らも手をしてしい」

 銅鬼どうきは9人の鬼に、今の火星の状況じょうきょう説明せつめいして『山田タコ14世』が、いかに極悪ごくあくであるかを話した。

 『山田タコ14世』にさからう者は、タコ焼きにされて、屋台やたい外国人がいこくじん観光客かんこうきゃく割高わりだかで売りさばかれるらしい。

たしかに『山田タコ14世』の民衆みんしゅうに対する仕打しうちちはひどすぎます。われわれも『山田タコ14世』をたおすため、革命軍かくめいぐんに入らせてもらいます。ただ、気になるのは、外国人がいこくじん観光客かんこうきゃくって、どこから来るのですか?」

「それは、知らん」

 銅鬼は知らないようだ。

 なぞのこったものの、銅鬼どうき心強こころずよい仲間ができた。



 大阪の繁華街はんかがいである心斎橋しんさいばしに、30代の男が少女と一緒いっしょに服を買いに来ていた。というより、買わされていた。

「まだ、買うんですか?」

 黒瀬くろせは、服の入った大きな紙袋かみぶくろを持たされている。

「お前の仲間に服を取られたので、お前が拙者せっしやの服を買うのは当たり前でござる」

「取られたんじゃなくて、わりじゅつで、使っちゃったんでしょう」

「同じことでござる。服を買い終わったらイタリアンレストランで、チョリソーとカルボナーラとピザをおごるでござる」

「また、ですか?」

「命がしければ、おごるでござる」

ーーコイツと一緒いっしょに居ると、まわりから変な目で見られるからいやなんだよなぁ。可愛かわいい女の子をれて歩くのは気分が良いが、10代となると話は別だ。社内しゃないでは完全に援交えんこうしてると思われてるし、かといって、実際じっさいに変なことしたら瞬殺しゅんさつされるだろうしなーー

 黒瀬のなやみはきないのである。



 オフィス街の高層こうそうビル最上階さいじょうかいでは『大阪鬼連合団体おおさかおにれんごうだんたい』の定例ていれいカンファレンスがおこなわれていた。

「えー、今日はみささんに悲しい、お知らせがあります」

 議長ぎちょう鬼塚おにずかから報告ほうこくがあるようだ。

「ついに、あの小娘こむすめりましたか?」

 若い参加者さんかしゃが聞いた。

「ちがいます」

 鬼塚は、意外いがい冷静れいせいに答える。

むすめさんが受験じゅけん失敗しっぱいしましたか?」

 中年のメンバーが聞いた。

「ちがいます」

「ついに、議長ぎちょう離婚りこんが決まりましたか?」

「ちがいます」

議長ぎちょうのイボ完治かんちしましたか?」

「ちがいます」

議長ぎちょうの金玉が爆発ばくはつしたとか?」

「するか、ボケっ!」

 ついに鬼塚がキレた。

「お前ら、適当てきとうなことばっかし言いやがって。金玉が爆発ばくはつしてたら、今頃いまごろは泣きながら入院しとるわ!鬼ロボがDSPの小娘こむすめられたんや!」

「まさか、あの鬼ロボが?」

 大半たいはんのカンファレンス参加者さんかしゃは、鬼ロボが小娘こむすめられたことが信じられない。

「そうや。あの鬼ロボが、小娘こむすめ簡単かんたんられてもうたんや」

「それは、ビックリですね」

「俺も連絡れんらくを受けた時は、ビックリしてスマホを落としてもうて、スマホの画面がめんれてもうたわ」

 鬼塚も、知った時には、かなりおどろいたようだ。

「画面の修理しゅうりは、意外と高くきますからねえ」

「そうやねん。もう新しいのに買いえようかなと思て」

「議長はiPhoneですか?」

「いや、俺はAndroidや。しかも格安かくやすSIMやで」

「なぜ、iPhoneにしないのですか?」

「高いからや。なんでか知らんけど、よめむすめはドコモの最新さいしんiPhoneやけどな」

「スマホケースは、けてなかったんですか?」

「ケースけたら、せっかくスマホ会社がデザインしたフォルムが見えへんやんけ」

「それは、そうですけど。れるよりは良いのでは?」

れてから、手帳型てちょうがたケースでも使っとけば良かったって思ったわ」

「ちょっと!スマホの話をしに集まったんじゃないですよ!」

 話がそれ過ぎたので、川島かわしまおこり出した。

「あっ、そうやった。今日は、あんまり、お前らが不甲斐ふがいないので、霊鬼れいきねえさんが来てくれるんやった」

霊鬼れいきさんというと、絶世ぜっせいの美女でありながら、歴代れきだい四天王の中でもっとくらいと言われている、あの霊鬼れいきさんですか?」

 川島がおどろいて確認かくにんする。

「そうや。男運おとこうんが悪く、き合う男がみんな、酒とギャンブルと暴力ぼうりょくが大好きという、霊鬼れいきねえさんや」

「それは、もう男運おとこうんが悪いというより、そういう男が好きなんでしょう」

「そうかも知れんが、とにかく歴代れきだい四天王の中でも、もっとさちうすいと言われている、霊鬼れいきねえさんや」

「あまりにもさちうすすぎて、きながら霊体れいたいとなり、数百年間あの世とこの世を行き来していると言われている、霊鬼れいきさんが今日、来るのですか?」

「もう来てるわよ」

「うわっ!ビックリした!」

 鬼塚と川島がおどろいて、けそうになった。

「アンタら!なにウチのこと、好き勝手かってに言ってくれてるのよ!」

 いつの間にまか、鬼塚のとなりに美女がすわっている。

ねえさん、どこから入って来たんでっか?ドアが開く音は、聞こえませんでしたけど」

最初さいしょからたわよ!」

「すいません、気がきませんでした」

 川島があやまった。

「姉さんは、半分霊体はんぶんれいたいやから、しっかり実体化じったいかしてもらわんと、見えへんのや」

「気をいたら、すぐ霊体化れいたいかするから、仕方しかたないのよ。それより、アンタたち。よくも、くらいやら男運おとこうんが無いとかさちうすいとか、いろいろ言ってくれたわね!」

「すんまへん。まさかるとは思わなかったんで」

 鬼塚もあやまった。

「まあ、ええわ。ほんで、なんやアンタらDSPの小娘こむすめに、ええようにヤラれてんのやって?四天王が2人もそろって、だらしないわね」

「2人って、俺が茨木堂子いばらぎどうじで、ほかは誰や?」

 鬼塚は、あたりを見渡みわたした。

「私ですよ!私が熊堂子くまどうじです」

 川島がおこりながらった。

「君、熊堂子くまどうじやったんか、いつからや?」

「なに言ってるんです!まれた時から。というか、家系かけいがそうなんです。議長ぎちょうも知ってるハズですよ」

「そうなんか、そういえば、そんな話を聞いた事があるような、無いような」

「鬼塚、お前アホやろ?」

 霊鬼れいきは、あきれている。

「いや、俺がアホかどうかはいといて。とにかく、その小娘こむすめが強くてこまってますんや」

議長ぎちょうが、アホかどうかはいとくんですか?」

「そうや。そんなん、どうでも、ええやん。それより姉さんは、霊体れいたいになれるから、通常つうじょう攻撃こうげきかないですよね?」

かないわよ」

「ちょっと行って、やっつけてもらえません?」

面倒めんどうくさいわね。彼氏がパチンコから帰って来る前に、夕食の用意よういをしとかないと機嫌きげんが悪くなるのよ。私もスーパーのレジちのパートがあるし」

「姉さんがパートしてはるのに、彼氏は平日の昼間からパチンコでっか?」

「そうよ。土日どにち競馬けいば競艇きょうていだから」

「いったい霊鬼れいきさんは、その彼氏さんの、どこが好きなんですか?」

 川島は疑問ぎもんに思った。

「たまにやさしいトコかなぁ。それに、あの人には私がないとダメなのよ」

ーーこっ、これは典型的てんけいてきな、幸薄さちうすい女性のセリフだーー

「そっ、そうでございましたか」

 川島は、霊鬼れいき恋愛れんあいには、らない事にした。

「じゃ、ひまな時に気がいたらっといたるから、そのむすめの写真か何か無いの?」

「写真なら有りますよ」

 川島は、霊鬼れいきに、虎之助とらのすけの写真を渡す。

「なかなか可愛かわいね。わかったわ、まかせといて」

「よろしく、おねがいします」

大阪鬼連合団体おおさかおにれんごうだんたい』のカンファレンスは、霊鬼れいき登場とうじょうのある会議かいぎとなった。



 数日後、狂四郎きょうしろう退院たいいんの日がやって来た。

「やっと退院か。しかしあの小娘こむすめ馬鹿力ばかじからなぐりやがって、一時いちじは死ぬかと思ったぜ」

 警察病院けいさつびょういん玄関げんかんまで行くと、虎之助とらのすけ小太郎こたろうむかえに来ていた。

 自分のせいで俺が入院にゅういんしたから、悪いと思って謝罪しゃざいしに来たのだろう。と、狂四郎は思い

「退院できたけど、まだ少し頭が痛むんだ」

 と、体調不良たいちょうふりょうを、アピールしてみた。

「ふざけたこと言ってないで、焼肉やきにくの続きをおごるでござる!」

「まだってる途中とちゅうで入院しやがって、このヘタレが!」

 2人にののしられながら、狂四郎は退院そうそう焼肉屋にれて行かれ、おごらされるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ