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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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西王母チョップ

「さあ、これで1対3になったから、存分ぞんぶんに殺し合いなさい」

 加藤と武蔵むさしに向かって、西王母せいおうぼが言った。

「はぁ。まあ、そうですね」

 加藤は、帰って行くフレイムぶたすけを見ながら返事をするが、第三者から殺し合えと言われると、戦闘意欲せんとういよくうすれて来た。

「なんか、やりにくいな」

 羅刹らせつも気まずそうにしている。

 そんな変な空気になっていると

「おーい」

 と言いながら、燕鬼えんきがコチラに向かって走って来た。

燕鬼えんきじゃないか。お前、無事だったのか?」

「ああ。なんとか、あの猫の魔人から逃げて来た。太陽に連れて行かれたら焼け死んでしまうからな」

「そうか、では2人でDSPの連中をブッ殺すか」

「いや、俺はもういいわ。猫の魔人と戦ってみて、戦いのむなしさを痛烈つうれつに感じた。あらそいごとはめて、田舎いなかの岡山に帰るよ」

「えっ、帰っちゃうの?」

 おどろ羅刹らせつ

「帰るよ」

 燕鬼えんきは、あっさりと返答する。

「じゃ、俺も帰ろうかな」

 羅刹らせつも気持ちがブレ始めて来た。

「お前は残れよ。2人とも帰ったら、士会鬼しかいき様に殺されるぞ」

「いや。一人で戻っても士会鬼しかいき様に、どやされるだろう。ここは2人とも岡山に帰ろう」

「だから、それは危ないって」

「いや、しかし君」

 などと、2人がなあんでいると

「なにをグダグダ言ってるの。アンタら鬼神のクセになさけないわね」

 西王母せいおうぼにバカにされてしまった。

「お前は士会鬼しかいき様の恐ろしさを知らないから、そんな事が言えるんだ」

 羅刹らせつが言い返す。

士会鬼しかいきって、そんなに怖いの?」

士会鬼しかいき様は、すべて鬼の始祖しそであり、われらがたばになってもかなわない恐ろしいお方なんだぞ」

 燕鬼えんきが、士会鬼しかいきの恐ろしさを説明する。

「そんなの、ここに居るDSPの連中が片付かたずけてくれるわ」

 西王母は、加藤を見ながら言った。

「えっ、我々が?」

 おどろいて加藤が聞きなおす。

「そうよ、アンタたちは鬼をやっつけるのが仕事でしょう」

「まあ、そう言われれば、そうなんですが」

 確かにDSPは、対鬼の専門機関せんもんきかんである。

「こののアホの加藤と宮本武蔵みやもとむさしと、あそこでお菓子かしを食べているやみ西王母せいおうぼがいれば、士会鬼しかいきなんて、簡単に殺せるわよ」

 虎之助とらのすけゆびさしながら説明する西王母せいおうぼ

「無理だな。加藤と武蔵は、京都DSP時代のころから知ってるが、士会鬼しかいき様に比べるとクソ虫レベルだ」

 羅刹らせつは、てるように言った。

「おい、クソ虫は言い過ぎだろ、バカ鬼神」

 クソ虫と言われて加藤が怒った。

「クソ虫じゃなければ、お前らは鼻クソ虫だ」

「なんだと、この水虫野郎みずむしやろう

 加藤と羅刹らせつが低レベルな言い合いを始めた。

「ちょっと、めなさいよ。アンタたちは、おたがいに薄汚うすぎたないウジ虫同士むしどうしなんだから、仲良くしなさい」

 西王母せいおうぼが止めに入った。

「アンタが一番、ひどいこと言ってるぞ」

「そうですよ、西王母様せいおうぼは口が悪すぎます」

 だが、逆に口の悪さを、羅刹らせつと加藤に注意されてしまった。

「うるさいわね。この負け犬どもが」

 注意されても、西王母せいおうぼ毒舌どくぜつは変わらない

「なんだと。口がぎるぞこの娘」

 羅刹らせつ燕鬼えんきは、キレそうになっている。

ボコッ

 その時、地面からどろまみれの男がい出てきた。小太郎である。

「アンタらの話は、地中から全部聞かせてもらったで。その士会鬼しかいきっていうやつは俺らにまかせて、君ら2人は田舎いなかに帰りなはれ」

 小太郎は、えらそうな口調くちょうで、2人の鬼神に帰ることをすすめてきた。

「お前らじゃ、とても無理だ。っていうか、どこから出て来てんだ」

 羅刹らせつ燕鬼えんきは、士会鬼しかいきがとてもDSPの手にえる相手ではないことを理解している。

 いきなり地中から出て来た若造わかぞうに、どうこう出来るはずがない。

「まあまあ、そう言わんと。俺らにまかせときなはれ」

 なぜか小太郎は、自信があるようだ。

「そこまで言うなら、岡山に帰るけど。お前たちが、士会鬼しかいき様をなんとかするのを見届みとどけてからだ」

 羅刹らせつ慎重しんちょうである。よほど士会鬼が恐ろしいのであろう。

まかせといて。ちゃっちゃっとって来ますさかいに。なあ、姉さん」

 と、小太郎は西王母せいおうぼかたを軽くたたいた。

「おい、小太郎。そのかたは虎之助じゃなくて西王母せいおうぼ様だぞ」

 小太郎が、西王母せいおうぼ虎之助とらのすけ間違まちがえたので、加藤が注意する。

「こりゃ、すんまへん。地中から聞いてましたが、アンタが西王母はんでっか。ホンマに姉さんソックリでんなぁ」

「言っとくけど、私がオリジナルで、あの娘が偽物にせものなのよ」

「まあ、そないな事どっちでも良いでんがな。じゃ、行きましょか姉さん」

 小太郎は、西王母の手を引っ張って連れて行こうとする。

「だから、私は西王母の方だって」

「わかってまんがな。細かい事はきにして、とりあえず宿舎しゅくしゃに帰りまひょう。どろだらけになったんで、早くお風呂に入りたいんですわ」

 またしても、西王母せいおうぼの手を引っ張って行く小太郎。

「私は西王母せいおうぼだって言ってんだろ!このイカ野郎やろう

ドガッ!

 怒った西王母せいおうぼが、小太郎の脳天のうてんにチョップをブチ込む。

ズブズブズブ

 西王母せいおうぼの怒りのチョップは、数百年に一度の快心かいしん一撃いちげきであった。

 小太郎は、またしても地中深くまでめり込んで行く。

「小太郎〜、大丈夫だいじょうぶでござるか?」

 心配した虎之助が、穴に向かって呼びかけるが

「地球の中心部ちゅうしんぶはムッチャ熱いですわ〜。助けて下さい〜」

 大丈夫だいじょうぶでは無かった。

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