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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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2人の魔人

 コールド猫座右衛門ねこざえもんたのまれて、仕方しかたなく武蔵むさしは、近くのスーパーまでビールを買いに来ていた。

「このかんビールで良いスよね」

 缶ビールを持ってレジに向かおうとしていると、野菜売り場のキャベツの中にもれている小太郎を見つけた。

「小太郎ッチ!大丈夫だいじょうぶッスか」

 急いでキャベツの中から小太郎を引っ張り出すと

「なんや、武蔵やないか」

 ダメージは有るものの、なんとか立ち上がって話は出来るようだ。

「こんな所まで、ばされたんスカ?」

 このスーパーは、山椒鬼さんしょうきの居る所から300メートルははなれている。

「そうやねん、あのアホ鬼が馬鹿力ばかじからで吹っ飛ばすさかいに。それより武蔵、戦闘中にビールなんか買ったらアカンやろ」

「僕が飲むんじゃないッス。これは、コールド猫座右衛門ねこざえもんに頼まれたんス。それより小太郎ッチ、何か服を着ないとはだかッスよ」

 小太郎は、まだ全裸ぜんらであった。

「いや、服は別に良いわ」

 なぜかことわる小太郎。

「いいこと無いッスよ、全裸ぜんらのままだと警察けいさつを呼ばれるッス」

「警察って、俺らも一応いちおうは警察官やで」

「警官なら、なおさら全裸ぜんら駄目だめッス」

「なんやはだかれてもうてな。今後、俺は服を着ない方向性で生きて行こうと思うんや」

「アホな事を言ってないで、服を着て戦いにもどるッス」

 武蔵は強引に、小太郎を服売り場に連れて行くと

「とりあえず、このパンツとTシャツを買うッス」

 適当てきとうに選んだ服を着せた。

くつも買ってえや。出来たら、ナイキのエアジョーダンが良いな」

 服を着たとたんに、小太郎は贅沢ぜいたくを言い出した。

「このビーチサンダルで我慢がまんするッスよ」

 武蔵は安物のビーチサンダルを小太郎に渡す。

「ビーサンか。俺はナイキのバッシュしかけへんねんけどなぁ」

 文句もんくを言いながらも、しぶしぶビーチサンダルをく小太郎。

「じゃ、戻るッスよ」

 武蔵は小太郎を連れて、足早あしばやに戦いの場まで向かう。



 そのころ崑崙こんろんでは

 下界げかいすべてを見渡みわたせる望遠鏡ぼうえんきょうで、地上の様子を監視かんししていたパーカーは、鬼神とDSPとの戦いを見ていた。

「なんと『フレイムぶたすけ』と『コールド猫座右衛門ねこざえもん』が召喚しょうかんされているではないか!これは、急いで西王母せいおうぼ様に報告せねば」

 パーカーは、急いで西王母せいおうぼの部屋にむと

西王母せいおうぼ様、大変です!」

 と、さけぶように伝えた。

 コミック雑誌ざっしを読みながら、関西ローカルの銘菓めいか『おにぎりせんべい』を、ポリポリと食べていた西王母せいおうぼ

「何ですかパーカー。まるで『フレイムぶたすけ』と『コールド猫座右衛門ねこざえもん』が同時に出現しゅつげんしたかのように大騒おおさわぎして。ちょっと落ち着きなさい」

 と、めた目で、コチラを見ている。

「その『フレイムぶたすけ』と『コールド猫座右衛門ねこざえもん』が現れたんですよ!」

 あわてながら伝えるパーカー。

「なんですって!『フレイムぶたすけ』と『コールド猫座右衛門ねこざえもん』が!」

 おどろきすぎて、西王母せいおうぼは食べかけの『おにぎりせんべい』を落としてしまった。

「あっ、ちちゃった」

 と言いながら『おにぎりせんべい』をひろって食べようとする西王母せいおうぼ

西王母せいおうぼ様。落ちた食べ物は、食べちゃ駄目だめですよ」

ゆかに落ちても、3秒以内にひろえばセーフなのよ」

 パーカーにとがめられても、気にせず西王母せいおうぼはポリポリと食べている。

「地球に氷河期ひょうがきをもたらす『フレイムぶたすけ』と、空からほのおともり立ち人類をほろぼすと言われている恐怖の大王こと『コールド猫座右衛門ねこざえもん』が同時に現れるなんて、不吉だわ」

 不安そうな表情の西王母せいおうぼ

「不吉ですねぇ」

 パーカーも不安をかくせない。

人類じんるい危機ききだわ」

 さすがの西王母せいおうぼも、深刻しんこくな表情である。

「なんとか阻止そししないと」

 2人とも、かって人類が経験した事がない、未曾有みぞううの危機が迫っていることを充分じゅうぶん認識にんしきした。

「じゃ、用がんだら出て行って。私はマンガ読むのにいそがしいから」

 西王母せいおうぼふたたび、せんべいを食べながらマンガを読みだした。

「それでは失礼しつれいしました、西王母せいおうぼ様」

 西王母せいおうぼの部屋から出て、トボトボと歩き出すパーカーであったが

「って、ちがうでしょ!なんとかしないと地上がほろびますよ」

 怒りながらパーカーは、急いで西王母せいおうぼの部屋に戻った。

「わっ、ビックリした」

 おどろいた顔でパーカーを見る西王母せいおうぼ

「ビックリしたのは、こっちですよ。なにか手を打たないと、マンガなんか読んでる場合じゃ無いですよ」

「何かって言われても、困るわ。柴咲しばざきコウの散歩さんぽにも行かなくちゃいけないし」

「犬の散歩なら私がやっておきますから、西王母せいおうぼ様は魔人どもの対処たいしょをして下さい」

「犬の散歩はダメよ、絶対にゆずれないわ」

「なぜです」

「犬を散歩さすのは、私が子供のころからの夢だったのよ!」

「散歩には毎日いってるじゃないですか。一度ぐらい良いでしょう」

 パーカーは、少しあきれた表情をしている。

「いいえ。1度たりとも他人にはゆずりません。そうだ、犬の散歩がてらに魔人どもの様子ようすを見て来ましょう」

「えっ、犬を連れて魔人の所に行くのですか?」

「そうですよ。それが何か?」

「いえ、犬を危険にさらすのはどうかと思いまして」

「別に良いじゃない。だって犬だもの」

「全然、理由になって無いですけど」

「じゃ、行くわよ柴咲コウ」

「危ないから駄目だめですよ」

 柴咲コウの身をあんじて止めるパーカーであったが、西王母せいおうぼは反対を押し切って、柴犬しばけん柴咲しばざきコウと一緒に下界にりて行くのであった。

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