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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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魔人対決

 け出したポピノヒーは、目の前に手頃てごろな物体を見つけると、山椒鬼さんしょうきに向かって高速で投げつけた。

「おぬしを半殺しにして、無理やりにでも拙者せっしゃ芝居しばいを見せるでござる」

 投げられた物体は、またしてもケヴィンであった。

ーーわれながら、素晴すばらしいビッチングで投げれたでござる。おそらく音速は超えているはずーー

 ケヴィンはポピノヒーの予想通り、音速を超える速度で山椒鬼さんしょうきに飛んで行く。

パスッ

 しかし、山椒鬼さんしょうき上手うまくケヴィンをキャッチして、そのまま大リーガーみの完璧かんぺきなフォームのピッチングで投げ返してきた。

 もはや物理学的に、ありえないほどのスピードで、ケヴィンは飛ばされていたが、ポピノヒーにぶつかる寸前すんぜんでパッと消えた。

「うわっ!消える魔球まきゅうでござる」

 おどろくポピノヒー。

「いや。スピードが光速を超えたんで、時空のかべやぶってしまったんだろう」

 加藤が物理学的ぶつりがくてき解説かいせつする。

「まさか光速を超えるとは。ピッチング対決は、拙者せっしゃの負けでござる」

 ガクッと、うなだれるポピノヒー。

「あれほど完璧かんぺきなピッチングが出来るとは、日本ハムにやつ入団にゅうだんすれば来年は優勝できるやもしれん。それにしても、やはり鬼神はあなどれんな」

 加藤のひたいに、ひやあせがにじむ。

 一方いっぽう山椒鬼さんしょうき

「光速を超えてしまうとは、ちょいと本気を出し過ぎたかな」

 と、右肩みぎかたを回しながら、余裕よゆうの表情である。

 圧倒的あっとうてきな実力を見せつけた山椒鬼さんしょうきであった。



 そのころ燕鬼えんきと戦っているコールド猫座右衛門ねこざえもん

スパー

 と、アイコスを吸いながら、くつろいでいた。

「やっぱ、アイコスって充電じゅうでん面倒めんどうくさいんだニャ」

「そんなの吸ってないで、戦うッスよ」

 武蔵むさしかされても、くつろぎ続けているコールド猫座右衛門ねこざえもん


「変なやつ召喚しょうかんしやがって。だが俺様は、もっと変なやつ召喚しょうかんできるぞ」

 みょうなところに対抗心たいこうしんを持った燕鬼えんきは、呪文じゅもんとなえて、自分も魔人を召喚しょうかんした。

 現れたのは、小太こぶとりでえない容貌ようぼうの魔人である。

「魔人よ、やつらを倒すのだ」

了解りょうかいしたのだ」

 燕鬼えんき指示しじされ魔人が、こちらに歩いて来る。

「変なやつが来たっすよ」

「なんかウザそうなやつだニャ」

 2人は一応いちおう警戒けいかいしている。

「俺は『とにかくウザい秋山あきやま』だ。ウザったさでは右に出る者はらん油の魔人なのだ」

 と言って、身体中からだじゅうから油を出し始めた。

「あいつ、体から油を出してるっスよ」

 早くも武蔵はウザがっている。

「俺の油をくらうのだ」

 とにかくウザい秋山は、口から油をき出した。

「うわっ、ウザっ」

 咄嗟とっさける武蔵。

「フギャ!」

 しかし、コールド猫座右衛門ねこざえもんは、油をまともにびてしまった。

大丈夫だいじょうぶッスか?っていうか、少しは敵の攻撃こうげきけたらどうなんスカ?」

「大丈夫じゃ無いニャ!これは、そうとう質の悪い油だニャ」

 油まみれになったコールド猫座右衛門ねこざえもんは、油をめながらも怒っている。

「俺の油は最低品質さいていひんしつなので、料理にも燃料にも使えないのだ」

 なぜか威張いばっている、とにかくウザい秋山。

「とんでもなく使えない、ウザい魔人だニャ」

「たしかに。やつに比べれば、コールド猫座右衛門ねこざえもんの方がマシっスね。山椒鬼さんしょうきおそるべしッス」

 燕鬼えんき召喚しょうかん能力の高さに、驚愕きょうがくする2人である。

 変な魔人召喚対決まじんしょうかんたいけつは、燕鬼えんき圧勝あっしょうであった。


 光速を超えたため異空間いくうかん突入とつにゅうしてしまったケヴィンは、できる限り元の場所と時間に戻ろうと、感覚かんかくましていた。

ーー羅刹らせつといい山椒鬼さんしょうきといい、鬼神のパワーはすさまじいな。とにかく、元いた場所に戻らなくてはーー

 ケヴィンは魔力を使って空間移動を行った。


「なんだ、お前は?」

 スーツを着た上品な男がおどろいている。

 正確に戻ることが出来ず、ケヴィンは、どこかのオフィスの一室に出てしまったようだ。

「なんや君、はだかやないかい」

 なんとそこは、日本テクロノジーコーポレーションの社長室であった。

 仕事の打ち合わせをしていた鬼塚おにずかと川島は、おどろい表情でケヴィンを見ている。

おどろかせてしまって、すいません。僕はケヴィンと言います」

 まずは、謝罪しゃざいして名乗なのるケヴィン。

「なんや事情じじょうがありそうやな。とりあえず、これでも着とき」

 鬼塚は、ロッカーからトレーニング用のジャージを出してケヴィンに渡した。

「ありがとうございます」

 ジャージを着ると、川島から、こうなった経緯けいいを聞かれケヴィンは正直に今までの出来事できごとを話した。

「なるほど。ボルデ本山もとやまはんに召喚しょうかんされて、鬼神の羅刹らせつと戦ってたんか」

 横で聞いていた鬼塚がつぶやいた。

「ボルデ本山の旦那だんなを、知っているのですか?」

「知ってるも何も、本山はんを召喚しょうかんしてよみがえらせたのは俺や」

 鬼塚は得意とくいげに言った。

「そうだったのですか」

一緒いっしょにロシアにも行ったしな。ほんで本山はんは元気にしとるか?」

「いえ。それが、山椒鬼さんしょうきって鬼神に殺されてしまったんです」

やつ残忍ざんにんやからな」

山椒鬼さんしょうきの事も知っているのですか。貴方あなたはいったい何者なんです?」

「俺ら2人も一応いちおうは鬼神なんや。でも、心配せんで良いで、山椒鬼さんしょうきは俺もきらいやさかい」

「鬼神でも派閥はばつがあるのですか?」

「そんなたいしたもんじゃ無いけど、山椒鬼さんしょうき羅刹らせつなんかは過激かげきなグループやな。俺らは、平和主義者やからあらそい事にはかかわらないようにしてるねん」

 アイコスを吸いながら鬼塚は言った。

「そうなんですか。しかし僕は、どうしてもボルデ本山の旦那だんなかたきを取りたいのです」

「気持ちは、わかるが。君の話を聞くかぎり、山椒鬼さんしょうきのことはDSPの連中れんちゅうまかせといた方がえんちゃうか。きっちり殺してくれるやろう」

「でも…。たぶん、あの連中は馬鹿ばかですよ」

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