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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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羅刹との戦い part5

くノ一戦士いちせんしポピノヒーが離脱りだつした後も、炎の魔人フレイムぶたすけは、羅刹らせつ壮絶そうぜつな戦いを続けていた。

 すさまじい炎を出す羅刹らせつに対し、暑がりのフレイムぶたすけは大量の冷気を出して応戦おうせんしている。

 2人の周囲しゅういは、火と冷気がぶつかり合い、大量の蒸気じょうきき出し、視界しかいの悪い異様いような空間となっていた。


「おじょうちゃんの話によると。あの中では、羅刹らせつと炎の魔人が対決してるって事ッスね」

 武蔵むさしがポピノヒーに確認して来たので

「そうでござる。拙者せっしゃ召喚しょうかんしたのは、炎の魔人なのにあつがりのフレイムぶたすけでござる」

 と、ポピノヒーが説明していると

「ちょっと待て。今、フレイムぶたすけと言ったか?」

 緊張きんちょうした表情で加藤が聞いて来た。

「言ったでござる。フレイムぶたすけが、どうかしたのでござるか」

「フレイムぶたすけは、史上最強の氷の魔人で、10万年前に起きた氷河期ひょうがきやつ仕業しわざだと言われている、とんでもない魔人だぞ」

 意外にもフレイムぶたすけは、恐ろしい魔人であった。

「姉さん。そんなやつ召喚しょうかんしたらダメですやん」

 小太郎は、腕組うでぐみしながらポピノヒーを、上から目線めせんとがめた。

「フルチンのやつに、説教せっきょうされたくないでござる」

 ポピノヒーは、少し不機嫌ふきげんになった。

「それって、本当にぃ〜。加藤さん、なんか話をってないスカ?」

 武蔵は加藤の話を、あまり信用していない。

「残念ながら、それは本当のことです」

 いつの間にか、もどって来ていた邪妖精じゃようせいケヴィンが会話に入って来た。

「また、フルチンの男が増えたでござる」

「フルチンで、すいません。服を取りに帰る時間がなくて。でも、その加藤さんの言うことは事実です」

 ケヴィンが説明する。

「なんで、おぬしは、そんな事を知っているのでござるか?」

「それは、いずれ僕の敵なると思って調べてみたんです。彼は普段ふだん冥王星めいおうせいに住んでいるのですが、10万年に一度、地球にやって来ては氷河期ひょうがきこす、凶悪な魔人なのです」

 ケヴィンは、フレイムぶたすけについてくわしくかたった。

「それは、それで良いとして。なんでおぬしは、はだかなのでござるか?」

「それはそれで良くは無いですが。僕がはだかなのは、アナタがぶつかって来たからですよ」

 ケヴィンは虎之助の顔を見ながらこたえる。

「ぶつかっただけではだかになるって、おかしいでござる」

「確かに変な話ですけど、事実なんです。なぜか服がげたんです」

「たぶん、お前が露出ろしゅつ趣味しゅみがある変態へんたいやからや」

 小太郎が、するど指摘してきをして来た。

「君だって、はだかじゃないか」

「俺がはだかなワケないやろ、アホかお前は」

「いや、お前ははだかだろ」

 加藤に指摘してきされて、小太郎は自分の体を見てみると、全裸ぜんらであった。

「あっ、そうやった。忘れてた。俺ははだかやったんや」

「小太郎はアホでござる」

 大笑いするポピノヒー。


ビキーン!!

 その時、巨大な殺気がポピノヒーたちをおそった。

 今までに経験したことが無いほどのするどい殺気であった。

 殺気がはっせられた方向を見てみると、2人の屈強くっきょうそうな男が歩いて来る。鬼神の山椒鬼さんしょうき燕鬼えんきである。

 羅刹らせつなら、大阪DSPのメンバーなど瞬殺しゅんさつするものと思っていたのだが、意外に手こずっているのを見て、加勢かせいしに来たのであった。

「なんだ、お前らは」

 真っ先にケヴィンが、男たちに近づいて行く。

「ケヴィン!そいつらからはなれるんだ!」

 危険を感じて、ボルデ本山もとやまが注意するが、山椒鬼さんしょうき素早すばや手刀しゅとうをケヴィンに向けてき出した。

「危ない!ケヴィン」

ズバッ!

「ぐはっ!」

 手刀は、ケヴィンをかばったボルデ本山の背中から腹部をつらぬく。

旦那だんな様!」

 倒れたボルデ本山をだききかかえながらさけぶケヴィン。

「ケヴィン気をつけろ、やつらは鬼神だ」

 そう言いながらもボルデ本山は、今にも息絶いきたえようとしていた。

「まだ恩返おんがえしも出来ていないのに、死んだらダメだ旦那だんな様」

吾輩わがはいはもう良いんだ、一度は死んだ身だ。だが、復活ふっかつしてからの人生も悪くは無かったぞ」

 鬼塚おにずかやDSPのメンバーたちとのおもい出が、走馬燈そうまとうのようによみがえる。

旦那だんな様!」

 ボルデ本山の身体からだはいとなり、風にかれて無くなっていく。

「おのれ貴様きさまら。ゆるさんぞ!」

 怒りとかなしみがあふれ出し、ケヴィンは山椒鬼さんしょうきに向かって行く。

「ふん、雑魚ざこどもが。くさい三文芝居さんもんしばいを見せやがって」

 山椒鬼さんしょうきは、向かって来るケヴィンを蹴飛けとばすと「ペッ」と、ツバをいた。

三文芝居さんもんしばいだと。旦那だんな様を馬鹿ばかにしやがって、取り消せクソ鬼!」

 倒れながら泣きさけぶケヴィン。

「そうでござる、取消とりけすでござる。三文芝居さんもんしばいっていうのは、こうやるのでござる」

 何故なぜか、ポピノヒーが一人で芝居しばいを始めだした。

ゆるしておくんなはれ貫一かんいちさん」

 そこで、女性を蹴飛けとばす演技えんぎをしてから

「ええい、金に目がくらみやがってこのあま。来年の今月今夜こんげつこんやのこの月を拙者せっしゃの涙でくもらしてみせる」

 と、金色夜叉こんじきやしゃの名場面を熱演ねつえんしたが、特に誰も見ていなかった。

ーーしまった。芝居しばいが古すぎたでござるーー

 ポピノヒー痛恨つうこんのミスであった。


「本山はん」

 小太郎も、ボルデ本山が殺されたことにショックを受けて、すわんでしまった。

「小太郎、気持ちはわかるがやつらは鬼神だ、らなければられるぞ」

 加藤は小太郎を立たせると、山椒鬼さんしょうきに向かって刀をかまえた。

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