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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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羅刹との戦い part2

「ヤバいッスね。鬼神きしんは、やっぱり一筋縄ひとすじなわではいかないス」

 武蔵むさしは二刀流で、巨大化した羅刹らせついどんで行くが、まったくダメージをあたえる事ができない。

天才剣士てんさいけんしの俺がるから大丈夫だいじょうぶや、まかせといて」

 小太郎こたろうは強気であるが、なぜか後ろから、自分に刀を向けている虎之助とらのすけが気になる。

「あのう、姉さん。俺に刀をむけんといて、もらえますか」

 めてもらうように言ってみたが

「言いかりでござる。拙者せっしゃ羅刹らせつに刀を向けているでござる」

 と言いながら、虎之助は、ジリジリと小太郎の背中に近づいて来る。

ーークソっ、羅刹らせつたおすと見せかけて、俺をるつもりやなーー

 小太郎は、羅刹らせつよりも強い殺気を背後はいごから感じ、くるっと反転はんてんしすると、虎之助に刀を向けた。

「小太郎。なぜ刀を向ける。拙者せっしゃり合うつもりでござるか」

 虎之助の目がするどく光った。

らいでか!」

 刀を向けたまま、虎之助にんで行く小太郎。

 強大きょうだいてきである羅刹らせつに背を向けて、何故なぜか小太郎と虎之助の死闘しとうが始まるのであった。



 武蔵や加藤が、羅刹らせつとの死闘しとうり広げている時、邪妖精じゃようせいケヴィンは、まだはだかで飛んでいた。

 羅刹らせつに全力で投げられて、そのままっ飛び続けているのである。

ーーしかし、鬼神の力というのはすごいものだな。俺様をこんな所まで投げるとはーー

 飛んでいるうちに、太平洋の海上まで来てしまった。

ーーなぜか、全裸ぜんらになってるし。しかし、はだかで海の上を飛ぶのは気持ちが良いな、少し股間こかんがスースーするがーーーー

 と、気持ちよく飛んでいたが、下を見ると海中にはさめが大量に泳いでいた。

ーー海に落ちたらヤバそうだなーー

 あまりおよぎが得意でないケヴィンは、移動魔法いどうまほうを使って一旦いったん、家に帰ることにした。


ガラッ

「ただいま」

 玄関げんかんとびらを開けて中に入ると

「あら、早かったのね」

 母親のマリンが、洗濯物せんたくもののアイロンがけをしていた。

「まだ、仕事の途中とちゅうだけど、服を取りに帰っただけなんだ」

「あなたぱだかじゃない!どうしたの?」

 マリンはケヴィンの姿を見ておどろいた。

「ちょっと手強てずよい敵がいて、戦闘中にげたんだ」

「戦闘中に、服がげる事なんてあるの?」

本来ほんらいなら、ありえないんだけど」

 ケヴィンは、タンスから自分の服を取り出そうとしたが

「あれっ、母さん。僕のお気に入りの赤いシャツはどうしたの?」

 着ようと思っていたシャツが無かった。

「ああ、あのシャツはよごれがひどかったから、クリーニングに出したわよ」

ーーなら仕方しかたない、この青いチェックのシャツにしようーー

 ケヴィンがシャツを着ようとしていると

「アンタ、先にパンツからきなさいよ」

 と、マリンに注意された。

ーー確かにそうだ。フルチンの状態で、パンツより先にシャツから着るやつは、とんでもない馬鹿ばかだーー

 ケヴィンはパンツを探して、お気に入りのボクサーパンツをいた。

 服を着終きおわると

「じゃ、ボルデ本山もとやま旦那だんなから召喚しょうかんされてるんで、頑張がんばってくるよ」

 マリンに声をかける。

「ボルデ本山さんには、裁判さいばんの時にお世話せわになったからしっかりやるのよ」

 かってケヴィンが魔法界の軍隊にやぶれ、国家反逆罪こっかはんぎゃくざいで死刑が確定かくていしかけたときに、ボルデ本山が裁判所さいばんしょに圧力をかけてくれたおかげで、罰金ばっきん2千円でんだのだ。

 ケヴィンにとって、ボルデ本山は命の恩人であった。

「わかってるよ」

 と言うと、ケヴィンは玄関げんかんを出て道路へと出ていく。

ギギッ!

ドカーン!

 しかし、家を出るなり、大型トラックに衝突しょうとつされてばされた。

 吹っ飛ばされたいきおいで、ケヴィンの服が全部脱ぜんぶぬげてしまい、またもやはだかになってしまった。

 全裸ぜんらで飛ばされながらケヴィンは

ーーボルデ本山の旦那だんなへの恩返おんがえしのチャンスだったが、今回の任務は無理かもしれないーー

 と思った。



 加藤と武蔵むさし、ボルデ本山の3人が羅刹らせつ死闘しとうり広げているそばで、小太郎と虎之助が殺し合いおこなっていた。

「おい、お前ら。いい加減かげんにしろよ、羅刹らせつたおすのが先だろ」

 あきれた加藤が、小太郎と虎之助の戦いを止めようとした。

「やかましい、いぼれが!羅刹なんかよりも、こっちの悪魔の方がヤバいんや」

「コヤツをこの世から抹殺まっさつしないと、目覚めざめが悪くなるでござる」

 2人とも、まったく止める気配けはいがない。

ーーしょうがない。ワシの秘術ひじゅつ仲直なかなおりさせるかーー

 加藤は呪文じゅもんとなえると、虎之助と小太郎に向けて『大親友の術』を行った。

 すると、とたんに2人から殺意が消えた。

「良く考えると、今まで、姉さんには助けてもろた事が何度かありましたな」

「小太郎こそ、いろいろ拙者せっしゃ世話せわをしてくれたでござる」

 2人は、ハグしあいながら仲良くなっている。

ーーちょっとウザいが、成功したなーー

 満足そうに2人をながめる加藤であったが。

パコーン!

 急に虎之助が小太郎をなぐった。

「痛っ!」

 なぐられたほほを押さえる小太郎。

「急に、どうしたんだ虎之助?」

 おどろいて加藤がたずねる。

「小太郎が拙者せっしゃの、おしりさわったでござる」

 虎之助は、プリプリ怒っている。

偶然ぐうぜん、手がれただけでんがな、姉さんの貧相ひんそうしりなんか、だれさわりまへんで」

 小太郎は弁明べんめいするが

「言いわけは聞かないでござる。拙者せっしゃの、けしからんボディにさわったやつは、誰であろうと殺すでござる」

 虎之助は刀をいて、小太郎にりかかって行く。

「姉さんは、けしからんボディと言うより、お子様こさまボディや。こっちも、だまってられるわけにはいきまへんな」

 と、小太郎も刀をりかざして応戦おうせんする。

ーーヤバい。コイツら、また殺し合いを始めよったーー

 2人の様子を見て、あきれながらもあせる加藤であった。

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