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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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羅刹との戦い

 加藤は武蔵むさしとボルデ本山もとやまともに、羅刹らせつと戦っていた。

 やはり、羅刹らせつは強くコチラの攻撃こうげきは、ほとんど通用しない。

「このままでは、ラチがあかん。式神しきがみ召喚しょうかんしよう」

 加藤は御札おふだを取出し、呪文じゅもんとなえたが

ボッ

 と、御札おふだが燃えてしまった。

羅刹らせつが出している強い妖気ようきで、式神が出せないんスよ」

 武蔵が言うとおり、羅刹らせつが出すすさまじい妖気ようきのせいで、式神がふうじられているようだ。

「おのれ、羅刹らせつのアホ野郎やろう

 くやしがる加藤。

「ならば、吾輩わがはいが魔法で、強力な妖精ようせいを呼び出そう」

 式神しきがみは無理でも、妖精ようせいならば呼び出せるかもしれない。

 ボルデ本山が、つえりかざすと

ポン!

 という音とともに、一人の妖精ようせいが現れた。

「おひさしぶりでございます旦那だんな様」

「お前は、邪妖精じゃようせいケヴィン!なんと、羅刹らせつ妖気ようき影響えいきょうされて邪妖精じゃようせい召喚しょうかんしてしまった」

 邪妖精じゃようせいとは、妖精とは名ばかりで、非常ひじょう邪悪じゃあくな魔族の一種である。

「心配いりません旦那だんな様。私めが望み通りの者を殺してまいります」

 邪妖精ケヴィンはボルデ本山の前で、ひざまずいている。

「なかなかたのもしい事を言う妖精じゃないか。じゃ、羅刹をっくれよ」

 と、加藤が言うと。

「テメエには聞いて無いんだよ、だまっとけやくそジジイ!」

 加藤はケヴィンに怒られてしまった。

「うわっ。口の悪い妖精じゃな」

 どうやら邪妖精じゃようせいケヴィンは、ボルデ本山の言うことしか聞かないようだ。

「あの羅刹という鬼をるのじゃ」

 ボルデ本山が羅刹を指さしながら、ケヴィンに指示する。

「あれは、なかなか強そうな鬼ですな旦那だんな様」

 ケヴィンはタバコを吸いながら、のんびりと羅刹をながめている。

「早くって来いよ」

 いらついた加藤が、ケヴィンをかすが

だまっとれ死にぞこない。お前こそ早く死ねや!」

 と、口汚くちぎたなののしられてしまった。

「おい、ボルデ本山。コイツは口が悪すぎるぞ、早く羅刹をらせろ」

 ボルデ本山に催促さいそくする加藤。

「そんな事を言われても、邪妖精じゃようせいは、そう簡単に言うことを聞かないのだ。基本的には邪悪じゃあくな者だからな」

大丈夫だいじょうぶでございますよ旦那だんな様。あんな鬼など、さっさと殺して来ます」

 そう言うとケヴィンは、くわえタバコで羅刹らせつに向かって行く。

「あいつ余裕よゆうを見せているが、そんなに強いのか?」

 加藤がボルデ本山にたずねた。

「ケヴィンは、かつて一人で魔法界まほうかいの軍隊と戦ったほど高い戦闘能力せんとうのうりょくを持っている。もしかしたら勝てるかもしれん」

「一人で軍隊と戦うとはすごやつだな。それで、勝ったのか?」

しかったのだが、結局けっきょくは負けてとららえられたところを吾輩わがはいが助けてやったんだ」

スタッ

 ケヴィンは、高く跳躍ちょうやくすると

「ケヴィン・ストロング・キック!」

 と、わざの名前を言いながら、羅刹らせつりをいれる。

ドシッ!

 両手で防御ぼうぎょする羅刹らせつ

ーーなんと重たいりだ、防御ぼうぎょしなければ危なかった。こやつ、とんでもなく強いーー

「ほう、なかなかの攻撃力こうげきりょくだ。貴様きさまらの中にも骨のある男がいるな」

 羅刹はうでをさすりながら、てきであるケヴィンをめた。

「俺様は邪妖精じゃようせいケヴィン。いずれ、この世界を支配する者だ」

 ケヴィンは、大きな声で世界征服せかいせいふく宣言せんげんした。



 そのころ小太郎こたろうは、まだ虎之助とらのすけから逃げまわっていた。

 すぐ後ろには、怒っている虎之助が追いかけて来ている。

ーークソッ、あの悪魔あくまから逃げる方法は無いんかーー

 やみくもに逃げているうちに、いつの間にか元にいた場所までもどって来てしまった。

ーーあれっ、見た事ない変なやつがいる、あらたな敵が現れたんやな。よっしゃ、姉さんともども始末しまつしたれーー

 小太郎は走りながら邪妖精じゃようせいケヴィンの首をつかむと、全力で虎之助に投げつけた。

「くらえ、必殺、敵弾頭てきだんとうロケット投げや!」

その時、投げられたいきおいで、ケヴィンのズボンとくつげた。

「うわっ!変なのが飛んで来たでござる」

 おどいた虎之助は、邪妖精じゃようせいケヴィンを受け止めると、ドッチボールのように、かんぱつ入れず投げ返した。

 その時、投げられたいきおいで、ケヴィンのパンツと靴下くつしたげた。

「クソッ、あの悪魔あくまめ、投げ返してきよった。しょうがない、鬼だけでもっとくか」

 小太郎は邪妖精じゃようせいケヴィンをキャッチすると、今度は素早すば羅刹らせつに向かって投げつける。

 その時、投げられたいきおいで、ケヴィンの上着うわぎとシャツがげた。

ボゴッ!

 ケヴィンは羅刹に直撃ちょくげきした。

 羅刹は、もどって来た小太郎と虎之助の様子ようすを見ていたのだが、虎之助に投げ返すと思っていたケヴィンが、意外にもコチラに飛んで来たので、反応がおくれて、まともに直撃ちょくげきしてしまった。

「おのれ、ゆるさん!」

 思わぬ攻撃を受けてしまったため、怒った羅刹らせつは、ケヴィンの首根くびねっこをつかむと、全力で小太郎に投げつけた。

 その時、投げられたいきおいで、ケヴィンのズラがとれた。

「やべえ」

 とっさにける小太郎。

「うわっ!」

 小太郎がけたので、虎之助に向かってハゲで全裸ぜんらのケヴィンが飛んで来た。

 間一髪かんいっぱつでケヴィンをけると

「あのクソ鬼、ブッ殺すでござる」

 いかくるった虎之助は、全力で暗黒闘気あんこくとうき羅刹らせつに向けてはなった。

ーー拙者せっしゃに、全裸ぜんらの男を投げつけて来るとは、ゆるさないでござるーー

「なんだぁ、ものすごい暗黒闘気がこっちに来る」

 羅刹は咄嗟とっさ妖気ようきをまとい防御ぼうぎょする。

ドガッ!

 暗黒闘気が妖気にぶつかり、あたりに爆音ばくおんひびききわたった。

ーー羅刹が防御ぼうぎょにまわっている。いまッスーー

 好機こうきとみて、武蔵が背後はいごから、二刀流で羅刹にりかかる。

ズバズバ!

 羅刹の右腕みぎうでと首が切り落とされた。

ボトッ

 地面に首とうでが落ちる音がする。

ったか」

 加藤とボルデ本山が近づいて来た。

 首と右腕みぎうでが無く、暗黒闘気あんこくとうきで真っ黒になった羅刹らせつが立っている。

「死んでいるようだが、ねんのためだ」

 加藤は羅刹のむねを刀でそうとしたが

「待て、加藤」

 と、ボルデ本山に止められた。

「ムッ、なぜ止める?」

 羅刹の身体からだが徐々に大きくなって来ている。

「下がるんだ、加藤」

 ボルデ本山は、加藤をっりながら後方へと下がった。

バキバキ

 異様いような音とともに、羅刹の首と右腕みぎうでが再生されていく。

 頭部には巨大な角が左右からえており、身長も膨張ぼうちょうして3メートルを超える巨体となっている。

「この姿になるのは千年ぶりだ。貴様きさまら、もう生きては帰れんぞ」

 恐ろしい姿で巨大化した羅刹らせつは、口から妖気ようきき出しながら、太い声で言った。

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