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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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スター誕生

「ガキのわりには頑張がんばった方だが、もう終わりだ」

 羅刹らせつは剣を、へばっている小太郎こたろう喉元のどもとに向けた。

「死ね」

ーーアカン、もうられるーー

 と、小太郎が観念かんねんした時。

カシャン!

 分銅ぶんどう付きのくさり羅刹らせつの剣をからめ取った。

「何者だ」

 くさりが飛んで来た方向を見ると、加藤であった。

大丈夫だいじょうぶか、小太郎」

 加藤が声をかける。

 その後ろに、武蔵むさし虎之助とらのすけにボルデ本山もとやまも居る。

んな、来てくれたんや。でも、どうしてココってわかったんや?」

「気になって、スマホで位置情報いちじょうほうを調べたんだ」

 ボルデ本山が説明した。

んなで協力すれば、なんとかなるかも知れないッス」

 武蔵の言うとおり、ここに居る5人でかかれば、羅刹らせつを倒せる可能性がありそうだ。

拙者せっしゃ羅刹らせつ、おぬしを倒すでござる」

 羅刹らせつに向かって、虎之助が剣を向ける。

 結局けっきょく、虎之助も小太郎を助けに来てくれたようだ。

ーー良かった。さすが姉さん、たよりになるでーー

 小太郎がホッとしたのも、つかの間

「だが、その前に。小太郎、お前を殺すでござる」

 と言いながら、小太郎に向かって走って来た。

 やはり、小太郎がゆるせないらしい。

ーーうわっ!姉さんを甘く見てた。やっぱり悪魔あくまやーー

「姉さん、もうカンベンして下さいよ」

 小太郎は全速力で逃げた。

「待つでござる」

 それを追う虎之助。

 小太郎と虎之助が居なくなり、大阪DSPのメンバーは、いきなり戦力が半減してしまった。

「これはマズいぞ。3人では羅刹らせつに勝てぬ」

 あせり出す加藤。

「5人でも3人でも、どのみち俺には勝てぬよ」

 羅刹らせつは、るぎない余裕よゆうを持っている。

「やってみなきゃわからないッス」

 武蔵は2本の刀を持ち、二刀流で羅刹らせつに向かって行った。



 そのころ、南国のビーチでは、妖怪尻ようかいしりふきとゴリラバーグ監督かんとく交渉こうしょうが続いていた。

「それで報酬ほうしゅうはいくらです?僕は時給じきゅう350円以上じゃないとはたらきませんよ」

 地味じみ報酬ほうしゅう要求ようきゅうする妖怪尻ようかいしりふき。

「そうだな、50万ドルでどうだい?」

 なんと、ゴリラバーグは、50万ドル(日本円で約5000万円)を提示ていじして来た。

「ギリいけますね」

 ドルの価値かちをわかっていない妖怪尻ようかいしりふきは、適当てきとう了承りょうしょうする。

 そこへ、威厳いげんのある老紳士ろうしんしが、やって来て

「待て、そいつはワシの最後の映画の主演しゅえんをしてもらう」

 と、ゴリラバーグに向かって言った。

 その老紳士ろうしんしを見たゴリラバーグ監督は、目をうたがった。

「アナタは猫澤明ねこざわあきら監督かんとく!世界のネコザワがどうしてココへ?」

 どうやら、この老紳士ろうしんしはゴリラバーグ監督もはばかる、超大物らしい。

「ちょっとバカンスをねて、次回作の構想こうそうりに来たんじゃ」

「世界のネコザワが相手なら、この男はゆずりますよ。ぜひ、名作をって下さい」

 と、あっさりゴリラバーグは引き下がった。

「それで、ネコザワさんの映画では、僕はどんなやくなんですか?」

 自分の意思いしとは関係なく話が進んで行くので、妖怪尻ようかいしりふきは心配になり聞いてみた。

「『北極ほっきょくで1ヶ月1万円生活』というドキュメンタリー映画じゃ。ヤラセは一切いっさいなく、ガチで北極ほっきょくで1ヶ月1万円で1年間生活してもらう」

 思ったより100万倍ハードなやくであった。

「オオッ、それは素晴すばらしい。必ずに行きます」

 何故なぜか、ゴリラバーグは大喜びしている。

「しかも、出演者きょうえんしゃは君と北極熊ほっきょくぐまのニコライ君じゃ」

 共演者きょうえんしゃも思ったよりハードである。

「あの、それで1ヶ月1万円生活って事は、北極に買い物する店とかがあるのですか?」

 妖怪尻ふきは、もっともな質問をした。

「店なんか北極にあるワケなかろう、それどころか飲み水や電気もないわ。おかしな事を言う男じゃのう」

 猫澤ねこざわ監督は笑いながら答えた。

「では、申し訳ありませんが、おことわりします」

 当然とうぜん妖怪尻ようかいしりふきは辞退じたいする。

何人なんびとも、ワシのオファーを断ることは出来んぞ」

 急に猫澤ねこざわの表情がきびしくなった。

 いつの間にか屈強くっきょうな男が2人、左右に立ちふさがっている。

「彼らは助監督じょかんとくとカメラマンだ。ワシからは、逃げられんぞ」

ーーこれはヤバい。テレポートで逃げようーー

ガチャ

 助監督が妖怪尻ようかいしりふきの右手に金属製きんぞくせい腕輪うでわをはめた。

「逃げようとしても無駄むだじゃぞ、お前さんの腕に小型爆弾こがたばくだん仕掛しかけた。ワシから100メートルはなれると大爆発するようにセットしてある」

「ええっ、アンタ本当に映画監督ですか?」

「ワシは世界のネコザワじゃ、良い映画をるためには手段しゅだんは選ばん。だが、安心しろ、共演者きょうえんしゃのニコライ君は、訓練されて非常におとなしい熊だ」

 猫澤ねこざわは、妖怪尻ふきを安心させようと、ニコライ君の安全性を説明をする。

「監督。ニコライ君はスケジュールの都合つごうで出演を断わられました。代わりに、人をおそって殺傷処分さっしょうしょぶんを受ける予定の、凶暴きょうぼう人食ひとくぐまのガーレン君が出演することになっています」

 助監督が訂正ていせいする。

「やはり、おことわりします」

 共演者きょうえんしゃが、ガーレン君という事で、再度、妖怪尻ようかいしりふきは辞退じたいした。

カチャ

 カメラマンが妖怪尻ようかいしりふきの左手にも、金属製きんぞくせい腕輪うでわをはめた。

「これは」

「それも小型爆弾こがたばくだんじゃ。ワシの気分次第きぶんしだいで半径5000メートルが吹き飛ぶようになっておる」

「それじゃ、アナタも死ぬじゃないですか」

 半径5000メートルともなると、恐るべき威力いりょくである。

 猫澤ねこざわたちも、えをくって爆死ばくしするであろう。

「ワシは、いっこうにかまわん」

 本当にかまわないといった顔をする猫澤ねこざわ

ーーこのじいさん、マジでヤバいーー

 というわけ妖怪尻ようかいしりふきは、否応いやおうなしに『北極ほっきょくで1ヶ月1万生活』に出演する事となる。

 しかし、妖怪尻ようかいしりふきは、このやく見事みごとえんじぬいて、国際的なトップスターとなるのであるが、この時点では知るよしもなかった。 

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