表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
124/149

ゲス星

「みんなよろこぶぞ」

 安倍康晴あべやすはるが、一人の男を連れてDSPの宿舎しゅくしゃにやって来た。

「こんにちは、安倍さん。そちらの方は、どなたですか?」

 玄関げんかんまで岩法師いわほうし出迎でむかえる。

「ほら、この前に言ってた、顧問こもん代理だいりをしてくれる人だよ。果心居士かしんこじさんだ」

ーーそういえば、以前に安倍さん、そんな事を言ってたな。夜叉やしゃ羅刹らせつの件ですっかり忘れていたーー

「岩法師です、よろしく」

 とりあえず挨拶あいさつしたが、続けて

「それが、加藤さんがもどって来たんですよ」

 と、バツが悪そうに言った。

「なんだって!」

ーー加藤さんが消息しょうそくったと聞いて、急いで京都から果心かしんさんを連れて来たが、遅かったか。いや、しかし人員じんいんは多いほうが良いはずだーー

 安倍は気を取り直すと

「とりあえず、中で話をしましょう」

 果心居士かしんこじを、リビングまで案内していく。

 リビングでは、狂四郎きょうしろう左近さこんがくつろいでいた。

「やあ、君たち。この方は果心居士かしんこじさんだ」

「はあ、よろしく」

 2人は、よく事情じじょうがわからずに返事をする。

「他のメンバーは、どこに居るんだ?」

 安倍が岩法師にたずねた。

「加藤さんがんなを引き連れて、羅刹らせつという鬼神を探しに行ってるんです」

「なにっ。今、羅刹らせつと言ったか!」

 果心かしんが初めて口を開いた。

「はい、言いましたが」

やつが大阪に来ているのか?」

「ウチのメンバーの一人が、昨日、羅刹らせつおそわれたらしいんです」

 岩法師が説明する。

「加藤は、何人連なんにんつれて行ったんだ?」

「ええと、虎之助とらのすけ小太郎こたろう武蔵むさしの3人です」

「武蔵というと、あの宮本武蔵か。だが、武蔵がいるといっても、そんな少人数では、羅刹らせつには勝てんぞ」

 果心かしんは自信を持って断言だんげんした。

「あと、DSPのメンバーでは無いのですが、ボルデ本山もとやまという魔法使いもすけとして同行しています」

「なんじゃ、そのあやしいやつは」

 果心かしんは、あきれた様子で岩法師を見つめた。



「ここで、羅刹らせつおそって来たでござる」

 虎之助たちは、加藤に連れられてアメリカ村まで来ていた。

 いつもの、ライアン達のまり場である。

「なるほど、におうな」

 加藤の鼻には、何かにおいがするようだ。

「それは、このタコ焼きのにおいではござる」

 虎之助は、ライアンが食べているタコ焼きをゆびさした。

「なんだ、タコ焼きのにおいか」

 ガッカリする加藤。

「姉ちゃん、俺とキツネりに行けへんか」

 いつの間にか、小太郎がマーゴットをデートにさそっている。

「行かないわよ。キツネが可哀想かわいそうでしょう!」

 いつも通りマーゴットにことわられた。

「また、お前か。マーゴットがいやがってるじゃないか、いい加減かげんあきらめろ」

 ライアンにもとがめられた。

「うるせい!俺は彼女がしいんや!」

 小太郎がキレた。

「お前はアホだから無理だ」

 ライアンにアホと言われてしまった。

「なんやと、このアメリカンサイコ野郎やろう

 言い返す小太郎。

「お前だってジャパニーズ狂人きょうじんだろ」

「おいおい、こんな所で喧嘩けんかはやめろよ」

 2人の様子ようすを見かねたアンドロポプが止めに入った。

「テメエはだまっとけや。ロシアン・キング・オブ・ゲス人間が!」

 アンドロポプにも暴言ぼうげんく小太郎。

「なんだと!この、彼女いないれきイコール年齢ねんれいの、童貞どうていクズ日本人のクセに」

グサッ!

「くふっ」

 アンドロポプの言葉ことばが、小太郎のむねに深くさる。

ゴフッ!

 小太郎は血をいて倒れた。


「おい、虎之助。小太郎と喧嘩けんかしてるアイツらは何者だ?」

 加藤は、ライアン達の素性すじょうが気になるようだ。

拙者せっしゃ舎弟しゃていでござる」

 虎之助が答える。

「アイツらに、小太郎が再起不能さいきふのうにされてるぞ」

 倒れている小太郎を見て、さすがに加藤は心配している。

「あっ、ホントでござる。小太郎、大丈夫だいじょうぶでござるか」

 虎之助は小太郎をこそうとした。

「ううっ、姉さん。俺はもうアカン。このさい、清水きよみず舞台ぶたいから飛びりるつもりで、思いきり妥協だきょうしますわ。姉さん、アホで貧乳ひんにゅうでも我慢がまんしますので、セクシーな彼女が出来るまでのあいだだけ、俺の彼女になって下さい」

 と、ありえないほど失礼しつれいな恋の告白をした。

「なるわけないだろ!死ね、ギャラクティカ・アッパー」

バキッ!

「うへ〜」

 虎之助のすさまじいアッパーカットで、小太郎は天高てんたかく吹っ飛ばされて行く。

キラッ

 あまりにも高く飛ばされ過ぎて、小太郎は星になった。



 そのころ宿舎しゅくしゃでは。

岩法師いわほうしのおじちゃん。昼間なのに、お星さまが見えるよ」

 にわにいた左近さこんが、空にかがやく星を見つけた。

「ああ、あれは、とんでもないゲスな行為こういをした男が星になった『ゲス星』だな。我々、正義せいぎ味方みかたであるDSPにはえんのない者だ。それより、もうすぐ昼飯ひるめしだ、中に入ろう」

「はーい」

 左近は素直すなおに、岩法師とリビングへ向うのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ