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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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西王母と柴犬

「やっと見つけたわよ。いつまで、こんな所にいるのよ」

 冥界派めいかいはらって冥界めいかいに落ちていたポセイドンの前に、ヘスティアがむかえに来た。

「ああ、ヘスティアか。ちょうど良い、これを見てくれ」

 ポセイドンがヘスティアに赤子あかごを差し出す。

「なによ、この赤ちゃん?」

冥界めいかいに来てから、もしかしたらと思いさがしてたんだが、この赤子がゼウスだ」

「この子がゼウスの生まれ変わりなの?」

「そうだ。この子が成長すれば、ゼウスが復活するハズだ」

「別にアイツは、もういらないんじゃない。アホでスケベだし」

「冷たいな。俺たちの兄弟だろ」

 と、2人が話していると

「そこの、ズッコケ3人組。やっぱりここに居たわね」

 なんと、西王母せいおうぼも冥界まで来ていた。

「西王母さん、どうして冥界ここに?」

 ヘスティアがおどろいてたずねる。

「コイツらを渡しに来たのよ」

 ドサッ

 と言って、無造作むぞうさ瀕死ひんしのハーデースをヘスティアの前に放り投げた。 

「ハーデース!生きてたのね」

 死にかけてはいるが、まだ生きているハーデースを見て、ヘスティアは喜んでいる。

「アンタ、回復系かいふくけいの魔法がつかえるんでしょ。なおしてあげなさい」

「わかったわ『アラビン・ドビンデブマッチョ』」

 ヘスティアが呪文じゅもんとなえると、ハーデースの怪我けがが少しづつ治っていく。

「ありがとう、西王母さん」

 ヘスティアは、感謝かんしゃしておれいを言った。

「礼を言うのは、まだ早いわよ。アンタたちには、この子の面倒めんどうを、みなくてはいけないのよ」

 西王母の後ろから、一人の少年が現れた。

「その子は誰です?」

 ポセイドンが聞いた。

「この子は白鬼はっき。あなた達からしたらクロノスよ」

「この子がクロノス!」

「私のじゅつで、瘴気しょうき邪悪じゃあくエネルギーを取りのぞいたら、こうなったの。あなた達は、これからクロノスと和解わかいして、仲良く平和に暮らすのよ」

「ええっ!それは、ちょっと」

 ポセイドンとヘスティアは、そろってこばんでいる。

ことわれば、ハーデースを元のように半殺しにして、クロノスも以前の邪悪じゃあくな白鬼にもどすわよ」

「ううっ」

 確かに、ハーデースを助け、クロノスから邪悪じゃあくエネルギーを取り去ってくれた事は大きい。

 今さら、元に戻されたら大変だ。それに、今のクロノスなら害は無さそうである。

「わかりました。この子と仲直なかなおりして面倒めんどうをみる事にします」

 しぶしぶポセイドンは了承りょうしょした。

「わかれば良いのよ。じゃ、私は帰るわ。行きましょう柴咲しばざきコウ」

 西王母は、柴犬しばけんの柴咲コウと一緒いっしょに帰ろうとした。

ーー西王母さんは、ワガママで変な所もあるが、平和を望む聖女だったんだなーー

 と、ポセイドンが感心していると

「ちょっと、なにグズってるの。帰るわよ」

 柴咲しばざきコウが、冥界からるのをいやがっている。

 しばらく、冥界でハーデースに地獄の番犬としてわれていたので、冥界が気にっているようだ。

冥界ここに残りたいの?」

 西王母が柴咲コウに聞いてみた。

「ワン」

 柴咲コウが、うなずく。

 やはり、残りたいらしい。

生意気なまいき言うなクソ犬!西王母せいおうぼチョップ!」

ボコッ

「キャヒン!」

 西王母は、チョップで柴咲コウを失神さると、かかえて持って帰ろうとしている。

「西王母さん、その冥界ここに置いて行った方が良いと思いますけど」

 柴犬しばけんを心配したヘスティアが止めに入った。

「ふざけんな!私は子供のころから犬をうのが夢だったのよ!」

 と、怒鳴どなると、西王母は柴咲コウを連れて行ってしまった。

 ポセイドンとヘスティアは

「平和を愛する聖女が動物を虐待ぎゃくたいしてる」

 と、柴犬しばけんに同情するのであった。

 


「今まで、君らに冷たくしていたのにはわけがある」

 DSPの宿舎しゅくしゃでは、加藤かとう狂四郎きょうしろう小太郎こたろうに説明していた。

「どんな訳だよ、適当てきとうなこと言ってたらブッ殺すぞ」

「そうや。お前を殺すことにかんしては、一片いっぺんの迷いもないで」

 狂四郎と小太郎は、まだいかっている。

「落ち着け、ヒヨっ子ども。ワシは、君らに大いなる可能性を見たからこそ、きびしくしたんだ。それが冷たく感じたのかもしれんが、君ら2人は、とてつもなく強くなる」

 加藤は説明を続けているが

「ちょっと何言ってるか、わからんから、とりあえずブッ殺す!」

 と、小太郎と狂四郎が加藤におそいかかった。

「くそっ、このアホども。返りちにしてくれるわ」

 加藤も仕方なく反撃はんげき体制たいせいをとる。


岩法師いわほうしさん、良いんスか?あの3人、ほうっておいて」

 あきれた武蔵が岩法師にむさしねた。

「そうだな。そろそろ止めるとするか」

 岩法師は立ち上がって、スタスタと歩いて行き、後ろから右手で小太郎、左手で狂四郎の首を、がっちりとつかむと

「お前ら、もういい加減かげんにしろ!首の骨をられたくなければ、ちゃんと加藤さんの話を聞くんだ」

 と、怒鳴どなった。

「うわっ、わかりました!」

「わかったから、はなしてぇや」

 怪力の岩法師に首のをつかまれて、さすがに2人は大人しくなった。

「じゃ、しっかりと話を聞くんだ」

 岩法師が手をはなすと、小太郎と狂四郎は真面目まじめに加藤の話を聞き始めた。

「ワシがきたえたら、君らはすさまじく強くなる。さっそく、今日から修行するぞ」

 加藤は、今すぐに2人をきたえる気である。

「いや、悪いけど。俺は今から、桜田さんとデートの約束やくそくがあるんで」

 と言いって、狂四郎は出かけて行ってしまった。

「狂四郎は桜田刑事とデートか、仕方しかたない。小太郎、お前はデート相手が居ないだろうから、さっそく始めるぞ」

 加藤は狂四郎をあきらめて、とりあえず小太郎だけでもきたえる事にした。

「いや、実は俺もデートなんや」

うそつけ、お前は恋人が居ないだろう」

 小太郎は加藤に突っ込まれた。

「本当や、デートの約束があるんや」

「誰とだ?」

ーーくそっ。そんな約束はしてへんけど、ここは姉さんに助けてもらおうーー

「姉さんとや」

 小太郎は、とりあえずうそを付いて逃げようとした。

「本当か虎之助とらのすけ?」

 加藤が虎之助に確認する。

「そんな約束は、してないでござる」

 虎之助は正直に答えた。

ーーしもた、姉さんは馬鹿ばかやから、バカ正直に答えるんやった。やっぱり馬鹿ばかは使えんわ。しょうがあらへん、出費しゅっぴは痛いが、美味おいしい食事に連れて行くって言ったら、姉さんは口裏くちうらを合わせてくれるやろうーー

「しましたやん。俺がにくおごるって、約束しましたやん」

 小太郎は、食べ物で虎之助をろうとした。

「あっ、そういえば、約束していたでござる」

 あっさりと買収ばいしゅうされる虎之助。

「本当だろうな虎之助?」

 うだがいの眼差まなざしで虎之助を見る加藤。

「約束したでござる。小太郎とデートの約束をしたでござる」

 虎之助は、り返して言った。

「うっ、本当なら仕方しかたない。だが、明日は必ず修行をするぞ」

 というわけで、ひとまず加藤からの修行からのがれた小太郎と狂四郎であったが、翌日からは鬼のように、しごかれるのであった。

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