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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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鬼ロボが現れたでござる

 日本テクノロジーコーポレーションの所有しょゆうするグランドでは、四天王のをかけて牛鬼ぎゅうき銅鬼どうきが、いどんでいた。

 見とどけ人は黒瀬くろせである。

 銅鬼どうきは2人の兄を虎之助とらのすけたおされてしまったので、もともと鬼界おにかいでは名門であった一族への風当かぜあたりが急激きゅうげきに悪くなってしまった。

 一族の名誉めいよ回復かいふくするために、どうしても四天王になる必要ひつようがある。

 銅鬼どうき末弟まっていであり、今までは兄たちを立てていたが、実力では自分が一番だと自負じふしていたので、牛鬼ぎゅうきなどは、たやすくたおせると思っていたのだが、手合てあわせしてみると意外と強いではないか。

 とくに自在じざいに動く鋼鉄こうてつのようなつめ厄介やっかいであり、スピードもパワーも想像以上そうぞういじょうである。

 牛鬼ぎゅうきの方も、最大の武器であるつめでの攻撃こうげき銅鬼どうきかた皮膚ひふを、つらぬけず苦労くろうしていた。

 金鬼きんき末弟まっていということで少しナメていたが、皮膚ひふかたいだけでなく攻撃こうげき力も半端はんぱではない。

 あの剛腕ごうわんから、くり出される打撃だげきを、まともに受けたら骨の一本や二本の骨折こっせつでは、すまないだろう。


双方そうほうともに苦労くろうしているな」

 黒瀬からみても、ほぼ互角ごかくの試合である。

 その時、バリバリッという音とともに、グランドの一角いっかくに小さなかみなりが落ちた。

「雨もっていないのに、なぜかみなりが?」

 黒瀬が不思議ふしぎがっていると、かみなりが落ちた場所にはだかの男がひざいて、しゃがんでいる。

「なんだ、ありゃ?」

 銅鬼どうき牛鬼ぎゅうきも、その男に気づき、試合を中断ちゅうだんして様子ようすを、うかがっている。

「なぜ、はだかなんだ?」

 牛鬼ぎゅうきはなんだか、こんなシーンを映画で見たことがある、たしかヤバい展開てんかいになったような、と思い、警戒けいかいして後ろに下がった。

 男は、ゆっくり立ち上がりまわりを見わたすと、一番近くにいた銅鬼どうきの方にゆっくりと歩いて来る。

「お前のふくを、ヨコセ」

 はだかの男が銅鬼どうきに言った。

「バカか、こいつは」

 銅鬼どうきが、あきれていると、はだかの男が銅鬼どうきの服を引っぱってがそうとして来る。

「なにしやがる、イカれてるのか!」

 銅鬼どうきは、おもいっきりはだかの男をなぐりつけた。

「いてッ!」

 しかし、なぐった銅鬼どうきの方が痛がって、こぶしをさすり出す。

 はだかの男は、両手で銅鬼どうきの体を持つと、そのまま上空じょうくうほうり投げた。

 投げられた銅鬼どうきは、そのまま大気圏たいきけん突破とっぱして火星まで飛んで行ってしまった。

「なに者だ?」

 黒瀬が近づいて来た。

「ワレは鬼神きしんよりおくラレタ、鬼ロボである」

「鬼神からだと。ならば京都からか」

大阪支部おおさかしぶ責任者せきにんしゃに会ワセロ」

「鬼神からの使者ししゃか、良いだろう会わせてやる。だが、その前に、とりあえず服を着ろ」

 黒瀬は、グランドにあった適当てきとうなジャージを鬼ロボにわたした。



 梅田うめだ高層こうそうビルの最上階さいじょうかいでは『大阪鬼連合会団体おおさかおにれんごうだんたい』の緊急きんきゅうカンファレンスがおこなわれていた。

 議長ぎちょうは、当然とうぜんのことながら鬼塚おにずかである。

紹介しょうかいしよう、京都の鬼神より転送てんそうされて来た鬼ロボだ」

 鬼神と聞いて、会議かいぎ参加さんかメンバーに緊張きんちょうが走った。

大阪支部おおさかしぶが、ふがいないノデ、鬼神きしんが俺を、送りンデ来たのだ」

「最近はDSPのやつらに、やられっぱなしですからねえ」

 年配ねんぱいのメンバーがボヤている。

「なんデモ、お前たちは、若い小娘こむすめに何人もたおされているソウジャナイカ」

「よく知ってますね」

 若いメンバーが言った。

「鬼神の情報網じょうほうもうを、ナメテはいけない」

「しかし、あのむすめは強すぎます」

大丈夫だいじょうぶだ、ソノために、私が来たノダ」

「じゃ、アンタがあのむすめってくれるんか?」

 鬼塚が鬼ロボにたずねた

「まかせてオケ、私が、ソンナ小娘こむすめ秒殺びょうさつシテヤル」

 どうやら、鬼ロボは京都からのすけらしい。

「ほう、たのもしいやないかい」

 うれしそにする鬼塚。

「ところで、アンタはなぜ、はだかで来たんだ?」

 不思議ふしぎに思っていた川島かわしまたずねた。

 今は服を着ているが、転送てんそうされた時には、鬼ロボははだかであった。

「京都から大阪への転送てんそうは、膨大ぼうだいなエネルギーを使うノデ、できるダケ、質量しつりょうラスため、はだかにナッタノダ」

ーーそんなにもエネルギーを使うのなら、普通に電車で来ればいいのにーー

 と、鬼ロボ以外いがいのメンバーは思った。

「ええっと、鬼ロボには、女性型もいるのですか?」

 若いメンバーが質問しつもんした。

「今は、ナイガ、今後こんごは、わかラン」

「お前、女の鬼ロボがおったら、どうするつもりなんや?」

 鬼塚は疑問ぎもんに思った。

「いえ、別に。ただ、私は女が転送てんそうしてくる所を、見たいと思いまして」

「いや、見たらダメやろ」

「ダメって言われても、見たいモノは見たいんです」

「ダメなもんは、ダメや、このド助平すけべいが」

「いや、決して助平すけべいな気持ちではなく、男として本能的ほんのうてきに見たいのです」

世間せけんでは、そういうのを、助平すけべいと言うんや」

「いい加減かげんにして下さい。そんなことより、鬼ロボがDSPの小娘こむすめたおす計画を立てましょう」

 バカらしい会話が続いたので、川島がキレ気味ぎみ提案ていあんしてきた。

「それも、そうやな」

「じゃ、鬼ロボが銅鬼どうきとやり合った時に、現場にた黒瀬の意見を聞こうか」

 川島が仕切しきり始める。

「そうですね。牛鬼ぎゅうき銅鬼どうきは、ほぼ互角ごかくの試合をしていたのですが、銅鬼どうきんで来た鬼ロボに、速攻そっこう空高そらたかほうり投げられてしまいましたから、鬼ロボの強さは相当そうとうなモノだと思います」

 と、黒瀬は証言しょうげんした。

ほうり投げられた銅鬼どうきは、どこへ行ったんや?」

「おそらく、大気圏外たいきけんがいまで飛ばされたと思われます」

 見たとおり正直に答えたのだが、まわりからは、うさんくさい目で見られてしまった。

「俺の計算けいさんデハ、火星かせいアタリまで、飛んだハズダ」

 鬼ロボが冷静れいせいに言うと、会議かいぎのメンバーはみな背筋せすじが寒くなった。

「ごっつい力やなぁ、コイツならDSPの小娘こむすめもイチコロや」

 一人、鬼塚だけがよろこんでいる。

大阪鬼連合団体おおさかおにれんごうだんたい』の会議かいぎは、もうしばらく続くのだが、今回はめずらしく意味ある会議であった。



 焼肉やきにく屋では、虎之助とらのすけ小太郎こたろうが、狂四郎きょうしろうおごりで焼肉を食べていた。

「姉さん、やっぱり焼肉は美味うまいですねぇ」

「モグモグ、ぎゅうタンもカルビも美味おいしいでござるな」

「姉さん、ハラミもイケますよ」

拙者せっしゃにもハラミを、よこすでござる」

「ホルモンも、美味おいしいですよ」

拙者せっしやにもホルモンを、よこすでござる」

「もうそろそろ、役に立つというのを教えろよ」

 シビレを切らした狂四郎が虎之助に言った。

「ええっと、確か、仮想通貨かそうつうかで10万円を一億円にする方法だったでござるね」

 面倒めんどくさそうに、虎之助が答える。

「ちがうわ!」

 狂四郎がむ。

「では、拙者せっしや紹介しょうかいする未公開株みこうかいかぶで、もうける話だったでござる、モグモグ」

 ハラミを食べながら、虎之助が言った。

ちがうって!なんで、お前が未公開株みこうかいかぶ情報じょうほうなんか知ってるんだよ!」

「じゃ、必ずもうかる、元手もとで保証ほしょう投資とうしの話だったでござるね」

「そんな、あやしいもうけ話じゃなくて、アヒルの話だよ」

「アヒルの話は、そこのカフェでタピオカミルクティーを飲んでから、するでござる」

「てめえ!いい加減かげんにしろ!」

 狂四郎がキレた。

「くらえ!新田家にったけ仙道透視術せんどうとうしじゅつ!」

 狂四郎は、仙道せんどう奥義おうぎを使って虎之助を見た。

「何してるのでござるか?」

 虎之助は、不思議ふしぎそうに聞いた。

「今、透視術とうしじゅつで、お前の下着したぎを見ているのだが、お前のブラジャーってスポーツブラだし、Aカップしか無いじゃないか、見てそんしたぞ」

 狂四郎は、残念ざんねんがっている。

バキッ!

「くふぅ」

 狂四郎は虎之助に、おもいっきり頭をなぐられ、そのまま救急きんきゅう搬送はんそうされて、一週間ほど入院する事となった。

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